なお墨書土器「息」は2017.07.16記事「縄文時代漆パレットと奈良時代漆パレットが同じ西根遺跡から出土」ですでに紹介してます。
1 西根遺跡の船尾白幡遺跡及び鳴神山遺跡との関連
過去の検討で西根遺跡(奈良平安時代流路5)と近隣遺跡との関わりは明瞭にゾーン区分されていることが判っていますので最初に紹介します。
2 船尾白幡遺跡関連墨書土器
2-1 大生部直子猪形代
大生部直子猪形代
千葉県教育委員会所蔵
発掘調査報告書スケッチ
大生部(オオミブベ)という氏族の直(アタイ 姓)子猪(名)の形代(カタシロ 身代わり)と解釈されています。大生部直子猪の身代わりに何かをお供えしたという説明です。8世紀第3四半期のものとされています。
2-2 舟穂郷生部直弟刀自女奉 天(則天文字) 天(則天文字)
舟穂郷生部直弟刀自女奉
千葉県教育委員会所蔵
文字が薄くほとんど確認できません。
天(則天文字) 天(則天文字)
千葉県教育委員会所蔵
発掘調査報告書スケッチ
現在の地名「船尾」が少なくとも9世紀中葉までさかのぼることが確認できる資料であるとされています。
「生部」(ミブベ)は「大生部」(オオミブベ)と同じ氏族名であると考えられています。
同一氏族が100年近く同様な祭祀を行っていたと考えられています。
天(則天文字)はアマと読み、天照大御神のことではないかと想像しています。
2-3 天(則天文字)
天(則天文字)
千葉県教育委員会所蔵
発掘調査報告書スケッチ
天(則天文字)はアマと読み、天照大御神のことではないかと想像しています。
2-4 佛
佛
千葉県教育委員会所蔵
発掘調査報告書スケッチ
鎮護国家の時代であり仏教の布教が船尾白幡遺跡で行われていたことを証明する墨書土器です。
3 鳴神山遺跡関連墨書土器
3-1 丈部春女罪代立奉大神
丈部春女罪代立奉大神
千葉県教育委員会所蔵
罪は薄っすらと読めますが全体に肉眼判読は無理です。
発掘調査報告書スケッチ
「丈部春女、罪の代わり、大神に立て奉る」と釈読される延命祭祀用墨書土器であるとされています。9世紀前半。
丈部(ハセツカベ)は氏族名です。
3-2 大
大
千葉県教育委員会所蔵
発掘調査報告書スケッチ
大は鳴神山遺跡の最多出土墨書文字です。
オオと読み大国主神のことであると想像しています。
4 西根遺跡墨書土器に関するこれまでの検討
長文墨書土器は次のように分布しています。
西根遺跡長文墨書土器分布
これと船尾白幡遺跡のメイン文字「天」(則天文字)と鳴神山遺跡のメイン文字「大」の分布から、次のような対応関係を想定しています。
支配氏族と代表墨書文字
代表墨書文字の背景には次のような意味があると想像しています。
墨書文字「大」「天(則天文字)」の意味
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