縄文土器学習 597
加曽利貝塚博物館常設展で観覧した勝坂・阿玉台末/加曽利EⅠ初土器(千葉市加曽利貝塚北貝塚)の渦巻文に強い刺激を受けて、その感想を2021.05.10記事「加曽利EⅠ式土器渦巻文から強い刺激を受ける」でメモしました。この記事では土器全体の3Dモデルを作成し、全体の感想(想像)をメモします。
1 勝坂・阿玉台末/加曽利EⅠ初土器(千葉市加曽利貝塚北貝塚) 観察記録3Dモデル
勝坂・阿玉台末/加曽利EⅠ初土器(千葉市加曽利貝塚北貝塚) 観察記録3Dモデル撮影場所:加曽利貝塚博物館常設展
撮影月日:2021.05.07
ガラスショーケース越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.019 processing83 images
展示の様子
3Dモデルの動画
2 GigaMesh Software Frameworkによる展開
GigaMesh Software Frameworkによる展開
3 感想(想像)
ア 渦巻文連結による水のネットワーク
上下を刻みのある隆線で囲まれて、4つの渦巻文が連結している様子が観察できます。渦巻文は土器内部に水が流れ込んでいる様子を表現していると前記事で想像しました。従って、渦巻文(泉)が河川で繋がってネットワークとなり土器を巡っていると捉えることができます。糸巻状把手は空中高く吹き上げる自噴井であるという想像を加えると、この土器は四方に枯れることのない自噴井と泉に囲まれたユートピア世界、飲料水や生活用水に苦労することのない理想世界を表現していると考えます。縄文時代にあっては豊かで清潔な泉の存在が集落生活に不可欠な重要基本条件であったことをこの土器から偲ぶことができます。
イ 4把手の意義空想
4つの把手は空中に吹き上がる自噴井の表象であると考えます。(湧水は縄文時代には無数に存在し、吹き上がるようなイメージのものも各地に存在していたと想定します。)この4つの把手は縄文人の空間観が込められていると想像します。具体的には4つの把手と東西南北が対応しているのではないだろうかと想像します。大きな把手は南北を、小さな把手は東西かもしれません。把手・渦巻文セットの文様チェック比較が詳しくできれば、4つのうち1つだけ、あるいは4つともに差異が見つかり、4方位意識の跡と想定できるかもしれません。
ウ 類似土器例
この土器の類似例として有吉北貝塚出土加曽利EⅡ式土器sk270-1(加曽利博2018年度企画展展示)をあげることができます。
sk270-1
sk270-1の観察
4つの把手が2つ1組合計2組になり、それぞれ口唇部沈線で繋がっています。自噴井のネットワークであると想像します。把手にはS字文が描かれています。S字文とは二つの渦巻(=泉)のネットワークであると想像します。口縁部にはやはり二つの渦巻が連結して描かれているところがあります。これも泉のネットワークであると想像します。4つの把手がどのように東西南北と対応するのか、詳しく観察できれば判るかもしれません。
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