縄文土器学習 516
加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」に展示されている中期土器のうち中峠0地点型深鉢(松戸市中峠遺跡)を3Dモデルで観察します。
1 中峠0地点型深鉢(松戸市中峠遺跡) 観察記録3Dモデル
中峠0地点型深鉢(松戸市中峠遺跡) 観察記録3Dモデル展示説明(特徴的な把手、狭い口頸部文様帯に「連続コの字状文」と集合沈線、体部には縄文地文に横位に展開する並行沈線文様)
撮影場所:加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」
撮影月日:2020.11.27
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.016 processing 54 images
展示の様子
展示の様子
3Dモデルの動画
2 観察メモ
2-1 胴部の文様
・胴部の文様はつる植物の新芽のつるが巻いている様子と実が垂れ下がっている様子を表現しているように感じます。
胴部文様
展開写真はGigaMesh Software Frameworkにより3Dモデルから作成
以前観察した称名寺式土器文様と時代は異なりますが、似ていると感じます。
称名寺式土器の文様
2-2 口縁部・把手文様
口縁部文様で「コの字状文」と集合沈線が重畳する様子を観察するうちに、次の二つのイメージが生まれましたので後日役立つかもしれないのでメモします。
ア 桃源郷風景の表現
「コの字状文」と集合沈線が重畳する様子
「コの字状文」と集合沈線が重畳する様子からイメージした立体風景
口縁部文様及び二つの把手から「ヘビ」とか「生殖器」とかの生々しい印象を受けません。
土器文様は土器胴体は茎や実を食べることができる植物を、口縁部では畑と果樹林が広がる立体的風景を縄文人なりに工夫して表現していると考えます。例えば「コの字状文」は果樹の採れる樹林帯を集合沈線は畑を表現しているのかもしれません。
この土器文様は全体として中峠式期縄文人が空想する桃源郷を表現していると考えます。
イ 泉・小川と畑の植物の表現
把手は泉で水が勢いよく吹き出している様子を表現していて、そこから流れ出る小川が実のなるつる植物の植わる畑を潤している情景をこの土器は表現していると考えます。結局はイのイメージも当時の縄文人が空想する桃源郷を描いたものです。
泉・小川が土器胴部のつる植物畑に流れているという想像
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