2024年6月30日日曜日

彫刻のある木柱(群馬県東吾妻町唐堀遺跡)観察記録3Dモデル

 3D model of observation record of carved wooden pillar (Karahori site, Higashi-Azuma-machi, Gunma Prefecture)


I created a 3D model of the observation record of the carved wooden pillar (Karahori site, Higashi-Azuma-machi, Gunma Prefecture) exhibited at the Chiba Prefectural Museum special exhibition “Excavated Japanese Archipelago 2024” . Since many earrings excavated at the same time had a similar pattern to the carving, I thought it was an auspicious pattern celebrating marriage.


千葉県立中央博物館特別展「発掘された日本列島2024」に展示されている彫刻のある木柱(群馬県東吾妻町唐堀遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。彫刻と類似した文様が同時出土した耳飾に多数存在していることから、結婚を祝う吉祥文様と考えました。

1 彫刻のある木柱(群馬県東吾妻町唐堀遺跡)観察記録3Dモデル

彫刻のある木柱(群馬県東吾妻町唐堀遺跡)観察記録3Dモデル

縄文時代後期後葉(約3240年前)

水場遺構から出土

撮影場所:千葉県立中央博物館特別展「発掘された日本列島2024」

撮影月日:2024.06.25


展示の様子

3DF Zephyr v7.531 processing 220 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 資料 発掘調査報告書掲載6面図

発掘調査報告書に当該遺物3Dモデルから作成した6面図が掲載されています。


発掘調査報告書掲載6面図

発掘調査報告書から引用

3 メモ

3-1 出土状況(展示説明)


出土状況

「水場遺構の水路を構成する石組下部からは、彫刻のある巨大な木柱が出土しました。彫刻面を上に向けて平置し、石や土をかぶせて埋納したと考えられます。縄文時代の類例品としては全国3例目の発見です。

唐堀遺跡は関東北西部の山あいの地に暮らした縄文人の食生活や精神文化、地域間の交流の様子を知る上て重要な遺跡です。」


出土状況

トチの実の殻の層(黒い層)と砂層(灰色の層)が交互に堆積しています。深さは約1.5メートル。殻の層の厚さは最大で20センチもありました。最上層部(左上の穴の部分)に彫刻のある木柱が埋まっていました。


木柱説明

角柱状に整形し、一面に連続するU字形文様を彫刻しています。文様は周りを削り落として浮き出させています。木柱の中心に突起部(▲)があり、ここを基点に左右対称に同じ形・大きさ・深さ・間隔のU字形文様を彫刻しています。樹種はクリで、全長153センチ。縄文時代の彫刻木製品としては石川県真脇遺跡、岩手県萪内遺跡に次ぐ全国3例目の発見です。縄文人の精神文化の奥深さを考える上で貴重な遺物といえます。

3-2 彫刻のある木柱のU字形文様に似た文様を持つ耳飾(同時出土)


彫刻のある木柱のU字形文様に似た文様を持つ耳飾(同時出土)

同時に展示されている耳飾に「彫刻のある木柱のU字形文様に似た文様を持つ耳飾」があります。文様の趣旨が同じであることは誰の目にも明白です。


彫刻のある木柱のU字形文様に似た文様を持つ耳飾

発掘調査報告書から引用

3-3 文様が似た耳飾(発掘調査報告書から)

発掘調査報告書をみると、文様が似た耳飾がいくつかあります。


文様が似た耳飾

発掘調査報告書から引用


文様が似た耳飾

発掘調査報告書

耳飾の文様と木柱の文様は、二つの凸部が結ばれているイメージを持てる文様として共通であると考えることができます。


共通する文様の1単位

3-4 文様の意義(想像)

木柱の文様が耳飾の文様と共通です。一方、耳飾の文様は全て吉祥文様であると想定できます。従って、木柱の文様は吉祥文様であり、具体的には男女の結婚を寿ぐ文様であると想像します。木柱には男女結婚を祝う文様が2単位彫刻されていると考えます。

この木柱が出土した水場が結婚式などの祝祭も行われた祭祀の場であったと考えます。そしてその場が祭祀の場として終焉する時を迎え、木柱が埋納されたと想像します。


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