宇那谷川流域紀行9 宇那谷川の源流
宇那谷川源流付近の地形
ベースの地形図は大正6年測量旧版1万分の1地形図「六方野原」部分です。
1源流付近の地形
旧版地図で、左側の赤点(cimg1600)の左の点線の等高線は標高23.75mを示していますが左に向かった谷を示しており、その先は犢橋川から花見川に続きます。
右側の赤点(cimg1583)の右の点線も標高23.75mを示していて右に向かって谷地形を示しています。1条の水路記号と湿地記号があります。古地図から開発前の長沼池の範囲は標高23.75m等高線でくくられる範囲に近かったと考えられます。
一方、2つの赤点の上側と下側にある実線の等高線は標高25mを示します。つまり、2つの赤点のある付近は北側の台地高まりと南側台地高まりに挟まれた谷になっています。北側の台地の高まりには縄文遺跡があります。
なお、青色の水路記号は数値地図2500(空間データ基盤)の情報を参考としてオーバーレイして示したものです。1条水路とのずれは測量誤差等によるものであると考えます。
宇那谷川源流付近の現在
宇那谷川最源流部 左側赤点(cimg1600)
旧長沼池流入水路の地下化により出来た歩行者用通路 右側赤点(cimg1583)
2現在の源流付近の姿
左側の赤点(cimg1600)から西方向(左方向)を撮影した写真が宇那谷川源流の水路跡の終端です。最初の一滴の水を見ることはできませんが、市街地のなかにこのようなあいまいな土地利用形状のまま、勝田川の最源流部が残っていることは驚くべきことであるような気もします。この土地に巨大ビルが建つ前に勝田川(宇那谷川)の源流であることを示す表示板や案内説明板を立て、情報が後世に伝わるようにしたいものです。
なお、このポイントが宇那谷川の最源流ですが、勝田川の最源流であるともいえます。(勝田川の支流である横戸川、宇那谷川、小深川、東小深川のうちで宇那谷川の流域面積、流路延長がもっとも大きく、自然地理的に宇那谷川が勝田川の本川筋です。)
右側赤点(cimg1583)の写真は水路地下化の様子を示しています。地図で青色で示している水路記号は地下化以前の水路情報です。
この地下化された水路の始原は、いつの時代かに農業用に全く新たに作られた人工物ではなく、縄文時代から流れていた自然物としての河川です。この河川は右側赤点(cimg1583)から50mほど下流で長沼池に流入していました。この河川から縄文人は飲料水を採水していたと想像できます。
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