2021年10月23日、八千代市立郷土博物館を会場に開催されている「らくがく縄文館-縄文土器のマナビを楽しむ-」(主催:公益財団法人千葉県教育振興財団)の展示解説会に参加して展示物の解説を聞くことができました。解説者は財団のハットリさんです。参加者は7名でした。展示は第1章から第5章までありますが、その順に全ての章の主要な展示物を詳しく解説していいただきました。縄文土器学習初心者の自分にとってまたとない知識吸収の機会となりました。自分が特に興味を持った点をメモします。
●第1章 縄文土器の美妙
(1)文様の美妙
縄文、半裁竹管文、貝殻文などについて展示土器を例に詳しい説明がありました。主な文様の変遷がパネルとパンフレットにまとめられていて縄文土器文様の全体像が俯瞰できます。
主な文様の変遷
(2)造形の美妙
器形の詳しい説明が展示土器を例にありました。異形台付土器が手燭形土器に変遷していくので異形台付土器が燻煙を伴う用途であったことの説明もありました。
展示されている異形台付土器と香炉形土器
また人の意匠、動物の意匠についての説明がありました。
サンショウウオの意匠
(3)彩色の美妙
黒漆の下地を塗り、その上に赤漆で文様を描く例などの説明がありました。
彩色土器
●第2章 縄文土器のライフサイクル
(1)制作
粘土積み上げ技法に関する統計的研究成果の展示があり、粘土積み上げに起因する矩形破片の展示がありました。興味深い研究です。
加曽利E式土器における部位別の「成形技法」のあり方
(2)使用
スス・コゲに関する展示物説明も興味深いものばかりです。壊れた深鉢を横に倒して使ったり、大きな破片をフライパンのように使った展示物もあります。
スス・コゲなどの使用痕展示
●第3章 土器型式と標式遺跡
「千葉県を中心とした縄文土器編年」表がパネル展示およびパンフレット掲載されています。千葉県の縄文土器編年の最新資料であり、学習にとても参考になります。
千葉県を中心とした縄文土器編年
●第4章 土器型式の移り変わり
阿玉台式土器の変遷について展示物により詳しい説明がありました。説明を受けて初めて知ることが多く、「現物+資料」だけの学習では効率がきわめて悪いことを逆に実感しました。
阿玉台式土器の変遷展示
●第5章 土器型式から見る地域性と文化の広がり
これまで阿玉台式土器と勝坂式土器の関係が詳しく調べられてきていますが、最近は阿玉台式土器と大木式系土器である七郎内Ⅱ群土器との関わりが判ってきたということで、阿玉台式土器と七郎内Ⅱ群土器の関係について詳しい説明がありました。自分にとっては聞きなれない新しいことばかりです。この説明の中で次の展示キメラ土器の説明もありました。興味が深まります。
深鉢(阿玉台式・勝坂式・七郎内Ⅱ群)(柏市小山台遺跡)
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