谷口康浩著「土偶と石棒 儀礼と社会ドメスティケーション」学習 9
The relationship between ritual acts and the body
Study 9 “DOGU & SEKIBOU: Rituals and the Domestication of Society in Prehistoric Jomon” by Yasuhiro Taniguchi
In the explanation of “Ritual Acts and Context” in “DOGU & SEKIBOU” by Yasuhiro Taniguchi, it is stated that the relationship between ritual acts and the body is an important research perspective. This is a very important point. Inspired by this point, I thought about how to hold the rock slab on display.
谷口康浩著「土偶と石棒」の「儀礼行為とコンテクスト」説明の中で、儀礼行為と身体との関係が重要な研究視角になることが述べられています。とても重要な指摘です。この指摘に触発されて、展示岩版の握り方思考を楽しむことができました。著者に感謝です。
序章 儀礼考古学の現代的意義
2 儀礼考古学の研究法一モノ・行為・コンテクストー
(3)儀礼行為とコンテクスト
「また、儀礼行為と身体との関係も重要な研究視角となる。厳格な形式に則った身ぶりや所作、特定の者だけに許される振る舞い、舞踏や歌謡のような演劇的要素、抜歯や入れ墨のような苦痛を伴った身体加工など、さまざまな形で儀礼は身体や動作と結びっいている。断食や人身供犠も身体を用いた究極の儀礼といえる。
義礼と身体動作が強く結びつくのは、厳格な修練によつて心身を統合してはじめて超越的存在に近づくことができると信じられているからであろう。
身体や身ぶりが社会性・歴史性を帯びていることは、社会学者のM.モースやP.ブルデユが論じたとおりである(モース1976、ブルデュ1988)。儀礼における身体動作には特にそうした性質が凝縮していたことであろう。こうした議論を援用し、特定の身体技法や身ぶりの型を考古資料から復元することが、儀礼研究の一つのアプローチとなる。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)
【本書のこの記述に触発されて楽しんだ思考】
本書のこの記述に触発されて、次の思考を楽しみました。
2024.07.06記事「岩版(群馬県東吾妻町唐堀遺跡)観察記録3Dモデル」
岩版を使った祈り(超想像)
なお、この思考は次の情報に立脚しています。
岩版に親指置き場があることから、また、縄文渦巻きについて知識を蓄積していることから、さらに唐堀遺跡から結婚関連シンボル(木柱、耳飾り)が出土していることから、
2024.07.01記事「耳飾り5点(群馬県東吾妻町唐堀遺跡)観察記録3Dモデル」
2024.06.30記事「彫刻のある木柱(群馬県東吾妻町唐堀遺跡)観察記録3Dモデル」
このように思考を楽しみました。
この思考は本書谷口康浩著「土偶と石棒」を読んでいなければ決して生まれなかったと考えられます。著者に感謝します。
【苦痛を伴った身体変工の存在を疑っている事例】
webや図書からそのような身体変工を確認したことはありませんが、石棒装飾から、縄文後晩期にはペニスに身体変工していたと想像しています。とても苦痛を伴うものだったと考えます。
石棒の先端部に装飾のあるものがかなりあります。
先端部に装飾のある石棒(これまでに作成した3Dモデル画面)
空想ですが、このような身体変工が縄文時代に存在していたのかもしれません。
メキシコのウシュマル遺跡(マヤ文明)ではペニスに身体変工した石像を見たことが(説明を受けたことが)あります。
傷のついたペニスを出した石像(ウシュマル遺跡)
ウシュマル遺跡全景
【苦痛を伴う身体変工の意義】
抜歯、イレズミなどの苦痛を伴う身体変工、断食や人身供犠など身体を用いた究極の儀礼(究極の苦痛)の意義について、人類に備わった本能的心理特性である「幸福否定」(心理療法家笠原敏雄先生提唱)という概念で捉えられるのではないだろうかと以前から思考を深めています。
2021.10.03記事「メモ」ブログ「学習 幸福否定」
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