縄文土器学習 533
有吉北貝塚学習に関連して中峠式土器を学習してます。この記事では勝坂Ⅴ式深鉢(柏市小山台遺跡)を3Dモデルで観察します。
1 勝坂Ⅴ式深鉢(柏市小山台遺跡) 観察記録3Dモデル
勝坂Ⅴ式深鉢(柏市小山台遺跡) 観察記録3Dモデル撮影場所:加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」
撮影月日:2021.01.06
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.016 processing 61 images
展示の様子
展示の様子
3Dモデルの動画
2 GigaMesh Software Frameworkによる展開
GigaMesh Software Frameworkによる展開 テクスチャ
GigaMesh Software Frameworkによる展開 ソリッド
GigaMesh Software Frameworkによる展開 分析用加工
3 観察メモ
この土器は中峠式土器の1類型であり、中峠式土器見直しの中で勝坂Ⅴ式深鉢として分類されたものです。2021.01.16縄文時代研究講座では「勝坂の影響を受けた中峠式土器であり、大木化した勝坂土器であるともいえる」旨説明がありました。
2021.01.22記事「勝坂Ⅴ式深鉢[中峠4次2住下フラスコ状ピット出土土器](松戸市中峠遺跡出土) 観察記録3Dモデル」で観察した土器と文様構成が似ていますが、この土器は文様を描く心意気が違うように感じますので興味が生まれます。
この土器は垂直方向密生沈線をまず描き、その後沈線で唐草文風の模様を描いています。一方中峠4次2住下フラスコ状ピット出土土器は沈線・隆線で唐草文風模様を描いて、その後余白を唐草文風模様を引き立つような角度で密生沈線をその場その場で描き込んでいます。中峠4次2住下フラスコ状ピット出土土器の方が文様描出に賭ける心意気が明らかに熱心です。文様に物語が伴っていたとすれば、その物語を伝えようとする気持ちが明らかに強いです。この土器(小山台遺跡)は効率的に文様描出を作業しています。文様で表現しようとする物語をぜひとも伝えたいという気持ちが衰えています。
またこの土器の把手は簡素になり口唇部から直立していて、胴部文様とは断絶しています。一方ピット出土土器の方は把手造形は複雑であり同時に胴部と連結しています。胴部文様の物語と把手の物語が一体化しているように感得できます。
おそらく時期的には「勝坂Ⅴ式深鉢[中峠4次2住下フラスコ状ピット出土土器](松戸市中峠遺跡出土)」が古く、勝坂Ⅴ式深鉢(柏市小山台遺跡)が新しいものと空想します。古い時代から新しい時代に向かって社会生産能力が向上し、技術が進歩したのだと思います。土器の文様で物語(神話)を伝えて、それにより苦難に満ちた生活を耐える世の中から、土器を実務容器として利用して、より豊かな生活向上が実感できる世の中に変化したのだと空想します。物語(神話)が社会で果たす役割が減少したのだと思います。
勝坂Ⅴ式深鉢(柏市小山台遺跡)の文様
参考 勝坂Ⅴ式深鉢[中峠4次2住下フラスコ状ピット出土土器](松戸市中峠遺跡出土)の文様
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