花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.4〔仮説〕律令国家の直線道路、東海道水運支路の検討>3.4.193 萱田遺跡群の墨書土器率
萱田遺跡群について器種別に墨書土器数を求め、器種別土器数を比較して、墨書土器率を計算してみました。
萱田遺跡群の墨書土器率
器種別墨書土器数をグラフにすると次のようになります。
萱田遺跡群 器種別墨書土器数
墨書土器は坏類と皿類に偏在しています。
坏類と皿類で98%を占めます。
一方、器種別土器数は次のようなグラフになります。
萱田遺跡群の器種別出土土器数
この二つの情報から器種別墨書土器率は次のようになります。
萱田遺跡群 器種別墨書土器率
坏類36.0%、皿類31.1%となります。
これらの情報から、墨書土器として使われる器種は坏類と皿類にほとんど限られると考えても差し支えない状況があると考えます。
その背景に坏類と皿類が個人利用(所有)の器種であり、他の器種は建物単位に供えられた器種であるという事情があるものと考えます。
なお、皿類は坏類出土数の13%程度しかありません。
皿類は坏類と比べて食器としての汎用性に難点がありますが、食物のプレゼンテーションでは坏類より優れています。
従って、皿類は坏類の所持を前提にして第2のマイ食器として使われたのではないかと想像します。
食器としては坏類より皿類の方が高級品(贅沢品)の部類に入っていたのではないかと考えます。
裕福さと権力がある個人から順番に、坏類に加えて皿類も所持したのではないかと想像します。
(近隣出土地において、坏類と皿類の墨書文字筆跡が類似した(同一人筆跡の可能性が高い)例が多数見つかれば、この仮説の確からしさが増します。)
坏と皿(高台皿)の例
千葉県の歴史資料編古代別冊出土文字資料集成から引用
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