縄文土器学習 505
千葉県立中央博物館令和2年度企画展「ちばの縄文」で展示されている鉢ヶ谷遺跡土坑出土椀形土器の3Dモデルを作成して観察しました。
1 縄文中期初頭椀形土器(東金市鉢ヶ谷遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文中期初頭椀形土器(東金市鉢ヶ谷遺跡) 観察記録3Dモデル土坑出土遺物、千葉県有形文化財(2002)
撮影場所:千葉県立中央博物館令和2年度企画展「ちばの縄文」
撮影月日:2020.11.10
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.014 processing 101 images
展示の様子
展示の様子
展示の様子
3Dモデルの動画
2 メモ
・展示では内面が良く見えるように斜めに置かれていますが、3Dモデルでは正置しました。
・注口が付いています。
・上村秀明・西野雅人著「東金市鉢ヶ谷遺跡出土の中空円錐形土偶について-土坑に一括埋納された中期初頭の土偶と土器」(千葉縄文研究6、2016.04.30、千葉縄文研究会)では次のように記載されています。
「丸底で口径7.1 ㎝、器高3.6 ㎝を測る。黒色の内面全体に白色系の付着物がみられる。やや黄色味を帯びた白色ないしクリーム色で、塗膜状を呈する。付着の仕方は2 種類以上あり、写真4-dのようにやや幅広い痕跡がつく部分や、cのような刷毛目状の部分がみられる。刷毛目状の痕跡は、0.5 ㎜弱のピッチで、1 単位8 条以上を確認できる。付着した物質の正体は不明だが、こうした痕跡を残すことから、かなり粘性を持った液体とみられる。付着の仕方が一様でないことから、内面を塗彩したものではなく、椀形土器は、この液体を何かに塗布するときに使われたパレット状の容器であり、塗布には指や刷毛等が使われたと推察される。外面の器面調整は丁寧に行われているが、内面は付着物により観察できない。」
参考 3Dモデルでみる刷毛目状痕跡
・上記論文を読むまでは、内面の大きな「傷」模様はこの土器の研究者が分析用に付着物を削り取った跡であると想像していました。しかしそうではなく、出土したそのままの状況であることがわかりました。土偶と小型土器3点のセットについての興味がますます増大します。
・土偶祭祀の小道具が小型土器3点であるとの見立てが強まります。
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