縄文土器学習 509
加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」で展示されている唯一の土偶である加曽利EⅠ式土偶(鎌ヶ谷市大堀込遺跡)の3Dモデルを作成し観察しました。
1 加曽利EⅠ式土偶(鎌ヶ谷市大堀込遺跡) 観察記録3Dモデル
加曽利EⅠ式土偶(鎌ヶ谷市大堀込遺跡) 観察記録3Dモデル長さ:4.8㎝
撮影場所:加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」
撮影月日:2020.11.27
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.014 processing 53 images
展示の様子
展示の様子
3Dモデルの動画
2 観察メモ
・加曽利E式期頃の東京湾大型貝塚集落ゾーンでは土偶はほとんど出土しません。しかしこの土偶そうした中で大変珍しい出土です。中期東京湾岸の土偶出土が希少である理由について学習を深めることとします。
・土偶の長さは4.8㎝であるとパンフレットに記載されています。
・頭部はありますが、顔の表現はありません。
・乳房の部分はわずかに膨らんでいますが、よく見ると一度作られた乳房を削り取った跡のような削剥平面が観察できます。
・向かって左わき腹から脚にかけて深いえぐりがあります。
・下半身をメインとして多数の沈線による傷が刻まれています。
土偶につけられた傷
・えぐり、乳房削剥、多数の沈線(傷)の大半は焼成前につくられたように観察できます。
・後期晩期の土偶は一度土偶を完成させ、その土偶を祭祀の時に破壊して各所に投げたと想定できます。しかしこの加曽利EⅠ式土偶は完成してまだ粘土が柔らかい時に、各種傷が加えられたと考えられます。焼成前に祭祀で使われた(祭祀で傷をつけられた)と想定します。
・一度使われた土偶を焼成して、再度祭祀で使ったと考えます。
・この土偶は傷はついていますが、破壊されることなく完形で出土しているのですから、土偶祭祀の様子は土偶を破壊する後晩期のそれとは大いに違っていたに違いありません。
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