谷口康浩著「土偶と石棒 儀礼と社会ドメスティケーション」学習 14
Jomon Period Ritual Catalog
Study 14 “DOGU & SEKIBOU: Rituals and the Domestication of Society in Prehistoric Jomon” by Yasuhiro Taniguchi
I studied the first chapter of “DOGU & SEKIBOU” by Yasuhiro Taniguchi. This introduces Jomon period ritual activities like a catalog, and it seems like it will be a useful resource for future Jomon studies. It also describes how Jomon period rituals developed from individual and small group activities to collective and large group activities, and their significance.
谷口康浩著「土偶と石棒」の第1章最初を学習しました。ここでは縄文時代儀礼活動がカタログのように紹介されていて、今後の縄文学習に役立つ資料になりそうです。また、縄文時代儀礼が個人的・小人数的活動から集団的・大人数的活動に発達することとその意義についても述べられています。
第1章 縄文時代の儀礼と社会
1 縄文時代後半の儀礼文化
【抜書・要約】
●多様な宗教文化の存在
・縄文時代には実は多様な儀礼や祭祀があり、その文化を共有し伝承する社会が各地に存在した。それは「アニミズム」とか「呪術」という言葉で概括できるものではなく、多様な宗教文化の存在を示している。
●縄文人が儀礼をおこなった考古学的証拠
・葬制や配石遺構、
・土偶や石棒、
・炉(火)をめぐる儀礼、
・竪穴住居廃絶儀礼、
・物語性文様(人体文や動物文)、
・身体加工(抜歯、入れ墨)、
・動物儀礼
●中期以降の特に注目される変化
・集団墓の造営と儀礼(前期)、
・土器の象徴的造形と物語性文様の発達(中期)、
・土偶の盛行と型式・系統の発生(中期)、
・石棒の盛行と製作遺跡の出現(中期)、
・再葬の発達と葬制の複雑化(後期・晩期)、
・環状列石・大規模配石の築造(中期末~後期・晩期)、
・儀礼用の精製土器の発達(後期・晩期)、
・抜歯の盛行(後期・晩期)など
●儀礼や祭祀に関わる人数規模
・草創期・早期土偶→小さく個人や小人数の行為での使用が想定できる。
・前期以降の集団墓造営、後期の大規模環状列石築造→多くの人々が関与・協力した組織的行為
・北海道後期末周堤墓、関東後期・晩期環状盛土遺構→集団共同参画による造営、集団的儀礼→その行為自体が社会集団統合の維持・強化となった
●縄文時代後半に、社会秩序維持にとって儀礼祭祀の重要性が増大
・宗教的イデオロギーが社会統合の中核的原理となりつつあった。
・大規模な共同祭儀はさまざまな役割を分掌する個人や集団の存在を前提とする。
・司祭者の存在が欠かせない。
【感想・メモ】
・この小節は縄文時代儀礼カタログといえる貴重な情報であると認識して、今後の学習で活用することにします。縄文時代の主要儀礼リストを労なく入手できたことになります。
・儀礼が個人的小人数的な規模から集団的大人数的な規模に変化し、その変化が社会複雑化に対応していることを知る(確認する)ことができました。
・さらに、社会複雑化が進行した縄文時代後半には儀礼活動が社会秩序維持に重要な役割を果たしていたことを知る(確認する)ことができました。
【感想 2】
儀礼活動の例として、「関東後期・晩期環状盛土遺構→集団共同参画による造営、集団的儀礼」が出ています。この例に触発されて、次のような感想が頭に浮かび上がっていますので、忘れないうちにメモしておきます。
現在学習中の有吉北貝塚北斜面貝層は、ガリー侵食谷埋土遺構と呼べるもので、集落住民による共同参画により短期間に意識的に造営された可能性がある。集中して観察される散乱人骨、儀礼跡である可能性が濃厚な遺物(多数のイノシシ顎骨、完形出土する祭祀用土器・・・)、集中投棄された土器、純貝層投棄時期と混貝土層形成期の繰り返しなど。
ガリー侵食地形を遺物と貝層で埋めつくした直後、有吉北貝塚集落がほぼ消滅します。集落廃絶と埋土遺構形成が関連するのかもしれません。
土偶(本文と関係ありません)
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