2024年8月23日金曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 イノシシ顎骨分布と他遺物分布との関係(メモ)

 The distribution of wild boar jawbones in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound, and their relationship to the distribution of other remains (note)


The distribution of wild boar jawbones in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound seems to be closely separated, interlocking with the distribution of scattered human bones near the head of the gully, and with shell ornaments in the lower reaches of the gully. I imagine this may reflect the space for ritual activities.


有吉北貝塚北斜面貝層のイノシシ顎骨分布は、ガリー谷頭部付近で散乱人骨分布と、ガリー下流部で貝製装飾品と「噛み合う」ように密着分離しているように感じられます。儀礼活動空間が反映しているかもしれないと想像します。

1 イノシシ顎骨分布と散乱人骨分布(ガリー谷頭部付近)


イノシシ顎骨分布と散乱人骨分布(ガリー谷頭部付近)

イノシシ顎骨出土が多いグリッド(2m×2m)は散乱人骨出土が少なく、逆にイノシシ顎骨出土が少ないグリッドは散乱人骨出土が多いような印象を受けます。

故人の埋葬をした場所の近くで埋葬儀礼活動を行い、その一環でイノシシを食したとすれば、埋葬場所と儀礼活動場所は区画されて隣接する可能性があるので、このような分布対応が生まれるかもしれません。

2 イノシシ顎骨分布と貝製装飾品(ガリー下流部付近)


イノシシ顎骨分布と貝製装飾品(ガリー下流部付近)


ガリー下流部から出土した貝製装飾品の例(男性リーダーが付けていたイモガイ製腰飾)千葉市立郷土博物館「千葉市出土考古資料優品展」2022.01.04撮影

イノシシ顎骨出土が多いグリッドは貝製装飾品が少なく、逆にイノシシ顎骨出土が多いグリッドは貝製装飾品が多いと言えます。「噛み合う」ように密着分離しているように観察できます。

故人の埋葬が別の場所で行われ、北斜面貝層ガリー下流部付近で祭壇を設けて埋葬儀礼活動が行われたと想定してみます。その場合、祭壇で故人の持ち物の貝製装飾品を埋納し、その祭壇前でイノシシを食する儀礼活動があったと考えてみます。そのように想定すると、祭壇位置とイノシシ食儀礼活動場所が区画隣接します。その様子が発掘におけるイノシシ顎骨グリッド分布と貝製装飾品分布に反映したのかもしれません。

3 今後の検討

グリッド(2m×2m)を使った分布では、大局観を得ることができますが、精細な分布分析はあまり意味をなしません。また現時点の情報はすべて2次元情報です。

今後遺物の精細な3D座標情報を取得して、つまり遺物の3D位置情報を原理的に㎜単位で取得して、遺物間関係を把握する予定です。


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