大膳野南貝塚後期集落の出土物による竪穴住居検討 31
貝製品の出土状況を発掘調査報告書記載から集計してみました。
1 貝製品出土状況
竪穴住居別貝製品出土状況
貝製品のイメージ(J63号竪穴住居の例) 発掘調査報告書から引用・加筆
貝製品内訳
10竪穴住居から66点の貝製品が出土します。そのうち82%が魚の鱗落としや包丁機能としての調理道具として使われた貝刃・へら状製品です。それ以外は装身具等となります。
2 漆喰貝層有無別集計
貝製品出土状況を漆喰貝層有無別に集計すると、貝製品出土竪穴住居はすべて漆喰貝層有竪穴住居になります。
漆喰貝層有無竪穴住居別貝製品出土数
この分布を立体的にみると次のようになります。
貝製品出土数の分布 1
貝製品出土数の分布 2
3 考察
貝製品が出土する竪穴住居は漆喰貝層有竪穴住居に限定されることが判りました。
自分にとっては大変貴重なデータです。
漆喰貝層無竪穴住居の家族は魚の調理をしていないと判断できます。
貝塚集落の中の半分以上の竪穴住居が漁撈・魚介類食・貝殻利用を完全にしていないことが明らかになりつつあると考えます。
それは発掘調査報告書では触れられていない(認識されていない)事象であり、新たな発見(文献解読における発見)であると直観します。
次の記事で大膳野南貝塚後期貝塚集落が生業の異なる2集団から構成されていたという発見について検討します。
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