9 縄文時代出土物 石棒、独鈷石
石棒(粘板岩)
スケッチ(報告書107ページ)
報告書では「粘板岩製で基部側が折れている。敲打によって成形した後、部分的な研磨によって仕上げられている。出土地点から晩期のものと考えられる。」としています。
19.5cmあります。
リアルな男根の様子はうかがえませんが、増殖にかかわる祭祀の道具であると考えられます。
人々の思考の中で増殖に対する思いがどのようなものであったのか、興味がわきます。
独鈷石(石英粗面岩)
スケッチ(報告書107ページ)
報告書では「石英粗面岩であるが、軽石に近い石材で軟質である。片側は折れている。先端部分には敲打痕が認められる。出土地点から晩期のものと考えられる。」としています。
密教法具の独鈷杵(とっこしょ)と形がにているので、類似出土物を独鈷(とっこ)石と呼んでいるそうです。祭祀に使われたと想像される非実用石器としてくらいしかわかっていないようです。
よく見ると独鈷杵を握るときのように、握りやすいようなくぼみが石の真ん中に削られています。どんな目的の祈りに使ったのか、興味がわきます。
10 縄文時代出土物 玉類
三角形の玉(半欠 滑石)
スケッチ(報告書108ページ)
報告書では玦状耳飾りの半欠品で薄緑色を呈し、完形状態では平面形が三角形になるとしています。
円環状の玉(破損 滑石)
スケッチ(報告書108ページ)
報告書では玦状耳飾りの半欠品で、断面が円形に近くm、完形なら円環状になるものであり、破損後に穴を2孔穿っていて、両側から穿孔されているとしています。
これ以外に勾玉の製作の各段階を示す資料が多数見つかっており、報告書ではこの遺跡が縄文時代の玉製作跡として、小規模ではあるが、千葉県レベルで珍しいとしています。
二つ玉の例をみて、装身具に対する縄文人のセンス(この場合たぶん女性)は現代人と全く変わらないと思います。
近くの検見川の沖積層から出土した木製の櫂に施されていた彫刻をみても、その装飾に対する縄文人のセンス(この場合たぶん男性)は現代人と変わらないと感じていました。
検見川で丸木舟と一緒に出土した櫂の柄の彫刻
「加茂遺跡」三田史学会(1952)収録図版第21
(つづく)
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