八千代市立郷土博物館で開催中の「らくがく縄文館-縄文土器のマナビを楽しむ-」で展示されている「鳥頭形突起付土器(加曽利EⅣ式)印西市馬込遺跡」の観察記録3Dモデルを作成してじっくりと観察しました。
1 鳥頭形突起付土器[加曽利EⅣ式](印西市馬込遺跡) 観察記録3Dモデル
鳥頭形突起付土器[加曽利EⅣ式](印西市馬込遺跡) 観察記録3Dモデル撮影場所:八千代市立郷土博物館「らくがく縄文館-縄文土器のマナビを楽しむ-」
撮影月日:2021.10.19
展示の様子
ガラスショーケース越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 109 images
3Dモデルの動画
2 観察メモ
2-1 土器形状
・展示解説会(※)では鳥頭突起に対向する突起が尾羽、左(と欠けている右)の小突起が羽根であり、鳥が土器をくるんでいる造形(土器が鳥そのものの造形)であるとの説明がありました。
※2021.10.23記事「らくがく縄文館展示解説会」
なお、この土器を上からオルソ投影してみると、ほぼ円形の土器に突起がついていることがわかります。
オルソ投影 上から
2-2 目
・鳥の目の付近に穴が二つありますが、目は嘴に近い方の穴が該当すると考えます。
2-3 8字状貼付文
・鳥の首に該当する部分の前後に太い隆帯で8字状貼付文が描かれています。よく見ると8字状貼付文の書き順が判るようになっています。この書き順は他の出土鳥頭突起も全て同じようです。
8字状貼付文 土器外
8字状貼付文 土器内
8字状貼付文の書き順
参考 大膳野南貝塚出土鳥頭突起にみられる8字状貼付文の書き順
2021.04.01記事「千葉市動物公園に展示されている鳥形突起(縄文後期初頭)」
8字状貼付文は書き順が決まっている呪的形象で、縄文中期から継承されてきている縄文人には馴染み深いものであるようです。二つの渦(生と死)に始原をもつ記号で鳥頭突起では猛禽類が大空を飛翔する様子と重ね合わせてイメージされていたのかもしれません。
2-4 弥生時代鳥信仰との関係
展示パネルでは縄文時代鳥信仰と弥生時代鳥信仰の関連について触れています。弥生時代に大陸からもたらされた鳥信仰の下地がすでに縄文時代に形成されていた可能性があると考えます。
鳥に関する展示パネル
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