私のささやかなGIS技術開発 2
これまでこのブログでは遺構別分布図つまり竪穴住居や掘立柱建物など別分布図はIllustratorのレイヤーを利用して作成してきました。
ですから分布図をつくる都度ごとにIllustratorのレイヤーを作り遺構を確認しながらプロットしていました。
Illustratorをつかった遺構別分布図の例(上ノ台遺跡)
2015.02.20記事「上ノ台遺跡 滑石模造品工房」
しかし情報量が多くなると、1枚1枚新たにプロットする作業は大変非効率的です。
そこで、遺構の緯度・経度情報を1度調べたら、それをexcelファイルに記載することによって、どのような項目のプロットでもGISソフトが自動で行う方法を技術的に確かめ、今後実用化できるようにしました。
自分レベルでは大きな技術開発です。
次のexcelファイルが遺構別分布図の原本です。
遺構別分布図原本となるexcelファイル
遺構名称、緯度・経度の他分布図を作成したい項目の情報を書きこみます。
緯度・経度は遺構分布図をGISに位置合わせをして貼付け、それを下敷きに遺構をプロットし、そのプロットファイルをCSVファイルで書き出すことによって取得します。
この情報例は白幡前遺跡1Bゾーンを対象に、千葉県墨書土器・刻書土器データベースの情報を遺構別に整理してつくった情報です。
例えば墨書文字「生」が含まれている遺構をプロットしたいときは上記excelファイル原本から「生」関連の情報だけを抜き出して、次のようなCSVファイルを作ります。
プロットに使うCSVファイルの例
このCSVファイルを地図太郎PLUSに「他形式を編集レイヤに読み込み」すると、情報がGIS画面上にプロットされます。
この方法で幾つかの文字のプロットをした例を次に示します。
文字別墨書土器分布の例
この図では文字が小さくて見にくいですが、その文字の出土土器数も表示させています。
次の例は、データベースに記載されている時期をそれぞれプロットしたものです。
時期別墨書土器分布の例
8世紀後半から9世紀前半に分布域が拡大していて、その頃がこのゾーンの墨書土器最盛期であることが良くわかります。(ただし、時期の判明している情報だけを表示しています。)
墨書土器出土遺構の分布
ここに示したような分布図を1枚1枚プロットするのではなく、excelファイルの操作でできるのですから、きわめて効率的です。
この方法を白幡前遺跡の全てのゾーン、萱田遺跡群の全てのゾーンに適用すれば墨書土器について新たな知見が多く発見できると考えます。
さらに墨書土器だけでなく、他の遺構別情報(土器、鉄製品、銙帯、ハマグリ…)も同じく分布図にできますし、遺構そのものの情報(規模・構造等)も分布図にできますし、それらの項目間の重なり具合や関連性も一目瞭然にわかります。
遅ればせながらGIS基本操作の一つを見につけることができました
今後はこの方法を基本に検討を進めたいと思います。
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