大膳野南貝塚後期集落の出土物による竪穴住居検討 7
竪穴住居からの石器出土状況を漆喰貝層有無別に観察します。
1 漆喰貝層有無竪穴住居別石器出土状況
漆喰貝層有無竪穴住居別石器出土割合
漆喰貝層有竪穴住居の50%から、無竪穴住居の30.9%から石器が出土します。
漆喰貝層有無竪穴住居別石器出土数
竪穴住居出土石器数は漆喰貝層有竪穴住居は無竪穴住居の5倍近くになります。
参考 漆喰貝層有無別竪穴住居数
2 漆喰貝層有無別竪穴住居からの石器出土数
漆喰貝層有無別竪穴住居からの石器出土数
(グラフ表現の理由から黒曜石を表示していません。黒曜石の出土数は漆喰貝層有竪穴住居115、無竪穴住居17です。)
石器種類別にみると、全ての種類で漆喰貝層有竪穴住居の出土数が無竪穴住居の出土数より大幅に上回ります。
3 考察
・漆喰貝層無竪穴住居の石器出土状況が大変貧弱であり、漆喰貝層有竪穴住居グループとは対等とはとても言えない貧しい生活をしていた様子が推察できます。
・石鏃出土数が漆喰貝層有竪穴住居で38と他の種類を抜いて多く、石鏃が狩猟活動で使っていたと考えると、漆喰貝層有竪穴住居家族は漁撈活動だけでなく狩猟活動もおこなっていたことが想定できます。同時に磨製石斧、打製石斧や敲石、磨石、凹石なども出土するのですから植物採集やその調理も行っていたことになります。
・石器出土状況から漆喰貝層有竪穴住居グループが漁労、狩猟、植物採集活動をすべて行っていたと考えると、漆喰貝層有竪穴住居グループと無竪穴住居グループの間に職種によるような分業が行われていた可能性が小さくなります。
・職種によるような分業ではなく、無竪穴住居グループによる一方的な労働力提供が行われていた可能性も検討の俎上にあげる必要があるかもしれまえせん。
・ひょっとすると奴隷的な意味での優位-劣位関係も検討する必要があるような気がします。
さらに検討を深めます。
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