大膳野南貝塚後期集落の土坑について指標別に時期別分布の検討しています。これまでに指標「体積類型」、「平面形型」、「フラスコ状、円筒状」、「貝層、漆喰」、「小ピット」について検討しました。
この記事では指標「土坑墓」について検討します。
大膳野南貝塚後期集落から土坑墓1基と土坑墓の可能性のある土坑4基が検出されています。
1 土坑墓及び土坑墓の可能性のある土坑
時期別にその分布図を示します。
1-1 加曽利E4~称名寺古式期
土坑墓及び土坑墓の可能性のある土坑は検出されていません。
1-2 称名寺~堀之内1古式期
土坑墓及び土坑墓の可能性のある土坑は検出されていません。
1-3 堀之内1式期
堀之内1式期
人骨を伴う土坑墓1基が検出されています。
土坑墓の平面図・断面図
発掘調査報告書から引用
土坑の形状は皿状であることが特徴です。副葬品として石斧が出土しています。
1-4 堀之内2式期
堀之内2式期
土坑形状と出土物から土坑墓の可能性があると考えられる土坑1基が検出されています。
1-5 堀之内2~加曽利B1式期
土坑墓及び土坑墓の可能性のある土坑は検出されていません。
1-6 加曽利B1~B2式期
加曽利B1~B2式期
土坑形状と出土物から土坑墓の可能性があると考えられる土坑が3基検出されています。
2 考察
土坑墓あるいはその可能性が濃厚な土坑は全て皿状あるいは浅い逆台形の断面形状です。
一方、集落中央部に列状に分布する土坑は土坑墓の可能性があると疑ってきていますが、その多くが浅い逆台形となっています。
これまでの土坑検討で断面形状はフラスコ状と円筒状のみを扱ってきましたが、浅い逆台形を含む総合的な断面形状類型区分をして考察することが大切であることに気が付きました。
指標に「断面形状」を加えて土坑墓(の可能性のあるもの)の抽出が可能になるようにしたいと思います。
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