2016.04.30記事「千葉県 出現数の多い小字名」で出現数別に小字名の数を検討しました。
千葉県全体では小字名は43004あり、小字数は94004あります。ですから平均すると、1つの小字名は約2.19回出現することになります。
この小字名の平均出現率を市町村毎に調べて、イメージ的な絵で示してみました。
小字名の平均出現率(小字数/小字名の数)
小字名の平均出現率が高い市町村ほど濃い色で、低い市町村ほど薄い色で、かつ立体高低で表現しています。
一般論として、面積の大きい自治体ほど小字名の平均出現率が高くなると考えます。
その理由は、普通は大字に同名の小字名が複数存在することはほとんどありません。それは場所識別の混乱を防ぐためです。
しかし、隣の大字に、そしてさらに隣の大字にも同じ小字名が存在することはよくあります。
ですから、大字数が多い市町村ほど(つまり面積が大きい市町村ほど)小字名重複が増える傾向があると思います。
そのような一般的傾向、つまり面積の広い自治体ほど小字名の平均出現率は高まるという傾向はある程度みてとれます。
しかし、それだけでは説明できない色の分布になっています。
例えば面積が最大きい市原市(368.2㎢)より100㎢以上面積が狭い香取市の方が小字名の平均出現率が高くなっています。
参考までに、生データと関係散布図を掲載します。
千葉県生データ
千葉県における小字数/小字名の数と市町村面積との関係
小字名の平均出現率が必ずしも市町村面積にぴたりと相関しない理由にとても興味を持ちました。
その興味は地名の成り立ちと、小字名平均出現率が相関しているに違いないと考えるからです。
例えば2016.05.02記事「千葉県の小字町田、和田、打越の予察検討」で検討した「町田」の分布図をみると大変偏在的です。
小字名に「町田」を含む全小字の分布(部分)
(厳密には、この図は「町田」だけの分布図ではありませんが、「町田」だけの分布図もこの図に似た分布図となります。)
ある社会状況のなかで社会の仕組みを反映する地名として「町田」が多数箇所で設定されたということです。
このような、社会動向を背景とした地域における同一小字名の一斉多数命名ということが繰り返された地域(自治体)は小字名の平均出現率が高くなると想像します。
新たな地名を多数命名するほどの外部的・内部的エネルギーをもつ社会流行が繰り返された地域だから小字名の平均出現率が高くなると考えます。
つまり歴史が濃い地域ほど小字名平均出現率が高くなると想像します。
まだ混沌としていますが、小字名平均出現率を細かく分析すると地名の成り立ちにせまれるような直観をもちました。
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参考
2016.04.29記事「千葉県小字データベースの概要」掲載のグラフをきれいにできましたので、参考に掲載します。
小字数/市町村面積 グラフ
大字数/市町村面積 グラフ
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