2019年8月31日土曜日

中峠式深鉢形土器のオルソ投影

縄文土器学習 250

2019.08.30記事「中峠式深鉢形土器の3Dモデル観察」を書いた後、3Dモデルの「上から」と「下から」の図柄(土器外形シルエット)が異なることを意識しました。
3Dモデルを「純粋に」「天真爛漫に」観察すればこのようになります。なんらやましいことはありません。
しかし上から見た時の外形シルエットと下から見た時の外形シルエットを同じにして土器外形を論じたくなります。そのためにはオルソ投影(正射投影)する必要があります。
幸い3Dモデルを作成した3DF Zephyr Liteにはオルソグラフィック投影機能がありますから、オルソ投影してみました。

中峠式深鉢形土器 下から オルソグラフィック投影

中峠式深鉢形土器 上から オルソグラフィック投影

上からの反転
上からの図を反転すると外形シルエットは下からとピタリ一致します。
外形シルエットは正六角形近似図形の3つの角の近くに角(つの)が生えたような形状になります。角(つの)は把手先端部の端(はじ)の部分が投影されているものです。

中峠式深鉢形土器 下から オルソグラフィック投影 外形シルエットの説明

正面図についてもオルソ投影をしてみました。

中峠式深鉢形土器 正面A オルソグラフィック投影

中峠式深鉢形土器 正面B オルソグラフィック投影

資料に掲載されている挿図と重ねてみました。

資料掲載挿図
「千葉県の歴史 資料編考古1(旧石器・縄文時代)」から引用

オルソ投影図と挿図のオーバーレイ
オルソ投影図では両端の2連丸い穴のさらに背後の様子が見えます。しかし挿図はそれが見えていません。(現場では実際に見えません。)
このオーバーレイ図から挿図は特定の写真図柄から書いたものであることが確認できます。機械や土木設計図のような正確な正面図を目指したものではなく、あくまでも見かけのスケッチであることを知りました。

2019年8月30日金曜日

阿玉台Ⅳ式深鉢形土器の3Dモデル観察

縄文土器学習 249

鎌ヶ谷市郷土資料館に展示されている阿玉台Ⅳ式深鉢形土器(根郷貝塚J5号住居跡)の明るい観察記録3Dモデルが出来ました。
ブログ「花見川流域を歩く番外編」2019.08.30記事「3Dモデルで暗い(黒い)土器表面を明るくする方法
そこで、まずその形状をじっくり観察しました。出土遺構や出土遺跡の学習は追って行います。
このような大きな把手のついた土器は自分にとって初めての実物観察です。

1 3Dモデルによる観察

正面A 観察記録3Dモデル

正面Aと同じ写真
「千葉県の歴史 資料編考古1(旧石器・縄文時代)」から引用
土器を地面においた時「正面」という概念は縄文人にも存在していたと考えられます。その正面がどこであるか判定することは大切であると考えます。
この土器の正面はこのAか次のBのどちらかになると考えますが、口縁に存在する2連の丸い穴を正面から見た姿がこの土器の縄文人が設定した「正面」であると考えます。

正面B 観察記録3Dモデル

正面Bと同じ写真
「鎌ヶ谷市史 資料編Ⅰ(考古)」から引用

正面Bと同じ向きの挿図
「千葉県の歴史 資料編考古1(旧石器・縄文時代)」から引用
背中合わせに2連となっている口縁部丸い穴は一つの引き離せない造形と考えますので、この正面Bは縄文人が「正面」をどのように考えていたかということを考慮しない図柄であると考えます。

上から 観察記録3Dモデル
3つの把手と2連丸い穴の出っ張りがそれぞれ近似正三角形をつくり、それが重なった図柄となっています。

上から の図柄

下から 観察記録3Dモデル
把手を載せる口縁部は近似正六角形になっています。

下から の図柄

2 感想
・正面Aが縄文人設定の「正面」であると推測することができました。
・正面Aの図柄をみると自分には次のような構成として観察できました。

正面Aの構成
大きな目玉とその両脇に大きな耳(把手)があり、とおくに尾(羽)があり、手前胴部の中央は腹、その両脇は折りたたんだ翼のように見えてしまいます。フクロウのような印象を受ける造形です。

………………………………………………
阿玉台Ⅳ式深鉢形土器 根郷貝塚J5号住居跡 観察記録3Dモデル 4(露出変更)
撮影場所:鎌ヶ谷市郷土資料館
撮影月日:2019.08.23
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.507 processing 63 images



2019年8月28日水曜日

鎌ヶ谷市郷土資料館展示縄文土器の3Dモデル作成

縄文土器学習 248

鎌ヶ谷市郷土資料館展示縄文土器の3Dモデルを9編作成し、次のサイトにアップしました。

サイト 縄文土器3Dモデル素材集

9編の3Dモデルは次の通りです。
縄文後晩期土器4点(3、4、5、6) 中沢貝塚 展示風景3Dモデル
縄文後晩期土器3点(5、6、7) 中沢貝塚 展示風景3Dモデル
縄文後晩期土器(9) 中沢貝塚 観察記録3Dモデル
縄文後晩期土器18点(1~18) 中沢貝塚 展示風景3Dモデル
参考 第1ショーケース(全て中沢貝塚出土土器)

縄文時代土器石器等 鎌ヶ谷市内遺跡 展示風景3Dモデル
加曽利EⅡ~Ⅲ式深鉢形土器 大堀込遺跡土坑 観察記録3Dモデル
阿玉台Ⅳ式深鉢形土器 根郷貝塚J5号住居跡 観察記録3Dモデル
縄文後晩期浅鉢形土器 鎌ヶ谷市内遺跡 観察記録3Dモデル


参考 第3ショーケース

縄文後晩期土器土偶等 中沢貝塚 展示風景3Dモデル
参考 第4ショーケース (映像部分は全て中沢貝塚出土遺物)

3Dモデル作成という技術的観点からみると第1ショーケースは全面ガラス張りで反射が強く3Dモデル作成に不向きな展示です。第3、第4ショーケースも目当の深鉢や異形台付土器が撮影場所から離れ、かつその直背後が壁となっていて3Dモデル作成に不向きな展示です。
しかしこれらの出土物に関する情報が豊富であり、学習検討対象としてはまたとない教材になることから興味が深まります。
展示物3Dモデル作成をキッカケにして中沢貝塚や根郷貝塚の寄り道学習を次からの記事ですることにします。

2019年8月27日火曜日

千葉市土気あすみが丘プラザ展示室の観覧

縄文土器学習 247

千葉市土気あすみが丘プラザ展示室が8月10日にリニューアルオープンしたとの報に接し、観覧してきました。リニューアルの報以前にはこのような施設の存在自体を知りませんでした。

土気あすみが丘プラザ展示室の全景 中央にあるのは土気地区ジオラマ
へたな博物館をその展示内容の質の高さからはるかに凌駕する、素晴らしい施設です。緑区のコミュニティ施設内部にこのようなへたな博物館以上の展示があることに驚きました。

土気地区は旧石器時代及び縄文時代における千葉県最重要の狩猟場です。列島規模でみても本州中央部付近の極めて有数な狩猟場の一つと考えられます。
旧石器時代と縄文時代展示は狩猟という観点から設計されているように感じられます。
旧石器時代は石器が縄文時代は土器(18点)が展示されています。展示物は圧巻といえるものです。さらに解説パネルに書かれていることがまさに研究最前線の最新知識であるように感じられ興味が尽きません。

旧石器時代展示 植刃器製作復元資料が展示され参考になります

縄文時代展示 縄文時代初期の土偶も展示されています

古代の展示も南河原坂窯跡群に関連するもので遺跡の復元模型や多数の出土物があり、以前から深い興味をもって何回もブログ記事を書いてきています。しかし、今回の観覧では自制しておざなりの写真撮影程度にし、意識のほとんどを旧石器と縄文に割り振りました。

リニューアルの考え方のパネルがあり、この展示施設は単純な地域住民向け広報ではなく、今後の土気地区研究のための出発点としての意義があることがわかります。

リニューアルを終えて

なお関連するパンフレットや資料は展示施設にはありませんでした。
次の千葉市ホームページに情報が掲載されています。
土気あすみが丘プラザ展示室リニューアルオープン

展示18点の縄文土器について3Dモデル作成用撮影を行いました。移入土器である十三菩提式土器などもあり、学習の楽しみ素材が増えました。


2019年8月25日日曜日

鎌ヶ谷市郷土資料館展示縄文土器

縄文土器学習 246

鎌ヶ谷市郷土資料館を訪問し展示されている縄文土器を観察し、3Dモデル作成用撮影をさせていただきました。

展示縄文土器 全て中沢貝塚出土土器
把手の細密な造形を施したものがあるなど、興味が深まります。

展示縄文土器 
後左深鉢は加曽利EⅡ~Ⅲ式土器(大堀込遺跡)でその様子がいつもみかける典型的加曽利EⅡ式土器やEⅢ式土器とかなり違い、興味が湧きます。
その隣の大きな3つの把手のついた深鉢は阿玉台Ⅳ式(根郷貝塚)で把手が異常に大きく感じます。
さらに隣の浅鉢はアワビを模したような形状や穴2点が観察されます。
これらの3Dモデルを作成してより緻密に観察できそうですから楽しみです。

展示縄文土器
異形台付土器や注口土器、あるは土偶など祭祀系土器・土製品が満載です。手前の人面は土器内側に存在し、同じ土器で人面が対向していたのではないかと説明されています。珍品趣味心が大いに刺激されます。

鎌ヶ谷市は縄文遺跡・遺構・遺物に関する資料(市史やその資料編)も充実していて、今後3Dモデルをつかった学習のしがいが大いにあると予感しました。

安行式非自立形椀(下ヶ戸貝塚)の意義

縄文土器学習 245

我孫子市教育委員会1階ロビーに展示されている安行式非自立形椀(下ヶ戸貝塚)の観察記録3Dモデルを作成するとともにその意義について考えてみました。

1 観察記録3Dモデル

安行式非自立形椀 下ヶ戸貝塚 観察記録3Dモデル
撮影場所:我孫子市教育委員会1階ロビー
撮影月日:2019.08.20
強反射ガラスショーケース越し撮影
椀の底が丸く、自立できない
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.506 processing 19 images

展示風景

2 底部球形の確認
底部が出土残存物から球形であることを確認してみました。

残存部を緑塗色

残存部を緑塗色
3Dモデル画面の中で確かに残存部から底部球形という形状復元が行われていることを確認できました。

3 底部球形の意義
底部球形であるため、液体を入れた時自立できない構造になっています。これからこの椀は両手で持って使っていたことがわかります。
この椀は人から人へ手渡しで渡されて使われたことがわかります。
この椀は酒を注ぎ、人から人へ回し飲みされることのみを目的につくられた酒宴用椀であると考えられます。
同じ盃で酒を飲みかわし、仲間意識を強める、夫婦の契りを結ぶ、主従関係を結ぶは現代にも伝わってきています。
この安行式期酒宴用椀は、現代日本人にも伝わる「同じ盃で酒を回し飲みする」という風習の起源となる活動で使われた酒宴専用椀であると考えます。
なお、同じ盃で酒を回し飲みする活動の奥底には、少なく貴重な酒を全員に行き渡るように少しずつ口に含むという平等原理が潜んでいると考えます。

4 小突起
この椀には小突起が付いています。椀として使う容器の始原が鉢にあることを示しています。

5 器台とは無関係
「我孫子市史 原始・古代・中世編」には次のような記述があります。
「安行式は、煮炊きや貯蔵等に使われた深鉢のほかに、きれいな口縁部文様や装飾のついた浅鉢、台付の浅鉢、埦、注口土器、皿、コップ状埦など器形、器種が多様になり、中には底部が球形で自立できないものも見られ、器台などと組み合わせて使われたのであろう。」
器台は加曽利E式頃にみられ、その系統は異形台付土器に変化していったと自分自身は想定してます。安行式期頃には「器台」の出土は無いと思いますので上記記述は勘違いだと思います。自分自身は器台はモノを載せる台ではなく、大麻薬用成分吸引装置の基礎部分パーツであると考えています。

2019年8月24日土曜日

安行3a式重心下方偏球形注口土器(下ヶ戸貝塚)の観察

縄文土器学習 244

我孫子市教育委員会1階ロビーに展示されている下ヶ戸貝塚出土安行3a式重心下方偏球形注口土器を写真で詳しく観察しました。
現物及び復元物が展示されていて、その3Dモデルを作成しましたが、ショーケースガラス面反射が強すぎてまともな3Dモデルは出来ませんでした。
参考 安行3a式重心下方偏球形注口土器 下ヶ戸貝塚 現物・復元展示風景3Dモデル
参考 安行3a式重心下方偏球形注口土器(復元) 下ヶ戸貝塚 観察記録3Dモデル

1 特徴
この土器について「我孫子市史 原始・古代・中世編」ではつぎのように記述しています。
図4は晩期の安行Ⅲa式の土器で、胴部は下方に重心を持つ扁球形で、円文を中心に、三叉文と横向きのS字状文を連続的に組み合わせた玉抱三叉文を連続し一周させている。口縁部には透孔のある山形の蓋の残存が見られ、胴部外面にわずかに朱が残っており、本来は器形、色彩とも豪華な土器であったと考えられる。

図4 「我孫子市史 原始・古代・中世編」から引用
次の写真の中央部付近に小さな赤い斑点がいくつか見えますが、それが朱の跡かもしれません。

安行3a式重心下方偏球形注口土器(下ヶ戸貝塚)

注口部直下には2つの装飾溝のある玉が付いています。

安行3a式重心下方偏球形注口土器(下ヶ戸貝塚)

安行3a式重心下方偏球形注口土器(下ヶ戸貝塚)

2 感想
注口土器は酒を注ぐ土器で祭祀(酒宴)で使われたと考えます。その器の注口部のデザインは直立した陰茎と2つの睾丸を表現していると推定します。この時代の縄文人の関心が生殖にあり、その関心をはばかることなく表現する社会であったと想像します。
白濁したどぶろくを注いで飲むという祭祀行為(酒宴行為…社会的に新たな絆をつくり深める活動)と生殖活動における精液射出とその結果による妊娠(新生命誕生)をアナロジカルに考えていたのかもしれません。

2019年8月23日金曜日

安行系ミミズク土偶 下ヶ戸貝塚 観察記録3Dモデル

縄文土器学習 243

下ヶ戸貝塚出土ミミズク土偶の観察記録3Dモデルを作成しました。

安行系ミミズク土偶 下ヶ戸貝塚 観察記録3Dモデル 
撮影場所:我孫子市教育委員会1階ロビー 
撮影月日:2019.08.20 
ガラスショーケース越し撮影 
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.506 processing 30 images

安行系ミミズク土偶 下ヶ戸貝塚 展示の様子



安行系ミミズク土偶 下ヶ戸貝塚
「我孫子市史 原始・古代・中世編」から引用
ガラスショーケースの光反射が極めて強く、他の展示土器の観察記録3Dモデルはほぼ全滅のような感じですが、このミキズク土坑は何故か優良な質の3Dモデルを作成することが出来ました。
大きな耳飾りのついた両耳と結い髪と言われる3つの髪のうち両側の2つの形状が斬新です。
これまでに見た妊娠正中線を強調した土偶や乳房だけの土偶などは生殖本能との関わりが強いものと直観できますが、この土偶はそのような生殖との関わりを感じないものです。

2019年8月22日木曜日

白井市出土縄文土器4点の展示風景3Dモデル作成

縄文土器学習 242

白井市郷土資料館に白井市出土縄文土器4点が展示されていますので、その展示風景3Dモデルを作成しました。

白井市出土縄文土器4点 展示風景3Dモデル
撮影場所:白井市郷土資料館
撮影月日:2019.08.20
ガラス面越し撮影
後左:深鉢(中期後半)、神々廻宮前遺跡014号住
後右:深鉢(後期前半)、向台Ⅱ遺跡001号土坑
前左:深鉢(前期末葉)、河原子台遺跡遺構外
前右:注口土器(後期前半)、海老内台(平塚)出土
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.506 processing 34 images

白井市出土縄文土器4点 展示風景
後左深鉢(中期後半)は住居の炉に寝かせた土器を用いた斜位土器埋設炉として出土したものです。

斜位埋設炉の状況
「白井のあゆみ」から引用

「白井のあゆみ」を読むと、白井市の縄文時代の様子は・・・であったと多色刷りで判りやすく記述されています。
元来縄文時代遺跡・遺構・遺物の様子と現代行政区域とはまったく無関係です。しかし初心者が学習を始めるにあたって行政区域別視点が興味や知識を結び合わせるトリガーとして利用できることに最近気が付きました。自治体ごとに縄文時代に関して着目している点(自治体として興味を持っている点)が微妙に異なり、それを比較し楽しみながら学習すれば、自分の知識や興味の組織化を豊かなものにできるような感覚を持っています。

白井市郷土資料館では写真撮影は出来ませんが、その場で許可をもらい撮影しました。また許可書類には「snsで情報発信しない」というチェック欄がありましたので、チェックはしないで提出しました。

2019年8月21日水曜日

称名寺式深鉢形土器の観察記録3Dモデル作成

縄文土器学習 241

習志野市の藤崎3丁目南遺跡D地点から出土した称名寺式深鉢形土器の観察記録3Dモデルを作成しました。
360度近くの写真撮影が出来ましたので3Dモデルとしては質の高いものができました。

称名寺式深鉢形土器(埋甕) 藤崎3丁目南遺跡 観察記録3Dモデル
撮影場所:習志野市教育委員会
撮影月日:2019.08.20
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.506 processing 36 images

称名寺式深鉢形土器(埋甕) 藤崎3丁目南遺跡の様子
この土器は柄鏡型住居の入口部から埋甕として出土し、内部から骨粉状物質が見つかりました。胞衣壺として使われ周産期幼児の亡骸が入れられたのかもしれません。

称名寺式深鉢形土器資料 発掘調査報告書から引用
藤崎3丁目南遺跡D地点埋蔵文化財発掘調査報告書(2014、習志野市教育委員会)

この土器は習志野市で最初の称名寺式土器出土例です。
称名寺式期は加曽利EⅡ式期という縄文最高人口ピークと次のピークである加曽利B2式期の間の最も人口衰退した時期であり、この時期の集落の様子の学習のきっかけになる土器です。

習志野市教育委員会ご担当者の心こもった対応によりこの土器を観察することができました。こころからお礼申し上げます。
8月20日は幾つかのラッキーが重なったわたしにとっての特異日となりました。

………………………………………………
参考
千葉県土器形式別遺跡数

2019年8月20日火曜日

我孫子市教育委員会ロビー展示縄文土器

縄文土器学習 240

我孫子市湖北郷土資料室展示縄文土器を閲覧し(2019.08.15記事「我孫子市湖北郷土資料室観覧」)、その関連資料を入手するために我孫子市教育委員会を訪問し、資料を入手しました。
帰りがけ、ロビーをふと見るとなんと縄文土器が展示されています。先日電話で担当の方から我孫子市で縄文土器展示は湖北郷土資料室のみであると教えていただいたばかりですから驚きです。
担当の方も当たり前すぎる職場内の展示であり、眼中になかったのだと思います。

我孫子市教育委員会ロビー展示 下ヶ戸貝塚出土縄文土器

我孫子市教育委員会ロビー展示 下ヶ戸貝塚出土縄文土器

我孫子市教育委員会ロビー展示 下ヶ戸貝塚出土縄文土器

我孫子市教育委員会ロビー展示 下ヶ戸貝塚出土縄文土器

我孫子市教育委員会ロビー展示 下ヶ戸貝塚出土縄文土器
下ヶ戸(さげと)貝塚出土の縄文後期晩期の土器7点、復元土器1点、ミミズク形土偶1点他の展示で、自分にとっては興味深いものばかりです。

注口土器2点の展示があり、うち1点はその復元土器も展示されています。注口部下に玉2点が付いていて意味深長です。

形状自体が四角の椀も展示されていて、珍しいものだと思います。

入手資料にもこれらの出土物の詳しい記載があり格好の学習資料になります。
全点について3Dモデル作成用写真撮影を行いましたが、ショーケース光反射が極めて強く、3Dモデルが作成できるかどうかは不明です。

8月20日のラッキーな出来事その1となりました。ラッキーな出来事その2は別記事に書きます。

2019年8月18日日曜日

加曽利EⅡ式把手付鉢の把手復元イメージ

縄文土器学習 239

流山市立博物館企画展「流山のお宝新発見」展示加曽利EⅡ式把手付鉢の把手部の破片は見つからなかったようです。

把手部の残存部の様子が正確にわかるようにオルソ投影すると次のようになります。

正面向かって右の把手部残存の状況 オルソ投影画面

企画展説明資料では次のような把手部復元を行っています。

企画展説明資料

把手が上にはねていておしゃれな感じになっていて、「違和感」を感じます。
WEBで検索するとこのようなおしゃれな把手の例もあるようですが、多くは次のような丸い把手になっています。

参考 加曽利EⅢ~Ⅳ式両耳壺(りょうじこ) 愛生遺跡出土
加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE -加曽利E式土器(千葉市内編)-」(終了)展示

おしゃれな感じの把手に「違和感」を感じた理由を考えると、この土器が実用土器であり、把手だけおしゃれにする理由が存在しないことからきていることに気が付きました。
もともと存在したであろう把手はおそらくそれ自身は力学的な意味での実用機能はなかったと思いますが、そうであってもその把手は土器の役割(実用性)を表現していたと考えます。
加曽利EⅡ式の時代は縄文時代人口急増最盛期であり、実用性(業務性)が全てに勝っていた時期だとイメージしています。