2011年7月14日木曜日

千葉市花見川区に在った旧軍毒ガス演習場 1

            下志津特殊演習場の位置(付図第六其一)

 2011年6月19日記事「下志津射場図5近衛師団管轄演習場規程(下)」で記述したとおり、下志津演習場を拡張し宇那谷集落を移転させた後、近傍に特殊演習場(毒ガス演習場)がつくられたことを史料から知りました。
 特殊演習場が千葉市花見川区に存在したことは現在の市民、行政に知られていませんので、6月19日以降にわかった史料情報を記録しておきます。

1近衛師団管轄演習場について
 全国の陸軍演習場は「陸軍演習場規則」(以下「規則」と略称します)により管轄軍令官師団長と使用団隊が詳細に定められていました。
 昭和15年の規則では、近衛師団長が富士裾野、北富士、西富士、相模原、一宮、下志津、習志野、溝ノ口、八柱の9演習場を管轄しています。(規則は国立公文書館アジア歴史資料センターのWEBで史料閲覧できます。)

 下志津演習場、習志野演習場の使用団隊は共通で、「東京、国府台、下志津、習志野、千葉、佐倉、原町田諸団隊」となっています。

2近衛師団管轄演習場における特殊演習場について
 近衛師団管轄演習場規程(昭和17年4月1日、近衛師団司令部)(以下「規程」と略称します)(防衛省防衛研究所史料閲覧室で閲覧可能)では、上記規則に定められた9演習場の細部事項を定めています。

 規程の中で、特殊演習場は富士裾野演習場内2箇所(瀧河原特殊演習場、板妻特殊演習場)と、下志津特殊演習場、習志野特殊演習場の合計4箇所が定められています。

 規程の付図目次によれば、この規程の付図として「付図第一其三 瀧河原特殊演習場要図」、「付図第一其四 板妻特殊演習場要図」、「付図第六其三 下志津特殊演習場要図」、「付図第七其三 習志野特殊演習場要図」があります。(史料未発見)

参考 規程の「付図目次(別冊トス)」に掲載されている付図リストは次の通りです。
付図第一
其一其二 富士裾野演習場要図
其三 瀧河原特殊演習場要図
其四 板妻特殊演習場要図
其五 瀧河原廠舎ノ配置及収容人馬数要図
其六 板妻廠舎ノ配置及収容人馬数要図
其七 駒門廠舎ノ配置及収容人馬数要図
付図第二
其一 北富士演習場要図
其二 北富士廠舎ノ配置及収容人馬数要図
付図第三
其一 西富士演習場要図
其二 西富士廠舎ノ配置及収容人馬数要図
付図第四
相模原演習場要図
付図第五
其一 一ノ宮演習場要図
其二 一ノ宮廠舎ノ配置及収容人馬数要図
付図第六
其一其二 下志津演習場要図(※)
其三 下志津特殊演習場要図
其四 下志津廠舎ノ配置及収容人馬数要図
其五 栗山廠舎ノ配置及収容人馬数要図
付図第七
其一其二 習志野演習場要図
其三 習志野特殊演習場要図
其四 西廠舎ノ配置及収容人馬数要図
其五 東廠舎ノ配置及収容人馬数要図
其六 東新廠舎ノ配置及収容人馬数要図
付図第八
溝ノ口演習場要図
付図第九
其一 八柱演習場要図
其二 八柱廠舎ノ配置及収容人馬数要図

※「付図第六 其一 下志津演習場要図」は図郭内情報全部が、「付図第六 其二 下志津演習場要図」は主要部が「絵にみる図でよむ千葉市図誌 下巻」(千葉市発行)に掲載されています。これを含めて付図原本は全て所在情報不明です。
(つづく)

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