2020年10月6日火曜日

貝殻成長線と擦痕を強調した3Dモデルの作成

 縄文貝製品学習 19

アリソガイの通常撮影写真では貝殻成長線や使用に伴う擦痕の様子を把握するのは困難です。しかし写真をハイパスフィルター処理するとそれまで見えなかった貝殻成長線や擦痕が浮かび上がり観察しやすくなります。

この体験的に知った事象を利用して3Dモデルをつくれば、3Dモデル自身に貝殻成長線や擦痕を浮かび上がらすことができる可能性があります。そこで試してみました。

有吉北貝塚出土372図2のアリソガイ製ヘラ状貝製品をテスト対象としました。

1 アリソガイ製ヘラ状貝製品(磨貝)(千葉市有吉北貝塚)372図2表面 画像ハイパス調整3Dモデル 

アリソガイ製ヘラ状貝製品(磨貝)(千葉市有吉北貝塚)372図2表面 画像ハイパス調整3Dモデル 

縄文中期、L、殻長105.3㎜、殻高77.9㎜ 

撮影場所:千葉県教育庁森宮分室 

撮影月日:2020.09.18 

許可:千葉県教育委員会許可による撮影・掲載 

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.008 processing 35 images

同上 通常写真による3Dモデル


画像ハイパス調整3Dモデルと通常の観察記録3Dモデルの画面比較

2 3Dモデルの動画


画像ハイパス調整3Dモデルの動画


通常写真による動画

3 写真


画像ハイパス調整3Dモデルと通常の観察記録3Dモデルの写真比較

4 テスト成功

元写真をハイパスフィルター調整してぼんやりとした画質をクッキリとさせて、それで3Dモデルを作成すると3Dモデルもクッキリとした画像になることを確認できました。

肉眼では不明瞭な貝殻成長線や擦痕が浮かび上がるのですからグッドです。

5 画像ハイパス調整3Dモデル作成に必要な基礎テクニック

数十枚から100枚以上の写真を1枚1枚Photoshopでハイパスフィルター処理すると膨大な時間がかかるため、この作業はバッチ処理テクニックで対処することが必須です。

6 感想

今後のアリソガイ製ヘラ状貝製品学習では画像ハイパス調整3Dモデルを標準3Dモデルとして活用することにします。

アリソガイ製ヘラ状貝製品の観察が周回写真撮影により通常の肉眼観察以上の精度と効率でできることがわかりました。

ハイパス調整3Dモデルはアリソガイ製ヘラ状貝製品に限らず縄文土器などの3Dモデルにも有用な技術であるかどか今後確かめることにします。

7 参考 Photoshopハイパスフィルター処理

「カラーが極端に変化している部分で指定した半径内のエッジのディテールを保持し、それ以外の部分についてはエッジのディテールを抑えます。」AdobePhotoshopマニュアルより


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