鏡味完二の地名型全21の19番目「新田」について千葉県小字データベースを試用して検討します。
1 鏡味完二の検討 地名型「新田」
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Sindenの地名
"~新田"という開墾地名は,多くの文献を整理してみると,江戸時代前~中期に盛行し,その最盛期は1650~1700年頃となる。
その新らしい例は明治維新まで時代が下る。
分布のPatternは明確に江戸中心である。
〔地図篇,Fig.237〕
(Fig.22,No.19)
上述の2つの地名型,SyukuとSindenは江戸中心の分布Patternを示し,何れもその地名個数が前代未聞の移だしい数に上っていることから,江戸時代における実際上の政治中心の東方移動によって,とくに東北日本の開墾が躍進し,西南日本に対して東北日本の文化の比重が重きを加えた時代であったことを知る。
鏡味完二(1981)「日本地名学(上)科学編」(東洋書林)(初版1957年) から引用
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2 千葉県における小字「新田」の検索結果
千葉県小字データベースから802件の「新田」を含む小字を抽出しました。
出現数の多い名称は次の通りです。
小字「新田」の名称内訳
なお、日本の地名では個人名が冠されることは稀ですが、新田地名に限ると個人名が冠されたものが存在します。
●個人名が冠された新田小字の例
喜兵衛新田(市原市)、九郎左エ門新田(松戸市)、重兵衛新田(成田市)、南伊左衛門新田(大網白里市)、北伊左衛門新田(大網白里市)
分布は次のようになります。
小字「新田」分布
千葉県全域に分布しますが、詳細に観察すると地域によって偏在している様子をみることができます。
九十九里浜の低地には特に密に分布しています。
新田地名の詳細な検討は今後の課題とします。
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