ゆがみ補正前(左)とゆがみ補正後(右)
下志津射場図に記載されている情報を効果的かつ正確に取り出し、他の地図情報と重ね合わせて検討できるようするため、下志津射場図をデジタル化しGISに取り込みました。
次にGIS取込で私が使っている方法を説明します。レトロな雰囲気のするパソコン手作業です。しかし、この作業をすることにより、書籍掲載地図情報や紙の地図をGISに取り込むことができるので、汎用性の高い方法であると思います。興味のある方には役立つと思います。
なお、下志津射場図は緯度経度が掲載されている資料ですので、正確にGISに落とせますが、緯度経度が出ていなくても、精度をあまり気にしなければGISに付属する機能を用いて落とすことが出来ます。
1 スキャン
・「絵にみる図でよむ千葉市図誌 下巻」(千葉市発行)551ページをスキャンします。
・今回は、通常のスキャナーで、カラー、解像度1000dpiでスキャンしました。(A4判、jpegファイルで保存)
・紙の地図からスキャンする場合、私は普通、解像度を600 dpiにするのですが、今回は原本A2サイズがA4サイズに縮小して複写掲載されたもののスキャンになります。したがって、解像度を上げました。
2 ゆがみ補正
・スキャンした画像ゆがみを訂正して図を正四角形にします。
・「絵にみる図でよむ千葉市図誌 下巻」掲載図版は原本の段階で破れたところをセロテープで張り合わせたりしており、既に大きなゆがみがありますので、これを補正します。
・紙の地図から直接スキャンする場合もゆがみは必ず発生しますので、その補正は必須です。
・私は、作業をフォトショップ(Adobe)で行いました。以下のフォトショップの操作手順説明はバージョンの違いにより多少異なるかもしれません。
・なおパソコン画面が大きいと作業がしやすくなり精度も上がります。ディスプレイを2台、3台とつなげれば作業効率は飛躍的に向上します。
作業A 準備
・フォトショップにスキャンしたファイル(jpegファイル)を取り込みます。
・画面にグリッドを表示します。(ビュー→グリッドを表示)
・グリッドのマス目は、私は、カラーはシアン、スタイル実線、グリッド線1ピクセル、分割線8に設定しています。(ファイル→環境設定→ガイド・グリッドで変更できます。)
・画面上の画像の大きさを最大付近まで拡大します。(ctrlと+)
作業B 図の1辺を水平(あるいは垂直)にする
・4つの図郭線のうち直線性の最も優れている辺(図郭線が途中で曲がっていない辺)を対象にして、その辺をパソコン上で正確に水平(あるいは垂直)にします。
・フォトショップのものさしツールで、直線性の最も優れた図郭線に合わせてものさし線を引きます。表示はされませんが、それだけで角度の計測がパソコン内で行われています。
・イメージ→画像回転→角度入力を次々にクリックすると、角度入力欄にすでに数値が入っています。ものさしツールで計測しておいた数値です。OKをクリックすると画像全体が回転して対象辺が水平(あるいは垂直)になります。
作業C 図を正四角形にする。
・ゆがんだ図を、矩形選択ツールを利用して、ゴム布を引っ張るように変形させて正四角形にします。
・ただし、作業は少し複雑です。多少のなれが必要です。ゆがんだ4点をつまんで正四角形の4点に会わせる作業ができれば簡単なのですが、それは出来ません。
・ゆがんだ図の近くに設定した正四角形(矩形選択ツールで設定する)をつまんでゆがませることによって、ゆがんだ図を補正するという方法になります。つまりゆがんだ図の近くに設定した正四角形を反対にゆがませ、結果として図を補正します。
原理を次に図解します。
ゆがんだ地図
ゆがんだ地図に矩形選択ツールで矩形を設定します
編集→変形→自由な形をクリックして矩形角にマークをだします
マークをつまんで画像のゆがみを補正する位置に移動させます。
矩形選択ツールのアイコンをクリックして、適用画面を出して適用をクリックします
結果としてゆがんだ地図が補正され正四角形になります
3 後処理
・ゆがみ補正の済んだ画面の余白部分を全て切り取り、図郭だけの情報ファイルにします。(矩形選択ツールで選択→イメージ→切抜き)
4 GIS取込
地図画像の四隅の緯度経度情報を使ってGISに取り込みます。
下志津射場図は四隅の緯度経度は出ていませんが、緯度経度情報が図郭外整飾部分に複数個所記載されていますので、按分比例計算で四隅の緯度経度を求めました。この日本測地系のデータを世界測地系に変換して、GIS取込に利用します。
上記文章を次のように訂正します。(2011.6.17)
なお、下志津射場図は昭和15年3月修正となっていますが、経緯度情報は大正7年以前の測量成果をそのまま利用しています。そのため、このブログの作業で使っている旧版1万分の1地形図(大正6年測量)と同様に、経度10秒4の補正をして正しい日本測地系のデータを得、それを世界測地系データに変換してGIS取込に利用しました。
詳しくは6月17日記事「下志津射場図 3 10秒4の補正(GIS取込の実際)」をごらんください。
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