縄文土器学習 569
千葉市動物公園「動物園で考古学」コーナー観覧の際に、鳥形突起の撮影をしましたので、その写真から3Dモデルを作成して遺物造形を眺めて楽しみました。
2021.03.30記事「千葉市動物公園「動物園で考古学」観覧」
1 鳥形突起(大膳野南貝塚) 観察記録3Dモデル
鳥形突起(大膳野南貝塚) 観察記録3Dモデル縄文時代後期初頭
撮影場所:千葉市動物公園「動物園で考古学」コーナー
撮影月日:2021.03.29
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.019 processing61 images
展示の様子
展示の様子
3Dモデルの動画
2 発掘調査報告書記載
「30はいわゆる鳥形把手で、称名寺式に属するものである。外面は地文に単節縄文が施され、内外面の中央に8字状の貼付文が付される。」大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用
実測図
大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用
写真
大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用
3 観察・感想メモ
ア 鳥形のかたちについて
ワシ・タカ類を想起させる湾曲したするどいくちばしと目が表現されていると考えられています。頭が実際の鳥の頭とは逆に凹んでいるのは合点が行かないと考えていましたが、ワシ・タカ類の写真をよく見ると、下から見た場合、頭の膨らみはほとんど見えません(意識できません)。特にオオタカなどは目の上に白線が横走し、頭部膨らみは見えません。縄文時代に飛んでいるワシ・タカを見るのは100%下からですから、この突起のような造形でワシ・タカを表現しても何ら不思議はないと考えました。
イ 8字状貼付文について
8字状貼付文の観察
8字状貼付文は現代社会の一般的「8の字」書き順と同じ書き順を、わざわざ造形に残しています。発掘調査報告書写真の裏側も同じです。空想になりますが、この「8の字」書き順という動きのある造形は、ワシ・タカ類の飛翔を表現している可能性を考えます。上昇気流を求めて大空を周回するワシ・タカ類の飛翔を象徴していると想定します。
ウ 鳥形突起(把手)の意味について
縄文中後期頃には空(そら)の上に天空界という見えない世界があり、故人が住んでいると考えられていたと想像します。その天空界と地上界を結ぶ使者がワシ・タカ類であるとか、天空界から地上界を見に来た故人がワシ・タカの姿をしているとか、死者がワシ・タカの姿になって天空界に上るとか・・・神話があったと想像します。
そのような天空界との繋がりのあるワシ・タカを把手にして土器内部を見てもらい、つまり故人(祖霊)に土器内部を見てもらい、食べ物が美味しく調理できること、そもそも調理する食材を豊富に確保できること、などなどの加護を祈願したのだと思います。
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