2022年10月22日土曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 装飾品分布とその考察

 Ariyoshi Kita Shell Mound North Slope Shell Layer  Accessory distribution and consideration


Looking at the distribution of ornaments on the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound, it is similar to the distribution of wild boar jawbones, and they are concentrated in two places. A Cone shell waist ornament worn by a leader of a large shell midden village was excavated from the downstream concentrated area. I thought that the ritual related to the slope funeral was held in this place.


有吉北貝塚北斜面貝層の装飾品分布を見るとイノシシ顎骨分布と似ていて、2ヶ所に集中します。谷地形出口付近集中域からは大型貝塚集落リーダーが装着するイモガイ製腰飾が出土しています。斜面葬祭事がこの場所で行われていたと考えました。

1 散乱人骨等分布と装飾品分布

これまで作成した出土物分布図を並べて観察しました。

1-1 加曽利EⅡ式土器(第10・11群)分布(平面図投影)


加曽利EⅡ式土器(第10・11群)分布(平面図投影)

1-2 散乱人骨データ数分布(1~48)


散乱人骨データ数分布(1~48)

散乱人骨データは谷頭部急斜面の一区画に集中しています。この急斜面で「斜面葬」が盛んにい行われていたと考えられます。

1-3 イノシシ上下顎骨データ数分布(1~8)


イノシシ上下顎骨データ数分布(1~8)

谷頭部直下域と谷出口域の2ヶ所に集中分布します。この2ヶ所でイノシシ解体とイノシシを食する行事があったと考えます。

1-4 装飾品分布

1-4-1 貝製品(装飾品他)データ数分布(1~4)


貝製品(装飾品他)データ数分布(1~4)

イノシシ上下顎骨と同じように谷頭部直下域と谷出口域の2ヶ所に集中分布します。ただし、谷出口付近の集中がより顕著です。また谷出口付近からイモガイ製腰飾が出土しています。


イモガイ製腰飾出土状況写真

有吉北貝塚発掘調査報告書から引用・加色


イモガイ製腰飾

千葉市立郷土博物館「千葉市出土考古資料優品展」2022.01.04撮影


イモガイ製腰飾

千葉市立郷土博物館「千葉市出土考古資料優品展」2022.01.04撮影

このイモガイ製腰飾は中期大型貝塚集落の男性リーダーが着装したものであることが展示で説明されています。

集落リーダーが着装したイモガイ製腰飾が出土した様子から、谷出口付近の貝製品装飾品多出ゾーンは斜面葬に関わるメイン祭事が行われたゾーンであると想像します。この付近は斜面葬が行われる場所からあまり離れていない場所で、なおかつ多人数が集まれる場所になります。


谷頭部直下域から出土したイタボガキ製貝輪(及び磨製石斧)

有吉北貝塚発掘調査報告書から引用・加色

1-4-2 骨角歯牙製品(装飾品)データ数分布(1~3)


骨角歯牙製品(装飾品)データ数分布(1~3)

貝製品(装飾品他)と同じように谷頭部直下域と谷出口域の2ヶ所に主に分布します。

1-4-3 石製品(装飾品)データ数分布(1)


石製品(装飾品)データ数分布(1)

北斜面貝層から出土した石製品(装飾品)は2点です。

2 有吉北貝塚北斜面貝層における特徴的活動空間(作業仮説)


特徴的活動空間(作業仮説)

1-1~1-4の情報から北斜面貝層では斜面埋葬ゾーンと埋葬祭事ゾーン、メイン埋葬祭事ゾーンという3つの特徴的活動空間が機能していたと作業仮説します。

谷頭部急斜面に遺体が土器大破片や貝とともに埋葬され(置かれ)、その後遺体と土器破片は重力と水流により急斜面を流れ下り、混貝土層に埋まっていったものと想像します。一方埋葬に関わる祭事は谷出口付近の比較的広場所で行われたと想像します。イナウが林立する祭壇が設置され、故人ゆかりの品(装飾品)がその場に埋納され貝で覆われたと空想します。またこの祭事でイノシシが解体され食されたと想像します。

3 参考 イモガイ製腰飾(千葉市有吉北貝塚) 観察記録3Dモデル

イモガイ製腰飾(千葉市有吉北貝塚) 観察記録3Dモデル

縄文時代中期

最大径3.3㎝、最大高1.2㎝

撮影場所:千葉市立郷土博物館「千葉市出土考古資料優品展」

撮影月日:2022.01.04

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 201 images

Cone shell waist ornament (Ariyoshi Kita shell mound, Chiba city) Observation record 3D model

Mid-Jomon period

Maximum diameter 3.3 cm, maximum height 1.2 cm

Location: Chiba City Folk Museum “Chiba City Excellent Archaeological Material Exhibition”

Shooting date: 2022.01.04

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 201 images


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