加曽利貝塚博物館常設展に展示されている破砕イボキサゴについて観察記録3Dモデルを作成し、破砕片にふくまれる大形破片から殻径を計測推定してみました。
1 破砕イボキサゴ 観察記録3Dモデル
破砕イボキサゴ 観察記録3Dモデル破砕イボキサゴ展示の様子
撮影場所:加曽利貝塚博物館常設展
撮影月日:2021.10.07
ガラスショーケース越しに撮影
実寸法付与
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.009 processing 55 images
3Dモデルの動画
2 展示説明
「破砕イボキサゴ 貝層中に堆積していたこのイボキサゴは、細かく砕かれた状態で発見され、分析の結果、通常のものに比べて小さく、幼貝を選んで破砕していたことが判明しました。ここまで細かく破砕した理由はなんだったのか、縄文人の貝利用を知る手がかりになりそうです。」
3 大形破片による殻径の推定
破砕イボキサゴの中には殻径を測ることができるような大形破片があります。そこで3Dモデルから殻径測定可能と考えられる5つの大形破片から殻径を測定したところ、その平均値が9.7㎜となりました。
この値は史跡加曽利貝塚総括報告書に掲載されている破砕イボキサゴ推定殻径値の中央値に近い値です。現物測定でこれまでの知見(通常イボキサゴより破砕イボキサゴは4㎜ほど小さい)を直接確認することができました。
イボキサゴ殻径頻度分布の比較
通常のイボキサゴより小さい幼貝が取れた時(幼貝しか取れなかった時)、殻が割れる程度に弱いので、割って実をとりだしたのだと思います。効率的に実をとりだすことができます。成貝では殻が固く割ることはできません。
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