加曽利貝塚博物館特別展「-市原市史跡指定-祇園原貝塚 千年続いた縄文のムラ」で展示されているアホウドリ骨製垂飾について2021.10.12記事「アホウドリ骨製垂飾(ペンダント)」で「アホウドリの雄大な飛翔力(霊力)を自分に取り込む」という観念が働いていたと考えました。この垂飾の3Dモデルを作成して詳しく観察しました。刻印が付いていることに気が付きました。
1 アホウドリ骨製垂飾(ペンダント)(市原市根田祇園原貝塚) 観察記録3Dモデル
アホウドリ骨製垂飾(ペンダント)(市原市根田祇園原貝塚) 観察記録3Dモデル撮影場所:加曽利貝塚博物館特別展「-市原市史跡指定-祇園原貝塚 千年続いた縄文のムラ」
撮影月日:2021.10.14
展示の様子
ガラスショーケース越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 57 images
3Dモデルの動画
2 観察
2-1 サイズ
ショーケースの前にスケール(ファイバー製折尺)をおいて3Dモデルの中にスケールを取り込み、アホウドリ骨製垂飾(ペンダント)のサイズを計測しました。
アホウドリ骨製垂飾(ペンダント)
現代ご婦人が着装するペンダントトップとほぼ同じくらいの大きさです。
2-2 浅い溝と刻印
浅い溝と刻印
3Dモデルで観察すると両端に近い場所に浅い溝があります。ここに紐を結び首からかけたものと推察できます。
深い刻印が2つ、浅い刻印が3つあります。ペンダントを首にかけた時、この刻印が正面に見えるようになります。
骨の厚さは0.8㎜ですから、深い刻印を石器等で刻むとき骨を貫通しないような微妙な手加減が必要となり、かなり意識を集中する作業になったことと推察します。
2-3 刻印の意味
刻印について最初は別のモノ(Y字型などの何か)をこの垂飾に付けた跡かもしれないと考えました。しかし、別のモノを付ける(縛る)とこのアホウドリ骨はあまり見えなくなってしまいます。そもそも市原ではアホウドリは獲れなかったと考えられます。このアホウドリの骨は南房総海洋をテリトリーとしている縄文人から入手した貴重で特別な霊力を帯びたものです。従って垂飾としてこの骨を骨として見せるような使いかたをしたと考えるのが順当です。従って、刻印はそれ自体に意味があるに違いありません。呪的意味のある模様(記号)であると想像します。この1点だけをいくら見つめても、残念ながらそれ以上に考えは深まりませんでした。
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