2022年4月29日金曜日

加曽利E式土器の底部狭小化プロセス意義の理解

 Understanding the significance of the process of narrowing the bottom of Kasori E-type pottery


The bottom of the Kasori E-type pottery narrows over time. This change in pottery shape can be seen from the perspective of improving heat conduction efficiency and heat retention efficiency. It's a kind of cooking innovation.


加曽利E式土器はEⅠ式→EⅡ式→EⅢ式→EⅣ式と時間を経過するに従って、底部が狭小化します。


加曽利E式土器の移り変わりのなかで底部狭小化を指摘する資料

加曽利貝塚博物館H30企画展「あれもE…」パンフレット引用加筆

この底部狭小化意義について、調理道具としての高機能化(調理道具としての使い勝手の向上)として捉えられると直観しましたので、その思考を忘れないうちにメモしておきます。


底部が狭小化したことによる効果

加曽利EⅠ式から加曽利EⅣ式にかけて底部が小さくなる方向で器形が移り変わったことによる効果として次の2点を指摘できると考えます。

1 炎(強火)で調理する時、Bの割合(煮えにくい部分の割合)が少なくなった。

2 下部にカーブが生まれることにより、炎(強火)、熾火(弱火)ともに土器に接する面積が増大し、熱伝導効率及び保温効率が向上した

このように考えられますから、「底部狭小化プロセスは、より効率的に調理を行うための土器高機能化プロセスである」と仮説することができます。

加曽利E式土器の器形変化を土器型式の視点からだけでなく、道具の進歩、調理技術革新などの技術的視点から見ることも可能であると感じました。


土器容量の立体図示

 Three-dimensional illustration of pottery capacity


I tried to illustrate the pottery capacity in three dimensions. It uses the 3D function (rotating body) of illustrator.


土器容量を立体的に図示してみました。illustratorの3D機能(回転体)を使ったものです。


土器容量の立体図示

……………………………………………………………………

遅まきながらillustratorの3DモデルをWabefront(.obj)ファイルで書き出しできることに気が付きました。


illustratorの3D機能例


illustratorで作成した3Dモデルを3DF Zephyr Liteにロードした画面

土器容量に対応する立体は真円回転体ですが、実際の縄文土器は少しずつ歪んでつくられています。将来縄文土器のゆがみの程度とか、ゆがみの傾向とかが学習対象になったとき、土器容量回転体と土器3Dモデルを立体空間で比較することによって有用な情報が得られるかもしれません。


2022年4月28日木曜日

土器の大きさと容量の関係

 Relationship between the size and capacity of pottery


The size and capacity of the Kasori E-type deep bowl are measured from a 3D model. The measurement work is still in progress. However, various interests arose during the work, so I wrote it down as an intermediate impression. It is assumed that the purpose was different depending on the pottery capacity.


加曽利貝塚博物館R3企画展「あれもE…」に展示された加曽利EⅣ式深鉢等多数について、3Dモデルからその大きさと容量を計測しています。計測作業はまだ途中です。しかし、土器大きさと容量の関係が段々と判ってきたので、大中小の土器5つを並べて、中間的な感想をメモしました。


土器の大きさと容量

感想

1 大きさと容量の関係に関する自分の感覚

見た目の大きさ(器高、口径(最大幅))の変化とくらべて、容量の変化が急激であるような感覚を受けます。これは自分が普段から土器の容量に無頓着であったことによるからだと気が付きます。

2 縄文人は容量を決めてから土器をつくった

土器をつくる縄文人はその目的に応じてまず土器の容量を決めていたと思います。土器の大きさを決めてから土器をつくり、その結果としてある容量の土器が出来上がったというプロセスはあり得ないと考えます。いままで自分が土器容量に無頓着であったことに気が付いたことは良かったと思います。

3 目的別の容量

土器の目的別にある幅はあるにしろ、おおよその容量が決まっていたと考えます。例示土器に対して次のような目的を空想しますが、そのような空想がどの程度確からしいのか、今後学習を深めたいと思います。

特大…多量ドングリのアク抜き煮沸用?

大…多用途、集団調理用?

中…家族調理用?

小…神前調理用?

特小…祭器(非調理)?

4 目的と器形

特大の土器は容量に対して水面面積が小さくなっていて、水分蒸発が抑えられるような機能があります。モノを長時間煮込むことに適しています。現代の寸胴鍋のような利用のされ方が想定できます。

大と中の土器は開口部が開いている器形です。煮ている内容物を取り出しやすい形状です。現代の鍋料理で皆が鍋をつついて食べるようなイメージを持つことができます。

小の土器は把手(貼付文)があり、相対的に装飾性に富んでいます。しかし開口部は開いていません。特別な調理に使ったのかもしれません。

特小の土器はその容量が調理のためにはあまりにも小さいです。また土器全体に占める把手の割合が大きいです。こうした要素から料理をこの土器にいれて祭壇に飾った祭器かもしれません。

5 実用的容量の計測必要性

今回の容量計測はその土器に水を入れた時の最大容量を計測しています。土器を調理等で使う場合の実用的容量は最高水面位置から5㎝程度下になるので、その容量を計測して知ることも意義があるかと思います。

6 土器容量別出土状況

遺跡毎(集落毎)に土器容量別の出土量や出土遺構の統計を取ると、容量別の目的が浮かび上がってくるかもしれません。


参考 容量計測作業画面


2022年4月25日月曜日

3Dモデルへの画像貼り付け

 Pasting images on 3D models


I enjoyed the technical test of pasting images on 3D models. It was confirmed that it is technically possible to paste the materials published in the excavation report into the 3D model.


3Dモデルへの画像貼り付けについて技術的テストを楽しみました。発掘調査報告書掲載資料を3Dモデルに貼り付けることも技術的に可能であることを確認しました。

1 発掘調査報告書掲載資料の3Dモデルへの貼り付け

称名寺Ⅰ式鉢(No.16)(千葉市上谷津第2遺跡)観察記録3Dモデル(https://skfb.ly/o96CT)を例に、発掘調査報告書(※)掲載資料の3Dモデルへの貼り付けをテストしました。


拓本及び実測図

※ -千葉市-下泉町遺跡群 2007 三菱地所株式会社・財団法人千葉市教育振興財団

1-1 実測図貼り付け

2022.04.24記事「縄文土器3Dモデルへの直接描画」で作成した3Dモデルにきちんと貼り付くテクスチャ画像に実測図をPhotoshopのパペットワープ機能で変形させて合わせる操作をしました。


既往テクスチャ画像の実測図を合わせるべく変形している最中の様子(Photoshop画面)

残念ながら、自分レベルでは満足できるレベルまで変形させることはできませんでした。この実測図は展開したものではなく、立体的な様子を見たまま描いているので、周辺部のゆがみが大きすぎるためだと考えられます。

1-2 拓本貼り付け

1-1作業と同じ作業(Photoshopパペットワープ機能)をしたところ、自分レベルでは最低合格ラインを越す変形ができました。拓本を貼り付けた3Dモデルは次の通りです。

資料の3Dモデル貼り付け(テスト)

称名寺Ⅰ式鉢(No.16)(千葉市上谷津第2遺跡)観察記録3Dモデル(https://skfb.ly/o96CT)に発掘調査報告書(※)掲載資料(拓本)を試験的に貼り付けたモデル。

※ -千葉市-下泉町遺跡群 2007 三菱地所株式会社・財団法人千葉市教育振興財団


Sketchfab画面「資料の3Dモデル貼り付け(テスト)」

https://skfb.ly/o9Kp7


作成した代替テクスチャ画像

2 一般画像の3Dモデルへの貼り付け

2-1 画像貼り付け

3Dモデルに画像を貼り付けた例1

称名寺Ⅰ式鉢(No.16)(千葉市上谷津第2遺跡)観察記録3Dモデル(https://skfb.ly/o96CT)にサムネイル画面画像を貼り付けた例


Sketchfab画面「3Dモデルに画像を貼り付けた例1」

https://skfb.ly/o9Kp8


作成した代替テクスチャ画像

2-2 文字貼り付け

3Dモデルに画像を貼り付けた例2

称名寺Ⅰ式鉢(No.16)(千葉市上谷津第2遺跡)観察記録3Dモデル(https://skfb.ly/o96CT)にエディター画面画像を貼り付けた例


Sketchfab画面「3Dモデルに画像を貼り付けた例2」

https://skfb.ly/o9Kps


作成した代替テクスチャ画像

3 感想

Wabefront(.obj)ファイルのテクスチャ画像を編集可能な画像にアンラップする技術を獲得したことにより、3Dモデルのテクスチャ画像をあれこれと「いじる」ことが出来るようになりました。縄文学習の楽しみが一つ深まりました。


2022年4月24日日曜日

縄文土器3Dモデルへの直接描画

 Direct drawing on Jomon pottery 3D model


It is now possible to draw lines and colors directly on the Jomon pottery 3D model, so make a note of it. It relies on the technique of unwrapping the texture image of a Wabefront (.obj) file into an editable image. Since it is possible to draw characters, it has opened the way to use 3D models as appealing explanatory materials.


縄文土器3Dモデルに線分や色を直接描画することができるようになりましたのでメモします。Wabefront(.obj)ファイルのテクスチャ画像を編集可能な画像にアンラップする技術に依拠するものです。

1 Wabefront(.obj)ファイルのテクスチャ画像のアンラップ


Wabefront(.obj)ファイルのテクスチャ画像アンラップのイメージ

通常、Wabefront(.obj)ファイルのテクスチャ画像は人が見て意味のある画像になっていないため、Photoshop等による画像編集はほとんど不可能です。しかし、3DF Zephyr LiteとBlenderを使ってアンラップすると人が見て意味のある画像になり、編集可能になります。

Unwrapping a texture generated by 3DF Zephyr

ブログ花見川流域を歩く番外編2022.03.20記事「3Dモデルテクスチャ画像の書き込み

2 称名寺Ⅰ式鉢(No.16)(千葉市上谷津第2遺跡) Syomyoji I type bowl

称名寺Ⅰ式鉢(No.16)(千葉市上谷津第2遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」

撮影月日:2022.03.02


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.503 processing 136 images

Syomyoji I type bowl (No.16) (Kamiyatsu No.2 site,Chiba City) Observation record 3D model

Location: Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year exhibition “That is also E Kasori E type pottery Chiba city edition 2 -Kasori E IV type pottery and its descendants-“

Shooting date: 2022.03.02

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.503 processing 136 images

この3Dモデルはフォトグラメトリーの結果そのものです。

3 3Dモデルテクスチャ画像編集例 Texture image editing

3Dモデルテクスチャ画像編集例(テクスチャ画像に界線等を直接描画した例)

称名寺Ⅰ式鉢(No.16)(千葉市上谷津第2遺跡) Syomyoji I type bowl


テクスチャ画像編集風景(テクスチャ画像に界線等を直接描画)

元モデルは称名寺Ⅰ式鉢(No.16)(千葉市上谷津第2遺跡) 観察記録3Dモデル

4 3Dモデルのテクスチャ画像欠如例 Lack of texture image

3Dモデルのテクスチャ画像欠如例(界線等接描画例)

称名寺Ⅰ式鉢(No.16)(千葉市上谷津第2遺跡) Syomyoji I type bowl


テクスチャ画像に代替して界線等を直接描画している風景

元モデルは称名寺Ⅰ式鉢(No.16)(千葉市上谷津第2遺跡) 観察記録3Dモデル

5 比較動画


3つの3Dモデル比較動画


称名寺Ⅰ式鉢(No.16)(千葉市上谷津第2遺跡) Syomyoji I type bowl


3Dモデルテクスチャ画像編集例 Texture image editing


3Dモデルのテクスチャ画像欠如例 Lack of texture image

6 感想

縄文土器3DモデルをGigaMesh Software Frameworkで平面展開して、その画像に文様等を描き込む方法をこれまで有力な分析方法として使ってきました。このGigaMesh Software Frameworkによる方法をサポートするものとして、立体物に直接線分や色等を描き込むという今回開発した方法を使うことにします。文様をなぞるだけでなく、矢印や説明文を書くことも可能です。3Dモデルに分析思考結果・文字情報を含めることによって、訴求力のある立体説明資料として使う道が開けました。


2022年4月23日土曜日

土器容量計測と土器器形仮想復元

 Pottery capacity measurement and pottery shape assumption restoration


I measure the size and capacity of pottery. For pottery whose shape has not been completely restored, I virtually restored it and measured its size and capacity.It seems that this pottery had a capacity of 2 liters or less and was not a daily tool but a ritual tool.


土器の大きさと容量の計測を行っています。器形が完全に復元されていない土器について、仮想復元して大きさと容量の計測をしました。

1 称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡)形状の仮想復元


称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡)展示の様子

2022.03.07記事「称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡)の3Dモデル観察」参照


称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡)形状の想定復元

器形シルエットが似ている土器を称名寺式土器3Dモデル(https://sketchfab.com/arakiminoru/collections/3ca4af24fa2d437fa483403cccf840cb)の中から探したところ、称名寺式土器(千葉市内野第1遺跡) Syomyozi type potteryがよく似ている印象を受けました。そこでこの土器器形を参考に称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡)形状の想定復元を行いました。

2 土器容量の計測


土器容量計測作業図

展示現物は高さ19.42㎝、口縁部幅20.85、容量1.82ℓ、仮想復元は高さ26.37㎝、口縁部幅20.85㎝、容量1.91ℓとなりました。

3 感想

感想 1

展示土器で大きいモノは高さ50㎝を超え、容量も30ℓクラスのものがあります。それと比べるとこの土器は高さこそ26㎝程度ありますが、容量は2ℓ以下で大変小さいモノです。この土器が煮炊きに使われたかどうかは土器下半部がないので判りません。もし煮炊きに使われた形跡があったとしても日常生活における調理には使われていないと推察します。この土器は千葉県最大石棒と共伴出土しているので、石棒祭祀と関わる祭具としての土器であったと想像します。祭具だから把手が特段に派手なのだと想像します。もし、この土器で煮炊きしたとすれば、祭壇のお供え物としての料理をつくる特別の道具であったと想像します。


称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡)の出土状況

加曽利貝塚博物館R3企画展「あれもE…」展示説明パネル

感想 2

器形が似ている同時代土器を使えば、途中まで復元されている土器を仮想的に全部復元することは、学習レベルでは意味のあることであると感じました。復元された器形は「当たらずとも遠からず」であり、復元しないよりもよっぽど意義深いことであると感じます。こうした作業ができるのも、縄文土器多数の3Dモデルを用意できているためです。縄文土器3Dモデルはおよそ500近く蓄積してきています。


2022年4月22日金曜日

展示土器の「厚さ」計測方法

 How to measure the "thickness" of the exhibited pottery


In the 3D model created by shooting the exhibited pottery through the glass surface, the place where the pottery "thickness" can be measured is limited.

Pottery "thickness" is measured by cutting a 3D model.


展示土器をガラス面越しに撮影してつくる3Dモデルでは、土器「厚さ」を測定できる場所は限られています。


展示土器3Dモデルで「厚さ」を計測できる場所

実際の「厚さ」計測は3Dモデルを切断して計測します。


3Dモデルを切断して「厚さ」を計測している様子


参考動画 「厚さ」計測のための展示土器3Dモデル切断の様子

称名寺Ⅰ式深鉢(No.3)(千葉市愛生遺跡)

「厚さ」計測結果は0.9732㎝。

展示土器の「厚さ」を計測することにより、3Dモデルから容量を算出する際の精度が一歩高まります。


2022年4月19日火曜日

3Dモデルによる縄文土器の大きさ・容積測定方法

 How to measure the size and volume of Jomon pottery using a 3D model


I decided to measure the height, diameter, and volume of the pottery to know the basic information about about 30 Kasori E-type pottery 3D models created this year. The method is shown using the Kasori EV type deep bowl (No.39) as an example.


今年に入ってから作成した加曽利E式土器3Dモデル約30について、基礎的情報を知るために土器の高さ、直径、容積を測定することにしました。その方法を加曽利EⅤ式深鉢(No.39) を例として表示しました。

1 3Dモデルに対する実寸法付与

撮影時にショーケーズ前にスケールを置き、3Dモデルにスケールを取り込む事によって、3Dモデルに実寸法を付与しました。


スケールを取り込んだ3Dモデル(3DF Zephyr Lite画面)

2 測定項目

加曽利E式土器の大きさと容量を測定することとします。

加曽利E式土器の大きさ測定は以前次のような測定項目を検討したことがあります。


加曽利E式土器の計測項目

f/i×100=くびれ度、a/f×100=深さ指数、f/j=尖り度

2020.01.24記事「加曽利博の加曽利E式土器細分基準の学習

今回は3Dモデル計測の手始めということで、大きさは高さ、直径(口縁部、底部)だけを計測します。次のステップでは器形把握に必要となるより詳細な項目の計測を行うこととします。

容量はパップス・ギュルダンの定理を利用して計測することにします。

2021.02.17記事「パップス-ギュルダンの定理による縄文土器体積の求積

(回転体の体積 V) = (図形 F の重心 G が回転により描く軌跡の長さ) × (図形 F の面積 S)


3Dモデルによる加曽利E式土器の高さ、直径、容積の測定方法

3 容積測定方法メモ

容積測定は次の仮定を設定して行いました。

ア 土器展示正面をオルソ投影した画面を対象に半裁断面を設定して、その半裁断面の回転体容量が土器容量であると仮定します。そのために半裁断面の面積を求めます。

イ 土器の厚さは3Dモデルで計測可能な場所2~3か所の平均値を使います。

ウ 土器底部の厚さもイと同じ厚さを便宜上使います。

エ 土器厚さ分だけ内側に移動する線分の作図はillustrator「パスのオフセット」機能を利用します。

オ 半裁断面の面積測定はPhotoshop面積測定機能を利用します。

カ 半裁断面の重心位置は、半裁断面の押出3Dモデル(※)をBlenderに投入して「原点を重心に移動」機能で求めます。


Blenderで表示したobjectの重心
※半裁断面の押出3Dモデル
今回の作業では半裁断面押出3DモデルをPhotoshopの3Dモデル機能で作成しました。Photoshopでは3Dモデル機能の全削除に向かってバージョンアップ毎に機能が縮減しています。現時点ではまだ押出モデルをかろうじて作成することができました。使い勝手の良いPhotoshopから3Dモデル機能が削除されることは残念です。

4 部分復元土器について

土器下半部の復元が省略された土器など部分復元土器は、3Dモデル上で仮想的に全体復元して、高さ、直径、容積を測定することとします。


2022年4月17日日曜日

土器文様検討に関する予察資料作成

 Preparation of preliminary materials for examination of pottery patterns


For learning about the pottery exhibited at the Kasori Shellmound Museum R3 exhibition "That is also E ...", I decided to create a drawing that summarizes the relationship between the pottery shape / pattern and the pottery type. So, first of all, I created a preliminary document that organizes the 3D model thumbnails and GigaMesh Software Framework development diagram thumbnails that I have created so far.


加曽利博R3企画展「あれもE…」展示土器学習の一環として土器器形・文様と土器型式の関連を整理した図面を作成することにしました。そこで、まず手始めにこれまで作成した3DモデルサムネイルとGigaMesh Software Framework展開図サムネイルを整理した予察資料を作成しました。


「土器器形・文様と土器型式の関連図」作成のための予察資料

今後土器器形は3Dモデルオルソ投影資料を実寸法で作成して、器形と大きさの比較が同時にできるように工夫することにします。また文様も縄文施文域、沈線、隆帯等の凡例を統一した資料を作成して比較できるようにします。

「土器器形・文様と土器型式の関連図」を作成することによって、加曽利EⅣ式から加曽利EⅤ式・称名寺式にかけての土器文様変化の様子を3Dモデル比較を通じて詳しく学習することにします。


2022年4月16日土曜日

加曽利E式土器学習メモ

 Kasori E-type pottery learning memo


The 3D model observation and GigaMesh Software Framework development observation of the Kasori E-type pottery exhibited at the Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year exhibition has been marked. Therefore, I decided to take a look at the entire 3D model and deepen my consideration during April, and made a note of the direction.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」(2021.11~2022.03)で展示された加曽利E式土器等を観覧・3Dモデル作成して集中的に学習しています。この度、個々の土器を対象とした3Dモデル作成・GigaMesh Software Framework展開で行う観察学習メイン作業が完了しました。そこで、これまでの学習作業と学習・検討内容をまとめるとともに、4月中に予定される展示土器全体を通覧した学習・検討の方向をメモしました。

1 これまでの学習活動

1-1 ブログ記事一覧

これまで次のブログ記事26編で、加曽利博R3企画展「あれもE…」に関連した学習活動をメモしてきています。


加曽利E式土器学習ブログ記事のサムネイル(2022.02.19以降)

●学習記事一覧

2022.02.19記事「加曽利博縄文研究講座聴講

2022.02.22記事「加曽利博「あれもE・・・」企画展観覧

2022.02.24記事「加曽利EⅣ式深鉢(No.30)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

2022.02.25記事「加曽利EⅤ式深鉢(No.39)(千葉市六通貝塚) 観察記録3Dモデル

2022.02.28記事「加曽利EⅢ式深鉢(No.25)(千葉市中薙遺跡)の観察

2022.03.03記事「加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢の3Dモデル観察

2022.03.05記事「称名寺Ⅰ式深鉢(No.3)(千葉市愛生遺跡)の3Dモデル観察

2022.03.07記事「称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡)の3Dモデル観察

2022.03.10記事「称名寺式土器(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル

2022.03.17記事「加曽利EⅢ式深鉢(No.26)(千葉市芳賀輪遺跡) 観察記録3Dモデル

2022.03.18記事「加曽利EⅢ式深鉢(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル

2022.03.21記事「加曽利EⅣ式深鉢(No.27)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

2022.03.24記事「加曽利EⅣ式深鉢(No.35)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

2022.03.29記事「加曽利EⅣ式深鉢(No.36)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

2022.03.30記事「加曽利E式土器学習 これまで これから

2022.04.02記事「加曽利EⅣ式深鉢(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル

2022.04.03記事「加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.28)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

2022.04.05記事「加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.29)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

2022.04.06記事「加曽利EⅤ式深鉢(No.15)(千葉市上谷津第2遺跡) 観察記録3Dモデル

2022.04.08記事「波頂部に貼付文がある加曽利EⅤ式深鉢

2022.04.09記事「加曽利EⅤ式深鉢(No.34)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

2022.04.10記事「自噴湧泉記号が描かれた加曽利EⅤ式両耳壺(No.2)(千葉市愛生遺跡)

2022.04.11記事「加曽利EⅤ式・称名寺式深鉢(No.37)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

2022.04.12記事「称名寺Ⅰ式深鉢(No.11)(千葉市海老遺跡) 観察記録3Dモデル

2022.04.13記事「称名寺Ⅰ式深鉢(千葉市加曽利西貝塚) 観察記録3Dモデル

2022.04.14記事「北白川C式系土器(No.48、No.54)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

1-2 3Dモデル一覧


3Dモデルを作成した土器(加曽利EⅢ式~称名寺Ⅰ式)


3Dモデルを作成した土器(北白川C式系土器)


加曽利E式土器3Dモデルのサムネイル(2022.02.24以降)

●加曽利E式土器3Dモデル一覧

加曽利EⅣ式深鉢(No.30) Kasori E IV type deep bowl

加曽利EⅤ式深鉢(No.39) Kasori E Ⅴ type deep bowl

加曽利EⅢ式深鉢(No.25) Kasori EⅢ type deep bowl

加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.21) Kasori EⅣ・EⅤ type deep bowl

称名寺Ⅰ式深鉢(No.3)(千葉市愛生遺跡) Syomozi Ⅰ type deep bowl

称名寺Ⅰ式深鉢(No.18) Syomozi Ⅰ type deep bowl

称名寺式土器(千葉市内野第1遺跡) Syomyozi type pottery

加曽利EⅢ式深鉢(No.26) Kasori EⅢ type deep bowl

加曽利EⅢ式深鉢(千葉市加曽利貝塚) Kasori EIII type deep bowl

加曽利EⅣ式深鉢(No.27) Kasori EIV type deep bowl

加曽利EⅣ式深鉢(No.35) Kasori EIV type deep bowl

加曽利EⅣ式深鉢(No.36) Kasori EIV type deep bowl

加曽利EⅣ式深鉢(千葉市加曽利貝塚) Kasori EIV type deep bowl

加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.28)  Kasori EIV-EV type

加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.29) Kasori EIV-EV type deep bowl

加曽利EⅤ式深鉢(No.15) Kasori EV type deep bowl

称名寺Ⅰ式鉢(No.16)(千葉市上谷津第2遺跡) Syomyoji I type bowl

加曽利EⅤ式深鉢(No.19) Kasori EV type deep bowl

加曽利EⅤ式深鉢(No.34) Kasori EV type deep bowl

加曽利EⅤ式両耳壺(2) Kasori EV type double-handled jar

加曽利EⅤ式・称名寺式深鉢(No.37) deep bowl

称名寺Ⅰ式深鉢(No.11) Syomyoji I type deep bowl

称名寺Ⅰ式深鉢(千葉市加曽利西貝塚) Syomyoji I type deep bowl

北白川C式系土器(千葉市餅ヶ崎遺跡) Kitashirakawa C type pottery

北白川C式系土器(17点)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

加曽利EⅤ式深鉢(No.1)(千葉市愛生遺跡) Kasori EV type deep bowl

称名寺Ⅰ式深鉢(No.5) Syomyoji I type deep bowl

称名寺Ⅰ式深鉢(No.6)(千葉市愛生遺跡) Syomyoji I type deep bowl

称名寺Ⅰ式深鉢(No.4)(千葉市愛生遺跡) Syomyoji I type deep bowl

1-3 GigaMesh Software Frameworkによる平面展開サムネイル


GigaMesh Software Frameworkによる平面展開サムネイル(2022.02.24以降、順不同)

2 主な学習・検討結果と考察方向

2-1 土器文様について

今回の学習では次の土器文様について3Dモデル・GigaMesh Software Framework展開により観察しました。

●対向系横位連携弧線文土器

加曽利EⅢ式土器 No.25

加曽利EⅣ式土器 No.36

●入組系横位連携弧線文土器

加曽利EⅣ式土器 No.30、No.27、No.35、常設

加曽利EⅣ・EⅤ式土器 No.28(反転複雑)、No.29(記事では対向系に誤認)

加曽利EⅤ式土器 No.39、No.19、No.34

●全面縄文施文土器

加曽利EⅤ式土器 No.15

加曽利EⅤ・称名寺式土器 No.37(沈線練習土器?)

●横位方形区画文土器

加曽利EⅣ・EⅤ式土器 No.21

●意匠充填系土器

加曽利EⅢ式土器 No.26、常設

●称名寺式土器の文様

・楕円文 称名寺式土器 No.3

・J字文 称名寺式土器 No.18、センター、No.16

・入組系横位連携弧線文土器の文様イメージの反転 称名寺式土器 No.11

・波状?(No.3に似る) 称名寺式土器 常設

(常設…加曽利貝塚博物館常設展示土器、センター…千葉市埋蔵文化財調査センター優品展展示土器)

この時期の多様な土器文様を観察できましたので、これからはこれら多数の土器文様を通覧して、その相互関連や系統連続性について考察することにします。

また器形や大きさと文様の関連性についても考察することにします。

2-2 興味を持った事象

●反転S字状文

加曽利EⅣ・Ⅴ式土器 No.21

●口縁部胴部の縄文方向違い

加曽利EⅢ式土器 No.27

称名寺式土器 No.11 など

●貼付文

加曽利EⅤ式土器 No.19

●湧泉記号

加曽利EⅤ式土器 No.2

●近畿地方の土器片

北白川C式系土器

これらの興味を持った事象についてもう少し掘り下げて検討考察し、今後の本格的学習課題として抽出できるか検討します。

2-3 技術的感想

撮影と3Dモデル作成技術、GigaMesh Software Frameworkによる展開技術について、その作業方法や効率についてメモを作成することにします。

3 加曽利E式土器学習のR3年度学習とりまとめ

4月中に土器文様、興味を持った事象について考察を深め、技術的感想についてメモをまとめます。そのとりまとめに基づいてR4年度の加曽利博企画展「あれもE…」の学習イメージを脳裏に描いて、加曽利E式土器学習を一旦区切ることにします。


2022年4月14日木曜日

北白川C式系土器(No.48、No.54)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

 Kitashirakawa C type pottery  (Mochigasaki site,Chiba City) Observation record 3D model


Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year special exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba City 2 -Kasori EIV type pottery and its descendants-" Kitashirakawa C type pottery  (Mochigasaki site,Chiba City) was observed with a 3D model. 

I was interested in the meaning of the pottery pieces from the Kinki region brought to the Kanto region, and fantasized about the possibility that they were communication tools.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」に展示された北白川C式系土器(No.48、No.54)(千葉市餅ヶ崎遺跡)を3Dモデルで観察しました。

1 北白川C式系土器(No.48、No.54)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル Kitashirakawa C type pottery

北白川C式系土器(No.48、No.54)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文中期末~後期初頭

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」

撮影月日:2022.03.02


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.502 processing 88 images

Kitashirakawa C type pottery  (Mochigasaki site,Chiba City) Observation record 3D model

From the end of the middle stage to the beginning of the late stage of the Jomon period

Location: Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba city edition 2 -Kasori E IV type pottery and its descendants-"

Shooting date: 2022.03.02

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.505 processing 88 images


3Dモデルの動画

2 3Dモデルの画像


3Dモデルの画像

Photoshopを使って土器表面の凹凸や文様を見やすくした画像です。


赤色立体画像(上から)


赤色立体画像(斜めから)

赤色立体原理(千葉達朗先生発明)により3Dモデルから作成した赤色立体画像です。土器表面の様子を地形のように判りやすく把握することができます。

3 メモ

3-1 展示説明について


展示説明

展示説明では日本地図に倉敷市中津貝塚、京都市北白川追分町遺跡、千葉市餅ヶ崎遺跡に印を付けてその関連性を示した上で、次の説明をしています。

「北白川C式土器とは?

京都市北白川追分町遺跡から出土した土器の特徴を研究した結果、加曽利E式後半期と同時期に流行したスタイルの土器であることがわかったことで、出土した遺跡の名前を冠して命名された土器です。

縄文時代中期末頃の近畿地方を中心とする地域に広く分布する土器群で、西日本の縄文時代を通じてもっとも器面装飾が豊かになり、文様意匠や器形の種類が豊富なことで知られています。

基本的な特徴が東日本からの強い影響を受けてできあがったと考えられており、餅ヶ崎遺跡で出土した例は、逆輸入的な資料なのかもしれません。」

「中津貝塚出土土器の研究から「中津式土器」が設定。中津式土器は、関東の称名寺式土器の成立に強く影響しているようです。」

この説明を読むと、中期末頃の近畿地方の土器(北白川C式土器、中津式土器)が後期初頭に関東にもたらされ、称名寺式土器に影響を与えたということを理解します。その間の社会の大変動がどのようなものであったのか、今後の重要な学習課題です。

3-2 展示土器について

北白川C式土器の展示はいずれも小片です。復元土器の展示はありません。土器器形を復元できるような資料が出土していないようです。このような事情から、次の空想をメモします。

●空想

「称名寺式期頃列島社会に大変動があり、近畿地方と関東地方の交流が盛んであった。近畿地方から関東地方にやってくる人々は、近畿地方特有土器(北白川C式土器)の破片を所持して、その破片をパスポートとか通行手形のようにつかって、行く先々で地元縄文人とのコミュニケーションを深めるとともに、近畿縄文人の互助的ネットワークを形成した。」No.54土器には大きな丸い孔が2つ開いていますが、もしかしたらこの孔は補修用孔跡ではなく、この土器片を身に着装するための孔だったかもしれません。

この空想は2021年度山梨県考古学協会研究集会「曽利式土器とその周辺」での戸田哲也先生コメント(土器片がパスポート的に利用された痕跡がある)のアナロジー(というか受け売り)によるものです。

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参考

北白川C式系土器(17点)(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル Kitashirakawa C type pottery


2022年4月13日水曜日

称名寺Ⅰ式深鉢(千葉市加曽利西貝塚) 観察記録3Dモデル

 Syomyoji I type deep bowl  (Kasorinishi shellmound,Chiba City) Observation record 3D model


As part of the Kasori E-type pottery learning, I created and observed a 3D model of the observation record of the Syomyoji I type deep bowl exhibited at the Kasori Shellmound Museum permanent exhibition.

As a Syomyoji type pottery, this pattern is something I have never seen before. I realized that there are many variations of Syomyoji type pottery patterns.


加曽利E式土器学習の一環として、加曽利貝塚博物館常設展で展示されている称名寺Ⅰ式深鉢の観察記録3Dモデルを作成して観察しました。

1 称名寺Ⅰ式深鉢(千葉市加曽利西貝塚) 観察記録3Dモデル Syomyoji I type deep bowl

称名寺Ⅰ式深鉢(千葉市加曽利西貝塚) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館常設展示

撮影月日:2022.03.02


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.503 processing 134 images

Syomyoji I type deep bowl  (Kasorinishi shellmound,Chiba City) Observation record 3D model

Location: Kasori Shellmound Museum Permanent Exhibition

Shooting date: 2022.03.02

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.503 processing 134 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる平面展開


GigaMesh Software Frameworkによる平面展開

3 メモ

3-1 文様


沈線と縄文施文域の分布

沈線が広く深くなっています。文様の様子は称名寺式として自分はこれまで見たことのないものです。称名寺式土器の文様のバリエーションが多様であることを認識させられます。

強いてこれまで観察した称名寺式土器の中で類似文様をあげるとすれば次の例を指摘できます。


称名寺Ⅰ式深鉢(No.3)(千葉市愛生遺跡) 沈線及び縄文磨消部分

2022.03.05記事「称名寺Ⅰ式深鉢(No.3)(千葉市愛生遺跡)の3Dモデル観察

波頂部で収れんする口縁部に添って伸びる細長い弧形が加曽利西貝塚出土土器の文様に似ているように感じるのですが、愛生遺跡出土土器は磨消部、加曽利西貝塚出土土器は縄文施文部という違いがあります。

3-2 器形


3Dモデルのオルソ投影「上から」画像

4単位波状口縁が特段に発達しているため、上からみる投影画像はほぼ4角形になります。


2022年4月12日火曜日

称名寺Ⅰ式深鉢(No.11)(千葉市海老遺跡) 観察記録3Dモデル

 Syomyoji I type deep bowl (No.11) (Kairou site,Chiba City) Observation record 3D model


Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year special exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba City 2 -Kasori EIV type pottery and its descendants-" Kasori EV-Syomyoji type deep bowl  (Mochigasaki site,Chiba City) was observed with a 3D model. 

This pottery uses the Kasori EV type pottery's polished part distribution (ground) as the Jomon(cord-mark impressions) writing area (figure). I am interested in the reverse use of patterns.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」に展示された称名寺Ⅰ式深鉢(No.11)(千葉市海老遺跡)を3Dモデルで観察しました。

1 称名寺Ⅰ式深鉢(No.11)(千葉市海老遺跡) 観察記録3Dモデル Syomyoji I type deep bowl

称名寺Ⅰ式深鉢(No.11)(千葉市海老遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」

撮影月日:2022.02.24


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.503 processing 136 images

Syomyoji I type deep bowl  (Kairou site,Chiba City) Observation record 3D model

Location: Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba city edition 2 -Kasori E IV type pottery and its descendants-"

Shooting date: 2022.02.24

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.50 processing 136 images


3Dの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる平面展開


GigaMesh Software Frameworkによる平面展開

3 メモ

3-1 加曽利EⅤ式深鉢と共通する意匠


沈線で区画される縄文施文域の分布

沈線で区画される縄文施文域の分布(「図」)をみると輪(楕円)とそれとつながり上下に伸びる線分が(おそらく輪の両側に)ついています。

この文様を見ていると、以前観察した加曽利EⅤ式深鉢(六通貝塚)の「地」(磨消部)分布と似ていることに気が付きました。


加曽利EⅤ式深鉢「地」(磨消部)分布と称名寺Ⅰ式深鉢(海老遺跡)「図」(縄文施文域)分布の対応

加曽利EⅤ式深鉢では「地」(磨消部)であった意匠が称名寺Ⅰ式深鉢(海老遺跡)では反転して「図」(縄文施文域)意匠として継続して使われていることに興味が深まります。

参考 2022.02.25記事「加曽利EⅤ式深鉢(No.39)(千葉市六通貝塚) 観察記録3Dモデル

3-2 縄文施文方向の区別

加曽利EⅡ式土器では多くの土器が口縁部と胴部で縄文施文方向を区別して、口縁部を際立たせる効果を狙っていました。この称名寺Ⅰ式深鉢も口縁部と胴部で縄文施文方向を区別しています。器形や文様のテーマは変化していますが、口縁部と胴部の縄文施文方向を区別するという風習が継続していることは興味深いことです。


口縁部と胴部の縄文施文方向の違い