2020年7月25日土曜日

君津市三直貝塚出土の加曽利B1式小型深鉢の観察

縄文土器学習 435

加曽利貝塚博物館で開催中の「ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編」で展示されている加曽利B1式小型深鉢を3Dモデルを作成して観察しました。

1 加曽利B1式小型深鉢(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

加曽利B1式小型深鉢(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編
撮影月日:2020.07.21
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.002 processing 53 images

展示の様子

特殊モード写真

動画

2 発掘調査報告書の実測図と記載

発掘調査報告書実測図
「東関東自動車道(木更津・富津線)埋蔵文化財調査報告書7-君津市三直貝塚-(第1分冊)」(平成18年3月、東日本高速道路株式会社・財団法人千葉県教育振興財団)から引用

●発掘調査報告書記載
「1は小型深鉢で、磨消縄文による連続する階段状の文様が特徴的である。口縁部外面の「S」字形の装飾は1つのみである。内面の調整は丁寧な磨きで、黒色である。」


3 GigaMesh Software Frameworkによる3Dモデルの展開図作成

GigaMesh Software Frameworkによる3Dモデル展開図
テクスチャタイプ

GigaMesh Software Frameworkによる3Dモデル展開図
ソリッドタイプ

4 メモ
・階段状の文様は珍しいもので、それを意識して観察したのは初めてです。また口唇部近くのS字状の小さな装飾もめずらしいと感じました。
・磨消部が黒色に磨かれていますが、縄文のへこみ部分が粘土の茶色で残っているので、黒色は炭などを塗り込んだのかもしれません。
・胴部下部に火炎を受けた様子がないので、液体を神様に捧げる祭器として使われたものと想像します。あるいは花瓶のような利用であったかもしれません。
・考古遺物ではなく、造形芸術物としてみれば、その価値と展示ショーケースの簡易なつくりがアンバランスに感じてしまいます。

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