2020年4月6日月曜日

大小ペア異形台付土器(夫婦土器)を女性が作った意義

縄文土器学習 393

異形台付土器が加曽利貝塚の特殊遺構から大小ペアで出土しました。その大小ペアである特性を夫婦(めおと)土器と表現して、祭祀で男女がそれぞれ使う祭器であるという考察をしました。2020.04.04記事「異形台付土器が大小ペアで出土した意義
一方、山田康弘著「縄文時代の歴史」(2019、講談社現代新書)学習で、土器は女性がつくったと考えることに、自分の無意識抵抗に抗って、新たに思考することにしました。
ブログ「芋づる式読書のメモ」2020.03.27記事「土器は女性がつくったのか?
土器や土偶などは女性が作ったに違いないと、しっかりと考えるようになりました。

さて、上記学習の結果、大小ペア異形台付土器は女性が作ったことになりなります。この意義は大変大きいことに気が付きましたので、それを驚きをともないつつメモしておきます。

1 大小ペア異形台付土器を使う祭祀は女性主導
大小ペア異形台付土器(夫婦土器)は夫婦の各出自集落を意識せざるを得ない祭祀、例えば婚礼や葬祭などで祭具として使われたと考えました。
その祭具を女性が作っているのですから、その葬祭の主催・主導は女性であると考えます。
異形台付土器は現代人が未発見の実物けむり発生装置のフィギュアであると想定しています。実物装置を用意しなくても、そのフィギュアで実物と同じ効果を得るというという、きわめて抽象性の高いイコンとしての祭具が異形台付土器であったと想定しています。
そのフィギュア=イコンはそれを作成する行為自身も一種の儀式に近いものであり、作成に際して物語や神話が唱えられていたと想像します。
つまり、異形台付土器は女性が儀式を伴って作った祭具です。
その祭具をつかった祭祀は女性が主催・主導するものであったと考えざるをえません。

婚礼や葬祭などで使われる祭具(異形台付土器)が女性によってつくられたという想定から、それらの祭祀は女性によって主催・主導されたと作業仮説します。

大小ペア異形台付土器(加曽利貝塚)

2 石棒を使う祭祀は男性主導
1と同じ論法で、石棒は男性が儀式を伴いつつ作成し、男性が主催・主導する祭祀で使われたものと作業仮説します。
山田康弘著「縄文時代の歴史」(2019、講談社現代新書)では石棒について次のような記述をしています。
石棒の多くは最後に火にくべられたのか、熱を受けて赤くなっており、また意図的に打ち壊されたようである。おそらく、石棒を用いた祭祀の中には、性行為時の男性器のあり方、すなわち「勃起→性行為→射精→その後の萎縮」という一連の状態を擬似的に再現する、「摩擦→叩打→被熱→破壊」という動作が組み込まれていたと考えられる。最終的に破壊されるのは、擬似的性行為が終了したことを示すのだろう。ただし、熱が加えられた痕跡(石が焼けて赤くなる)をみると、石棒が割れた後にもこのような状況が見られる場合もあるので、加熱と破壊の順番は、必ずしもいつも同じではなかったようだ。もちろん、すべての石棒にこのような解釈があてはまるわけではない。

石棒(加曽利貝塚)
大小ペア異形台付土器と共伴出土

3 女性主導祭祀と男性主導祭祀の非対称性
加曽利貝塚の特殊遺構のほぼ同じ場所から大小ペア異形台付土器と石棒2本が出土しましたが、その2つは次のようなセットとして考えることができます。
ア 「大小ペア異形台付土器(夫婦土器)-夫婦の各出自集落を意識せざるを得ない祭祀(例 婚礼・葬祭)-女性主催・主導」セット
イ 「石棒-疑似的性行為祭祀-男性主催・主導」セット
この2つのセットを男女という視点からみると非対称的であることに驚かざるを得ません。
女性主導祭祀は女性と男性別々の祭具(夫婦土器)を使い、夫婦の誕生や別れを祝い、悲しみます。祭祀の主役は男女です。一方男性主導祭祀は男性性(男性器)を祭具に使い、男性からみた疑似性行為を行います。祭祀の主役は男です。
女性主導祭祀は男女が織りなす生殖を含めた活動を総合していますが、男性主導祭祀は生殖の特定断面に過ぎません。
女性主導祭祀の総合性に対して、男性主導祭祀は部分にすぎないという非対称性を目の当たりにします。
女性性が男女を包摂し、男性性は実は女性性の部分にすぎないという体系になっています。

4 感想
・縄文社会の広義生殖に関わる祭祀のうち婚礼・葬祭等では女性性が男女を包摂していて、女性主導であったと理解します。
・縄文社会の広義生殖に関わる祭祀には疑似性行為を行う活動があり、その活動は男性主導であったと理解します。
・広義生殖とは別の祭祀(例 生業に関わる祭祀)における男女の関わりも関連して興味を持ち始めました。狩猟に関わる祭祀…男性主導、漁労に関わる祭祀…男女協同?、堅果類収穫の感謝祭祀…女性主導か?
・縄文社会理解の上で男女の役割を理解することが自分の盲点になっていたと気が付きました。これまでの自分は、集落活動のリーダーは全て男性であると漫然と考えていました。

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