2019年6月24日月曜日

稲荷台式土器 観察記録3Dモデル

縄文土器学習 161

この記事は2019.04.29記事「稲荷台式土器 東峰御幸畑西遺跡」の追補記事です。
千葉県教育庁文化財課森宮分室展示室に展示されている縄文早期、前期土器の観察記録3Dモデルが出来ましたので、順次掲載し検討を加えています。

1 観察記録3Dモデル

稲荷台式土器 東峰御幸畑西遺跡 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27

稲荷台式土器 東峰御幸畑西遺跡
千葉県教育委員会所蔵

2 観察記録3Dモデル作成によって新たに観察できた事柄

観察記録3Dモデルによる底部観察の様子
土器底部を観察すると同心円状の擦痕が確認できます。撮影写真をザッと見ただけでは気が付きませんでした。3Dモデル作成が自分の観察をより深めたことは素晴らしいことです。3Dモデルの出来栄えがあまり良くないにもかかわらず、それでもそれなりの意義があると確認できました。
擦痕を撮影写真を拡大して観察すると次のようになります。

同心円状擦痕の観察
小林達雄編「総覧縄文土器」で調べると次のような記述があり、稲荷台式土器の時代頃から住居内炉に土器を刺しこんでその周りから加熱する方法が確認できるようです。
「器形からみて、主たる用途は食物の煮炊きと推測される。しかし土器内面に炭化物が付着していた例はほとんどない。ただし、夏島式以降の土器には、尖底化が進んだ底部周辺にしばしば"同心円状擦痕"と呼ばれる擦り傷が認められる。この成因は、煮炊きの際、土器を炉の灰床に、ねじるよう差し込んだ痕跡と説明される。実際に、赤化や微細な亀裂など、尖底部に被熱痕がある個体も多い。稲荷台式期以降の竪穴住居跡には、床面の中央部付近に方形の浅い堀り込みが検出される例が多く、"灰床炉"と呼ばれている(今村1986)。"同心円状擦痕"や被熱痕の存在は、この炉跡の存在とも符合する。」
撚糸文系土器の型式細別(稲荷台式土器抜粋)
小林達雄編「総覧縄文土器」から引用
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稲荷台式土器展示の様子

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