縄文土器学習 582
この記事では加曽利貝塚博物館R2企画展「あれもE…」で展示された加曽利EⅡ式土器(No.32)を3Dモデルで観察します。磨消懸垂文のある加曽利EⅡ式土器です。
1 加曽利EⅡ式深鉢(No.32)(松戸市子和清水貝塚) 観察記録3Dモデル
加曽利EⅡ式深鉢(No.32)(松戸市子和清水貝塚) 観察記録3Dモデル撮影場所:加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」
撮影月日:2020.11.27
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.019 processing 65 images
展示の様子
3Dモデルの動画
2 GigaMesh Software Frameworkによる展開
GigaMesh Software Frameworkによる展開
3 メモ
No.32土器は胴部に磨消懸垂文があり、口縁部の渦巻文が整然とよく巻かれているので有吉北貝塚土器分類でいえば第10群に該当すると考えます。
有吉北貝塚中期土器分類
埼玉編年(1982)の土器分類でいえばⅫa期1群B類(口縁部文様帯が渦巻文主導形のもの。渦巻文と三角形区画文とが組み合わさって口縁部文様帯が構成され、胴部に磨消懸垂文を持つもの。)に該当すると考えます。
4 縄文と沈線の施文順序
No.32土器では縄文が施文された後、沈線が施文されたことが沈線の縁の縄文がめくりあがっていることから明瞭です。
No.32土器の沈線縁の縄文盛り上がりの様子
後代の称名寺式土器では逆に沈線が施文されてから縄文が施文されます。
称名寺式土器の沈線縁の縄文の様子
縄文と沈線の施文順序の違いは縄文と沈線のどちらが図になるか(主題となるか)という違いです。つまり単純な技術的順序変化ではなく、意味論的に重要な変化がそこにあると看取できます。
空想的ですが、次の思考をメモします。
加曽利EⅡ式土器(No.32)…縄文が地、沈線・磨消垂下文が図→沈線・磨消垂下文がより重要→集落間の縄張りを確定させ確実に土地を確保することが重要課題であった。(背景:人口急増)
称名寺式土器…縄文が図、沈線が地→縄文がより重要→土地(自然)から恵を得ることが重要課題となった。(背景:人口急減、社会の破綻)
・縄文と沈線の施文順序に関する問題指摘は2019.02.16加納実先生講演で教えていただきました。2019.02.17記事「加納実先生講演「縄文時代中期終末から後期初頭の様相」学習メモ」
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