Prototype red stereoscopic image of point
Using a point as an example, the surface fine irregularities were expressed in a red stereoscopic image, and the correspondence with the actual measurement map was examined in advance. A red stereoscopic image is an image created based on the red stereoscopic principle (invented by Tatsuro Chiba). In this image, the unevenness of the feature is expressed intuitively. I would like to thank Mr. Tatsuro Chiba for teaching me how to create a red stereoscopic image.
箕輪村神子柴遺跡出土の下呂石製尖頭器を例に、石器の微細凹凸を赤色立体画像でテスト表現し、実測図との対応やその応用を予察検討しました。赤色立体画像は赤色立体地図(千葉達朗先生発明)の原理(赤色立体原理)に基づいて作成される画像です。赤色立体画像をつくることにより、ものの凹凸がだれにでも直観的に判りやすく表現できます。なお、赤色立体画像作成方法は千葉達朗先生にご教授・ご指導していただきました。貴重な情報を教えていただき、心から感謝申し上げます。
1 赤色立体画像の作成ステップ
今回の赤色立体画像が出来るまでのステップは次の通りです。
ア 展示尖頭器の周回撮影
今回は伊那市創造館でショーケース越しに82枚の写真を撮影しました。
尖頭器展示の様子
イ フォトグラメトリーソフトによる3Dモデル作成
フォトグラメトリーソフト(写真測量ソフト)である3DF Zephyr Liteで尖頭器の3Dモデルを作成しました。
尖頭器(箕輪村神子柴遺跡) 観察記録3Dモデル Pointウ 高さをグレー濃淡で表現する画像の作成
3Dモデルから高さをグレー濃淡で表現する画像を作成します。3DF Zephyr Liteで作成しました。
高さをグレー濃淡で表現した画像
エ 赤色立体画像の作成
高さをグレー濃淡で表現した画像をPhotoshopに投入して、幾つかのレイヤーをつくり、フィルター機能等を使って赤色立体画像をつくります。機能を適用する時の数値は画面の様子を見ながら「現場合わせ的感覚」で決める場面もあります。
2 試作画像
赤色立体画像試作画像
展示石器は平べったく、色も地味であるので、現物をまじかに観覧している時も、あるいは撮影した写真を観察している時も表面の微妙な凹凸を詳しく把握することは困難です。しかし、この赤色立体図ではそれが如実に理解できます。石器を作るときの敲打痕の様子が良くわかります。赤色立体原理の素晴らしさが実感できる画像です。
なお、Photoshop作業に習熟すればより訴求力のある赤色立体画像ができると思われます。また、Photoshop作業の前提となる高さ表現グレー画像の情報量を大きくできればより優れた表現が可能となると考えられます。
3 赤色立体画像と実測図の対比
赤色立体画像と実測図(図書「神子柴」※から引用)を対比させてみました。
赤色立体画像と実測図の対比
実測図とくらべると赤色立体画像の立体感表現がきわめて秀でていることがわかります。実測図は赤色立体画像よりも表面形状表現ははるかに細密ですが、立体性の表現はされていません。赤色立体画像と実測図をオーバーレイするとその位置関係が正確に対応します。赤色立体画像は写真測量技術で作成されたものであり、測量的に正確です。また実測図も細密正確に描かれています。従ってその双方がピタリと一致しました。
※林茂樹・上伊那考古学会編「神子柴 Mikoshiba Site 後期旧石器時代末から縄文時代草創期にかかる移行期石器群の発掘調査と研究」(2008、信毎書籍出版センター)
4 赤色立体画像の応用
尖頭器の赤色立体画像とその応用
赤色立体画像をテクスチャ(写真)とミックスしたり、干渉色変換画像とミックスしたりして立体感のあるテーマ画像(目的画像)をつくることができます。
5 感想
尖頭器の赤色立体画像をつくることとは、尖頭器の表面を地形に見立てて、その赤色立体地図をつくっていることと同じです。赤色立体画像を作ることにより、尖頭器に対する認識がより深まることは確実です。
赤色立体原理適用は尖頭器のみならず、他の石器、土器をはじめ他の遺物に対しても効果的であると考えます。
赤色立体原理は3Dモデル技術の可能性を拡大する重要な原理であると考えます。この原理を発明した千葉達朗先生に感謝します。
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