2011年3月21日月曜日

花見川の文化的価値評価の現状

千葉市域にある唯一の花見川関連文化財説明板
            花島公園内設置 左岸サイクリング道路利用者の目には触れない

 土木遺構としての花見川の文化的価値について、それが社会的にどのように評価されているのか、素掘堀割部分に焦点を当てて確認してみました。

1文化財指定
 千葉県と千葉市について調べたところ、花見川に関する文化財指定はありませんでした。
 ただし、花島公園内に花見川関連の文化財説明板が1基設置されています。
 千葉市教育委員会の文化財担当者に電話でヒアリングしたところ、「花見川を文化財に指定しないのは、規模が大きく、区域の特定が出来ないことや実用河川で使っていることなどによる」とのことでした。
 千葉市としては、花見川の文化的価値は認めるが、特段の行政上の位置づけはしていない、ということだと思います。

2土木遺産認定
 土木学会選奨土木遺産という認定制度があります。土木学会ホームページによるとその認定制度について次のように説明しています。

 土木学会選奨土木遺産の認定制度は、土木遺産の顕彰を通じて、歴史的土木構造物の保存に資することを目的として平成12年度に創設されました。
 土木学会としては、その結果として、
社会へのアピール
 (土木遺産の文化的価値の評価、社会への理解等)
土木技術者へのアピール
 (先輩技術者の仕事への敬意、将来の文化財創出への認識と責任の自覚等の喚起)
まちづくりへの活用
 (土木遺産は、地域の自然や歴史・文化を中心とした地域資産の核となるものであるとの認識の喚起)
失われるおそれのある土木遺産の救済
 (貴重な土木遺産の保護)
 などが促されることを期待しています。

 花見川はこの制度で認定されていません。

3民間グループによるリストアップ
 ちば河川交流会という河川関係者の民間グループがあり、ここから「遺しておきたい伝えたい千葉の水辺(自然・景観・土木遺産)」(2009.3)という冊子がでています。この冊子では千葉県内30の「遺しておきたい伝えたい千葉の水辺(自然・景観・土木遺産)」対象がリストアップされており、花見川はその一つとして、「印旛放水路」名称で、次のように記載されています。

●表題:下総台地を開削して印旛沼の水を東京湾へ
●名称:印旛放水路
●所在地:千葉市検見川~八千代市平戸
●説明:印旛沼周辺の水害解消、農地拡大を目的に、江戸時代から工事が始められ、昭和43年に印旛沼~東京湾間16kmが開通した。江戸時代天保のお手伝い普請では全国から1万人を超える人夫が集められており、沿川の千葉市横戸には庄内農民の墓がある。沿川はサイクリングロードに指定され市民の憩いの場になっている。
この他、写真図、アクセス、その他、備考、印旛放水路サイクリングマップが掲載されています。


 法的な文化財指定や選奨土木遺産認定が例えなくとも、ちば河川交流会のような民間活動が社会にあるのですから、もっと花見川の歴史に関する情報提供があってもよいと思います。
 花見川サイクリング道路を訪れた人が(素掘堀割の現場に来た人が)花見川の歴史について学べる仕掛け(例えば道路沿いの説明板)があると、地域や河川に対する理解や愛着が増すと思います。

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