大膳野南貝塚後期集落の出土物による竪穴住居検討 10
竪穴住居から出土した石器の種類を漆喰貝層有無別に詳細に観察します。
1 漆喰貝層有無竪穴住居別 器種別石器出土数
時期別に作成した漆喰貝層有無竪穴住居別 器種別石器出土数グラフを並べてみました。
時期別に作成した漆喰貝層有無竪穴住居別 器種別石器出土数グラフ
このグラフで時期別に石器種類の出土状況が漆喰貝層有無竪穴住居別にイメージできますが、多少見にくいので、次に、石器種類を利用系統別にまとめて、かつ%グラフで並べてみました。
2 時期・漆喰貝層有無別 利用系統別石器出土割合(%)
時期・漆喰貝層有無別 利用系統別石器出土割合(%)
●石器種類の大ざっぱなグループ分け(利用系統)
・狩猟系…尖頭器、石鏃、石錐、石匙、クサビ、スクレイパー
・植物食系…磨製石斧、打製石斧、礫器、敲石、磨石、凹石、スタンプ、石皿、砥石
・漁労系…石錘、軽石製品
・祭祀・装身系…石棒、装身具
・素材系…剥片類、石核、黒曜石
漆喰貝層有無別という視点でこのグラフをみると、集落が貝塚集落であった最初の3期(称名寺式期前後期、堀之内1式期、堀之内2式期)では全ての期で漆喰貝層有竪穴住居で狩猟系統の割合が漆喰貝層無竪穴住居より大きく、植物食系統では小さくなっています。
これは漆喰貝層有竪穴住居グループと漆喰貝層無竪穴住居グループをくらべると、漆喰貝層有竪穴住居グループは狩猟と植物食の双方が大事な生業であることが表現され、漆喰貝層無竪穴住居グループでは生業における狩猟の割合が低く、結果として植物食の割合が大きくなっていることを示しています。
漁業(海の漁撈)では石器は使っていなかったようです。
漆喰貝層無竪穴住居グループで漁労系の割合が高いのは、谷津の小川での小魚とりが行われていた様子が表現されたと考えます。
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