2019年8月25日日曜日

安行式非自立形椀(下ヶ戸貝塚)の意義

縄文土器学習 245

我孫子市教育委員会1階ロビーに展示されている安行式非自立形椀(下ヶ戸貝塚)の観察記録3Dモデルを作成するとともにその意義について考えてみました。

1 観察記録3Dモデル

安行式非自立形椀 下ヶ戸貝塚 観察記録3Dモデル
撮影場所:我孫子市教育委員会1階ロビー
撮影月日:2019.08.20
強反射ガラスショーケース越し撮影
椀の底が丸く、自立できない
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.506 processing 19 images

展示風景

2 底部球形の確認
底部が出土残存物から球形であることを確認してみました。

残存部を緑塗色

残存部を緑塗色
3Dモデル画面の中で確かに残存部から底部球形という形状復元が行われていることを確認できました。

3 底部球形の意義
底部球形であるため、液体を入れた時自立できない構造になっています。これからこの椀は両手で持って使っていたことがわかります。
この椀は人から人へ手渡しで渡されて使われたことがわかります。
この椀は酒を注ぎ、人から人へ回し飲みされることのみを目的につくられた酒宴用椀であると考えられます。
同じ盃で酒を飲みかわし、仲間意識を強める、夫婦の契りを結ぶ、主従関係を結ぶは現代にも伝わってきています。
この安行式期酒宴用椀は、現代日本人にも伝わる「同じ盃で酒を回し飲みする」という風習の起源となる活動で使われた酒宴専用椀であると考えます。
なお、同じ盃で酒を回し飲みする活動の奥底には、少なく貴重な酒を全員に行き渡るように少しずつ口に含むという平等原理が潜んでいると考えます。

4 小突起
この椀には小突起が付いています。椀として使う容器の始原が鉢にあることを示しています。

5 器台とは無関係
「我孫子市史 原始・古代・中世編」には次のような記述があります。
「安行式は、煮炊きや貯蔵等に使われた深鉢のほかに、きれいな口縁部文様や装飾のついた浅鉢、台付の浅鉢、埦、注口土器、皿、コップ状埦など器形、器種が多様になり、中には底部が球形で自立できないものも見られ、器台などと組み合わせて使われたのであろう。」
器台は加曽利E式頃にみられ、その系統は異形台付土器に変化していったと自分自身は想定してます。安行式期頃には「器台」の出土は無いと思いますので上記記述は勘違いだと思います。自分自身は器台はモノを載せる台ではなく、大麻薬用成分吸引装置の基礎部分パーツであると考えています。

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