花見川流域の小崖地形 その85 (5mメッシュDEM図を読む 24)
1 新発見地形面の分布
新しい地形面を図上で発見したので、記録しておきます。
新発見地形面をこのブログでは仮称としてオ面(※)と呼ぶことにします。オ面は杉原(1970)では下総上位面に区分されている場所に在ります。
次にオ面の分布と断面図線の位置を示します。
オ面の分布と断面図線位置
基図は地形段彩図
参考 オ面の分布と断面図線位置
基図は標準地図
標準地図は電子国土ポータルによる。
2 断面図
次に断面図を示します。
2-1 断面図12
下総上位面一般面、オ面、下総下位面ウ面が階段状に分布しています。
下総下位面一般面とオ面の比高は約4m、オ面と下総下位面ウ面高所との比高は約3mです。
断面図12と考察
2-2 断面図13
二重川に分布する河岸段丘としてのオ面の縦断図です。
下総上位面一般面とオ面との比高は約3.5mあります。
この断面図でオ面と一番右の下総下位面ウ面の標高差は約1mであり、オ面と下総下位面ウ面がつながらないにしても、時間的に近似した時代に形成されたことを想像させます。
今のところは、オ面とした地形面と下総下位面ウ面とは断面図上ではつながらないと考えます。
下総下位面ウ面はその形成過程における浸食により、幾つかの地形面に細分して捉えることができるようです。
断面図13と考察
2-3 断面図14
二重川谷津の横断図です。
オ面が標高23~24m付近に分布し、下総上位面一般面との比高は3.5m程あります。
杉原(1970)の地形分類図では二重川谷津に千葉段丘の分布が描かれていますが、この断面図では標高17m~18m付近にその千葉段丘が認められます。
断面図14と考察
2-4 考察
以上3つの断面図から、これまで発見されていなかった顕著な段丘地形(オ面)の存在を確認することができました。
オ面は杉原(1970)で下総上位面の区域に入っているので、当面作業上は「下総上位面オ面」として扱って行きます。
感覚的には、オ面は下総下位面のグループに入れて考えた方が、地形理解が簡便になるのではないかと考えますが、オ面を下総下位面のグループに入れるべき証拠がないので、上記の扱いとします。
二重川谷津に分布するオ面の存在は、下総上位面が陸化した後(つまり下総下位面の時代頃)にそこに河川(谷津)が在ったことの証拠となります。
そのオ面が印旛沼筋下総下位面に沿って分布を広げています。(断面図12)
この事実から印旛沼筋下総下位面は海の跡ではなく、河川(谷津)の跡であると考えることができます。
二重川谷津は下総上位面分布域から出て下総下位面分布域に出ると、その方向を北に転じます。近隣の谷津も同じ傾向を示します。
この谷津の方向変化は下総下位面に古河川が流れていた頃、その古河川は北西に向かって流れていたこと(現在の神崎川の方向とは真逆であること)を物語っています。
オ面の検討からも、印旛沼筋の河川の流下方向が、地史上のある時点で、真逆に変化したという常識を覆す一大ドラマ(河道逆行型河川争奪)の存在にたどりつきます。
3 参考 検討図のGoogle
earth表示
検討図のGoogle earth表示
検討図のGoogle earth表示
検討図は半透明
検討図付近のGoogle earth表示
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※
このシリーズ記事では、新しく気がついた順に、地形面をア面、イ面、ウ面・・・とします。
地形断面図(縦断図、横断図等)も同様に掲載順に断面図1、断面図2、断面図3・・・とします。
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