第1部 縄文弥生時代の交通 その3
●このブログにおけるこれまでの検討
このブログにおける、縄文弥生時代の交通に関連する主要過去記事はサイト「花見川流域地誌素材集」の「3-2-1遺跡に対する興味」から「3-9古代における花見川地峡の役割」に掲載してあります。
記事数が多数になるので全部紹介しきれませんが、ここでは花見川流域を対象とした旧石器時代、縄文時代、弥生時代、古墳時代の遺跡分布検討記事を2記事に編集して、再掲します。
これからこのブログで行う検証作業のウォーミングアップみたいなものになっているので、紹介するのです。
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2012.07.06記事「花見川流域の旧石器時代遺跡の予察」
千葉県埋蔵文化財分布地図(1、3)(平成9年、11年、千葉県教育委員会)から得られた花見川流域の旧石器時代遺跡合計10個所を地形段彩図にプロットしてみました。
花見川流域の旧石器時代遺跡の分布
基図は地形段彩図(5mメッシュを地図太郎PLUSで加工)
旧石器時代遺跡を地形との関係で見ると、次のように3分類できるような気がしてきました。
A 谷津源頭部の湧泉を利用していると考えられる遺跡。奥まった場所の台地上にあります。(定住的な地域拠点?)
B 東京湾の幕張の入り江に直接面した台地上の遺跡。(海岸付近の猟に関係?)
C 河川の合流部(川付近の猟に関係?)
具体的には次のようになります。
花見川流域の旧石器時代遺跡の特徴(予察)
仮番号
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遺跡名
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特徴(予察)
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所在市
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1
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子和清水遺跡
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A 犢橋川の谷津源頭部(湧泉)
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千葉市
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2
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武石遺跡
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B 東京湾(幕張の入り江)
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千葉市
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3
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箕輪遺跡
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A 畑川の谷津源頭部(湧泉)
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千葉市
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4
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居寒台遺跡
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B 東京湾(幕張の入り江)
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千葉市
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5
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直道遺跡
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B 東京湾(幕張の入り江)
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千葉市
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6
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玄蕃所遺跡
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B 東京湾(幕張の入り江)
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千葉市
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7
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上志津大堀遺跡
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A 勝田川右岸支川の谷津源頭部(湧泉)
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佐倉市
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8
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桜ケ丘遺跡
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A 小深川の谷津源頭部(湧泉)
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四街道市
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9
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高津新山遺跡
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C 高津川と北高津川の合流部
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八千代市
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10
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高津新田遺跡
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A 芦太川の谷津源頭部(湧泉)
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八千代市
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同時に、これらの旧石器時代遺跡の年代が判っているものであるのか、学習します。
これらの遺跡はおそらく3万年前頃から1万6千年前頃だと思いますが、遺跡とその年代の地形(現在より100m以上海面が低い時期もあり、立川面〔千葉第2段丘〕が形成されていた頃)との関係について合理的にイメージできるようになりたいと思います。
旧石器時代の東京湾幕張の入り江は、現在より深い谷であったことは間違いありません。
最終氷期最盛期には海面はそこになかったのですが、1万6千年前頃にはフィヨルドみたいな海があったかもしれません。
Bと分類した遺跡の意味は「海」そのもの(海の猟)ではなく、海岸近くの「深い谷地形」(大型獣の狩猟の場)にあったのかもしれません。
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2012.07.07記事「花見川流域の縄文時代遺跡の予察」
千葉県埋蔵文化財分布地図(1、3)(平成9年、11年、千葉県教育委員会)から得られた花見川流域の縄文時代遺跡合計105個所を地形段彩図にプロットしてみました。
花見川流域の縄文時代遺跡の分布
基図は地形段彩図(5mメッシュを地図太郎PLUSで加工)
縄文時代遺跡を地形との関係で見ると、大ざっぱにみて、次のように5分類できるような気がしてきました。
A 高津川沿い台地縁辺部に立地しているもの
B 勝田川(横戸川、宇那谷川、小深川、西小深川)沿い台地縁辺部に立地しているもの(密集分布)
C 花見川源頭部付近の台地縁辺部に立地しているもの
D 花見川、犢橋川、長作川沿いの台地縁辺部に立地しているもの(密集分布)
E 台地の内陸部に孤立して立地しているもの(オアシスのように孤立して存在する水に依拠していたもの)
流域でみるとAとBは印旛沼流域、CとDは東京湾流域です。Cは花見川河川争奪により台地内陸深くに立地している縄文遺跡であり、位置的にA、BとDの中間に存在することからし、A、BとDの人的・物質的・文化的交流の中継地であった可能性を感じさせます。
次に縄文遺跡が発見されていないゾーンについて、その理由を考えたところ、次に5つの理由が脳裏に浮かびました。
ア 習志野演習場が存在するため、遺跡調査がおこなわれたことがない地域(縄文遺跡は存在すると考えられる)
イ 空川の古柏井川が存在していたため、水に不自由であり、縄文遺跡がない地域
ウ 水が少ない台地中央部
エ 水が少ない台地中央部
オ 砂丘により遺跡が隠されている地域(縄文遺跡は存在すると考えられる)
これらの予察を次の図にまとめました。
縄文遺跡予察図
基図は地形段彩図(5mメッシュを地図太郎PLUSで加工)
縄文遺跡といっても時期の違い、遺構種類の違い等別に詳しく見ていくことが必要であり、そうした視点から今後詳細に検討する予定です。
また、千葉県埋蔵文化財分布地図(1、3)(平成9年、11年、千葉県教育委員会)より新しい情報を入手できましたので、詳細検討は最新情報で行う予定です。
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次記事でつづきを再掲します。
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