2021年1月24日日曜日

中峠0地点型深鉢(松戸市紙敷遺跡) 観察記録3Dモデル

 縄文土器学習 530

有吉北貝塚学習に関連して中峠式土器を学習してます。この記事では中峠0地点型深鉢(松戸市紙敷遺跡)を3Dモデルで観察します。

1 中峠0地点型深鉢(松戸市紙敷遺跡) 観察記録3Dモデル

中峠0地点型深鉢(松戸市紙敷遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」 

撮影月日:2021.01.06 

ガラス面越し撮影 

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.016 processing 44 images


展示の様子


展示の様子


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開 テクスチャ


GigaMesh Software Frameworkによる展開 ソリッド


GigaMesh Software Frameworkによる展開 分析用加工

3 観察メモ

2021.01.23記事「中峠0地点型深鉢(野田市東亀山遺跡) 観察記録3Dモデル」で観察した「中峠0地点型深鉢」と土器文様構成はよく似ています。違う点は口縁部の刻み隆線が蛇行していない点です。渦が付く点では同じです。

口縁部文様の「図」像(※)を抜き出してみました。


口縁部の文様

刻み隆線、連続コの字状文(隆線)、蛇行沈線、沈線が観察できます。これらの文様構成要素はその連続性を追うとテキトーに変化して造形されていて、厳密な約束事には基づいていない様相が感得できます。刻み沈線は穴のある把手から連続して画面中央付近で渦を巻きます。沈線により渦巻が作られています。穴のある把手は自噴泉から勢いよく噴出する水を、そこから流れ出た水が画面中央の渦で土器内部に流れ込むというストーリーが暗示されます。

口縁部文様から受ける印象からは、全ての文様構成要素が水流を表象していると空想します。

文様構成要素が自由な蛇行を失い、全ての方向が口縁部方向(円周方向)に統一している様子は文様意味が抽象化・一般化した、あるいは文様意味に込められていた物語性の生き生きさが失われたからだと考えます。社会が土器を物語のメディアではなく実務的な容器としての扱いに重点を移し始めたのだと思います。この土器の時期はこれまで観察した「中峠0地点型深鉢」より新しい時期(社会が物的に発展した時期)に違いないと想像します。

※ 能動的に最初に彫られた隆線や沈線によりつくられた像を「図」像、「図」像により結果として生まれる像を「地」像と仮称します。「図」像と「地」像の区別は必ずしも明確ではありません。


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