2021年12月31日金曜日

2021年の趣味活動をふりかえる

 Looking back on 2021 hobby activities


Despite the pandemic, I was able to maintain and develop my hobby activities in 2021 and enjoyed it a lot.

I would like to express my sincere gratitude to all the people inside and outside of Japan who I met face-to-face and on Blog, Twitter, Facebook, YouTube, Sketchfab, etc. I have summarized the activities in 2021.


2021年の大晦日となりました。

コロナウィルスパンデミックも2年を過ぎ、いまだ猛威が衰えません。人生晩年にこのような世界史的出来事に遭遇するとは思ってもみないことでした。

このような厳しい状況にもかかわらず、この1年間皆様のおかげで趣味活動を維持発展させ、大いに楽しむことができました。

対面でお会いしご厚情をいただいた皆さま、Blog、Twitter、Facebook、YouTube、Sketchfabなどwebでお会いし、いいね・情報・アドバイス・ご指摘などをいただいた内外皆様に心から感謝申し上げます。1年間ありがとうございました。

この記事では2021年趣味活動で特別に印象的だった活動を反芻して楽しむことにします。

また、2021.01.15記事「ブログ開設10周年通過にあたって」で書いた「2021年のささやかな夢リスト」がどのように実現したのか、しなかったのか点検してみることにします。

1 2021年趣味活動で印象的だった事柄

1-1 イボキサゴ採取会参加

2021年7月10日イボキサゴ採取会に参加させていただきました。お誘いしていただいた千葉市埋蔵文化財調査センター所長西野雅人先生にあらためて感謝いたします。イボキサゴの生息環境を知り、縄文時代の食べ物としての意義を学習しただけでなく、持ち帰ったイボキサゴの3Dモデルを作成して「小さいモノ」の3Dモデル作成技術習得を大いに楽しむことができました。この活動の中で深度合成可能カメラや撮影ボックスを入手し3Dモデル技術向上を楽しみました。


イボキサゴ3Dモデル

1-2 展示施設における観覧

コロナ禍で行動が制限される中で次の展示施設で遺物の観覧と3Dモデル作成用撮影を行いました。

2021.01.06 加曽利貝塚博物館 企画展あれもE

2021.02.02 加曽利貝塚博物館 企画展あれもE

2021.02.09 加曽利貝塚博物館 企画展あれもE

2021.02.16 加曽利貝塚博物館 企画展あれもE

2021.03.29 千葉市動物公園 動物園で考古学

2021.04.21 加曽利貝塚博物館 企画展三内丸山遺跡土器

2021.05.07 加曽利貝塚博物館 企画展三内丸山遺跡土器

2021.05.13 八千代市立郷土博物館 企画展縄文

2021.10.07 加曽利貝塚博物館 企画展祇園原貝塚

2021.10.14 加曽利貝塚博物館 企画展祇園原貝塚

2021.10.19 八千代市立郷土博物館 らくがく縄文館

2021.10.23 八千代市立郷土博物館 らくがく縄文館

2021.11.02 八千代市立郷土博物館 らくがく縄文館

2021.11.08 伊那市創造館

2021.11.09 箕輪町郷土博物館

2021.11.18 八千代市立郷土博物館 らくがく縄文館

2021.12.02 加曽利貝塚博物館 企画展祇園原貝塚

2021.12.22 千葉市立郷土博物館 優品展

2021.12.24 千葉市立郷土博物館 優品展

展示施設に展示されているモノは全て意義の大きなものだけです。したがってその観察はじっくり行う必要があります。さらに3Dモデル作成用撮影をするならばいくら時間があっても足りません。そのため一つの企画展を1回だけ観覧して終わりということは自分の中ではほとんどあり得ないことになりました。

1-3 講演会リアル参加・研究集会等のzoom参加

●リアル参加

2021.01.16 加曽利貝塚博物館 縄文講座「中峠式土器」

2021.02.20 加曽利貝塚博物館 縄文講座「連弧文式土器」

2021.03.20 加曽利貝塚博物館 研究講座「縄文を知る」

2021.12.18 加曽利貝塚博物館 縄文講座「祇園原貝塚」

加曽利貝塚博物館の講座は全てリアル小人数限定抽選参加です。

●zoom参加

2021.11.20~21 山梨県考古学協会研究集会「曽利式土器」

2021.12.11 山梨県立博物館 高橋龍三郎「土偶と土面」

zoom参加は移動の手間が省けて抽選などの不都合がなく、よい取組であると感じました。

1-4 有吉北貝塚学習

2021年1月~10月の趣味活動メインは有吉北貝塚学習となりました。特に北斜面貝層のデータを精密分析して新しい情報を得る状況が出現して活動に熱が入りました。北斜面貝層は後代人工撹乱の様子は全くない貝層ですが、単純に貝を投棄してできた貝層ではありません。繰り返し発生したガリー侵食撹乱によりできた貝層です。その自然現象としての撹乱現象を理解することが北斜面貝層分析の鍵であると考えます。

自分の趣味活動テンポと北斜面貝層分析学習テンポに齟齬が生まれ、現在は有吉北貝塚学習が中断しています。現在を「ため」の時期として2022年の前半には学習を再開する予定です。


有吉北貝塚学習で作成した北斜面貝層断面図3Dモデル

参考 サイト「有吉北貝塚学習記事集成

1-5 専門概説書の通読学習

設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)を学習し、ブログ記事17編を書きました。土偶の顔とかイレズミに関する知識が増大しました。

ブログ「芋づる式読書のメモ

1-6 3Dモデル分析技術等の習得

次のような個別技術習得や課題解決をしました。

・小さいモノの3Dモデル作成技術

・GigaMesh Software Frameworkの使い方説明公開

・3DF Zephyr Lite不都合の解決(個人パソコン設定との相性悪さ解決)

・VRゴーグル実験

・地理院地図、DEM-Net Elevation APIなどの3DモデルのBlender、3DF Zephyr Lite活用

・テクスチャ画像の縮小

・Photoshop3D機能活用

・Sketchfabに画像貼付実現


GigaMesh Software Frameworkにおける縄文土器3Dモデルの展開

1-7 考古学切手収集の開始

Twitter坂下貴則【日本人の考古学】さん紹介ツィートに刺激されて、2021年7月21日切手の博物館企画展「切手 de 考古学」展を観覧しました。大いに感動して世界の考古学切手収集を趣味活動に加えました。コロナ禍で海外旅行が出来ないことの代償行為であると(密かに自分の深層心理を分析して)感じています。過去に訪れた古代遺跡が図案の切手とか、まだ見知らぬ遺跡の考古学切手などを手当たりしだいに入手しています。

1-8 英語要約追記の開始

Sketchfab(3Dモデル投稿サイト)で外国の方から説明に英文を加えてほしいとの要望をいただきました。そこでSketchfab、ブログ記事、YouTube、Facebookなどに英文説明や要約を追記しています。英語力ゼロの自分ですから、全てGoogle Translateに任せていたのですが、そのうちかなりトンチンカンな英文であることにうすうす気が付いて、最近は「和英対照日本考古学用語辞典」でキーワードを確認するようになりました。「和英対照日本考古学用語辞典」は図版も豊富できわめて素晴らしい辞典ですが、この図書がとても入手しにくい(法外に高価な古書しかない)ことに驚きました。webでうろうろとさまよいながら探しているうちに、「メルカリ」(!)でみつけて、適正価格で新本同様のモノを入手しました。ラッキーでした。

2 「2021年のささやかな夢リスト」の実現チェック

2021.01.15記事「ブログ開設10周年通過にあたって」で2021年のささやかな夢リストを書きましたが、その夢が実現したかどうか、チェックを楽しんでみることにします。

凡例

 ●…2021年当初にその実現を重視した夢

 〇…実現あるいは実現しつつある、あるいは実現の端緒をつかんだ項目

 ×…実現していない項目

●2-1 縄文社会消長分析学習の前進…〇

●2-1-1 有吉北貝塚学習を充実させる…〇

●2-1-2 養安寺遺跡学習の開始と進行…×

2-1-3 加曽利貝塚等関連遺跡学習の着手…〇

●2-2 アリソガイ製ヘラ状貝製品学習の完了…×

2-3 信頼のおける縄文時代気候資料の入手と分析…×

2-4 原始神話学の学習…〇

●2-5 使い勝手の良い学習参考資料作成…×

2-6 近隣展示施設の展示物観察の継続…〇

2-7 全国展示施設の展示物観察の継続…〇

●2-8 3Dモデル作成・操作・表現技術の向上…〇

●2-9 GIS技術、DB技術の向上…〇

2-10 画像と著作物表現技術の向上…〇

2-11 webメディアの操作技術…〇

勝敗で表現してもあまり意味はありませんが、11項目について8勝3敗です。子どものように夢を追い求めた2021年趣味活動は、それなりに充実していたと言えるようです。

3 趣味活動の感想

・趣味活動において飽くなき「楽しさ」極大化を目指すこととします。(成果業績とか、社会的認知とかを目指すことにあらず。)そのために必要なことはなんでもすることにします。

・縄文学習で言えば、出来るだけ学術的成果を知り、それを踏まえることに留意することにします。しかし、学術とは異なるゾーン(趣味のゾーン)で活動していることを絶えず意識し、自分自身の価値観を磨いていくことにします。

4 2022年の活動

上記1~4の2021年ふりかえりを踏まえて、2022年の活動を年始にじっくり考え、2022年1月15日記事「ブログ11周年通過記念記事」(予定)でまとめることにします。


2021年全287記事(この記事を除く)のサムネイル

……………………………………………………………………

2020.12.31記事「2020年の趣味活動をふりかえる

2019.12.31記事「2019年の趣味活動をふりかえる

2018.12.31記事「2018年の趣味活動をふりかえる

2017.12.31記事「2017年の趣味活動をふりかえる

2016.12.31記事「2016年の趣味活動をふりかえる

2015.12.31記事「2015年をふりかえる

2014.12.31記事「1年をふりかえる

2013.12.31記事「大晦日の夜に1年をふりかえる


2021年12月29日水曜日

アワビが象嵌された耳飾の3Dモデルによる観察

 Observation with a 3D model of clay earring inlaid with abalone


I observed a 3D model of clay earring (Tsukinoki shell mound, Chiba city), which is the oldest abalone inlay product in Japan, exhibited at the Chiba City Folk Museum "Chiba City Excavated Excellent Archaeological Material Exhibition". It has been excavated from a mid-Jomon residence. From the middle of the Jomon period, the abalone pearl interference color has fascinated people.


千葉市立郷土博物館「千葉市出土考古資料優品展」で展示されている、日本最古のアワビ象嵌製品である土製耳飾(千葉市月ノ木貝塚)を3Dモデルで観察しました。

1 アワビが象嵌された耳飾(千葉市月ノ木貝塚) 観察記録3Dモデル Clay earring with abalone inlaid

アワビが象嵌された耳飾(千葉市月ノ木貝塚) 観察記録3Dモデル Clay earring with abalone inlaid

糸巻形土製耳飾、日本最古のアワビ象嵌製品

高さ1.8㎝、直径2.9㎝、アワビ円板直径1.4㎝(中央小孔直径4.5㎜)

撮影場所:千葉市立郷土博物館「千葉市出土考古資料優品展」

撮影月日:2021.12.22


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 78 images

Clay earring with abalone inlaid (Tsukinoki shell mound, Chiba city) Observation record 3D model

Spool-shaped clay earring, Japan's oldest abalone inlay product

Height 1.8 cm, diameter 2.9 cm, abalone disk diameter 1.4 cm (central small hole diameter 4.5 mm)

Location: Chiba City Folk Museum "Chiba City Excellent Archaeological Material Exhibition"

Shooting date: 2021.12.22

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 78 images


3Dモデルの動画

2 メモ

2-1 時期

資料(「千葉市史 原始古代中世編」1974、千葉市発行)を読む加曽利E式期住居から出土しています。この土製耳飾は縄文中期の製品になります。

2-2 展示における説明


展示説明

展示パネル

「赤く彩色した土製の耳飾に、アワビの真珠光沢を嵌め込んだ優品。縄文人の美意識が垣間見える。」

2-3 感想

ア アワビ真珠干渉色は明瞭に観察できません。つくられたときから時間が経過して退色してしまったのかもしれません。

イ  矢野憲一著「鮑」掲載写真をみると、耳飾の反対側にもアワビが象嵌されています。

ウ 中期耳飾は後晩期耳飾のように大形化していないようなので、この耳飾は小青年用ではなく成人用だったと想像します。中期では素朴な耳飾が多い中で、このアワビ象嵌耳飾は特別豪華な製品であり、リーダーが着装していたものと想像します。

エ アワビ真珠干渉色の美しさは中期から縄文人を魅了していて、それが素地となり、後期には「アワビ信仰」が生まれ「マダカアワビ貝刃」や「アワビ形土製品」がつくられたと考えます。


マダカアワビ貝刃の真珠干渉色変化の確認

 Confirmation of pearl interference color change of madaka abalone shell knife


The pearl interference color change of the madaka abalone shell knife was confirmed in the photograph. The pink and green brilliant stripes change. The gorgeous pearl interference color change must have fascinated the Jomon people. With my own technology, I cannot express pearl interference color change with a 3D model.


マダカアワビ貝刃はその輝きから大膳野南貝塚縄文人にとって実用性を超越した特別の道具(「第2の道具」)であったと考えました。

2021.12.27記事「「第二の道具」としてのマダカアワビ貝刃

葉市立郷土博物館「千葉市出土考古資料優品展」展示説明でも「内面に太陽光やライトを当てると虹色に照り返し、光を反射する特殊な道具として用いられた可能性が高い。」と述べています。

この「虹色の照り返し」とは真珠干渉色に外なりません。そして真珠干渉色とは静的な輝き(色味)にとどまらず、動的に輝き(色味)が変化するということが最大の特徴になります。

この記事では3Dモデル作成用に撮影した写真を使ってマダカアワビ貝刃の真珠干渉色変化を確認しました。

1 見る角度の変化に伴う真珠干渉色変化


写真1

ライトが直接反射する付近はピンクの輝きとなり、周辺はグリーンとピンクが縞模様となって輝きグリーンが卓越します。


写真2

ライトが直接反射する付近はピンクに輝き、写真1よりその範囲が広い。周辺はグリーンとピンクが縞模様となって輝きグリーンが卓越するが写真1よりその範囲は狭くなっています。


見る角度による干渉色の変化

真珠干渉色でもピンク1色とかグリーン1色の場合があり、そうした場合と比べてこのマダカアワビ貝刃はとても豪華な真珠干渉色を具備しています。ピンクとグリーンの輝きが変化する様子、ピンクとグリーンの輝きの縞模様は大膳野南貝塚縄文人を魅了したに違いありません。

2 3Dモデルにおける真珠干渉色の表現

残念ながら自分は3Dモデルにおける真珠干渉色表現技術を知りません。

おそらく、自分が知らないだけであり、世の中には干渉色表現(見る角度による輝く色味変化の表現)技術は存在するに違いありません。今後その技術を見つけ出し、学習して、3Dモデルで表現できるようになりたいと思います。

普通の3Dモデルでは次のように単一テクスチャが張り付きます。


通常3Dモデルでは干渉色変化を表現できない


2021年12月28日火曜日

アワビ形土製品(千葉市内野第1遺跡)の3Dモデル観察

 3D model observation of abalone-shaped baked clay object (Chiba City, Uchino Daiichi Site) 


I observed the abalone-shaped baked clay object (Chiba City, Uchino Daiichi Site) exhibited at the Chiba City Folk Museum “Exhibition of excellent archaeological materials excavated from Chiba City” with a 3D model. I am deeply interested in the meaning of making abalone-shaped baked clay object in inland villages that are not engaged in fishing. I will consider the possibility that the abalone-shaped baked clay object was a totem that symbolized the group.


千葉市立郷土博物館「千葉市出土考古資料優品展」で展示されているアワビ形土製品(千葉市内野第1遺跡)を3Dモデルで観察しました。

1 アワビ形土製品(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル Abalone-shaped baked clay object

アワビ形土製品(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル Abalone-shaped baked clay object

撮影場所:千葉市立郷土博物館「千葉市出土考古資料優品展」

撮影月日:2021.12.22


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 91 images

Abalone-shaped baked clay object (Chiba City, Uchino Daiichi Site) Observation record 3D model

Location: Chiba City Folk Museum “Exhibition of excellent archaeological materials excavated from Chiba City”

Shooting date: 2021.12.22

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 91 images


3Dモデルの動画

2 メモ

2-1 展示説明


展示説明

「アワビ形土製品

内野第1遺跡(花見川区宇那谷町)

縄文時代の人々は身近な生物を模した造形物を多く作った。イノシシが多くみられるが、本資料のようなアワビを模した土製品は珍しい」

2-2 内野第1遺跡発掘調査報告書記載


アワビ形土製品

内野第1遺跡発掘調査報告書から引用

「アワビ形土製品は低地部包含層中から出土している。近接する佐倉市井戸作遺跡では裏面に縄文が施されたものが出土している。内陸部における外洋性の海産資源との関連性を裏付けるものである。」(内野第1遺跡発掘調査報告書から引用)

3 アワビ形土製品の巻方異常

アワビ貝殻の巻方は右巻です。


巻貝の巻方判定

尖った方を上にして口が右側に来るものが右巻、左側に来るものが左巻です。巻貝の9割は右巻で、アワビも右巻です。

ところが、本アワビ形土製品は巻方が左巻となっています。


マダカアワビ貝刃とアワビ形土製品の巻方の違い

アワビ形土製品の巻方が異常であることから、この土製品がつくられた場所(おそらく内野第1遺跡)にはアワビ貝殻現物は存在していなかったと推定できます。トコブシなどの類似貝殻も無かったと考えられます。アワビ形土製品はその作者が以前見たことがあるアワビ貝殻現物を想念としてイメージして、この土製品を作ったものと考えることができます。webで見かける他遺跡出土アワビ形土製品には形状がリアルで巻方も右巻のものがありますが、それは現物をよく観察できる環境下でつくられたものに違いありません。この土製品にはアワビ貝殻のリアルさはほとんどありません。

4 本アワビ形土製品の意義

本製品が出土した内野第1遺跡は千葉市でも内陸に位置していて、直接海の漁労に関わることはない集落です。


千葉市内野第1遺跡の場所

内陸にある集落で、貝殻現物もない状況下でアワビ形土製品がつくられたということは、アワビに対する強い信仰が社会全体に存在していたことを示唆しているのだと考えます。大膳野南貝塚ではマダカアワビ貝刃が出土していて、それが祭祀で使われていたと考えましたが、そうした漁労民のいわば「アワビ信仰」が内陸集落にも交易とか婚姻とかの社会交流によりもたらされていたと考えます。

5 トーテミズムから見たアワビ

トーテミズムという視点からアワビ形土製品の意義について検討することは大変興味深いことであると考えます。今後、縄文学習の重要テーマとして取り組むことにします。


2021年12月27日月曜日

「第二の道具」としてのマダカアワビ貝刃

 Madaka abalone shell blade as a "second tool"


Observe the blade of the madaka abalone shell blade in detail at the Chiba Municipal Folk Museum "Chiba City Archaeological Excellent Material Exhibition" with a 3D model. Although the practical function as a large kitchen knife can be confirmed, the essence is assumed to be the "second tool" in cooking rituals.

[madaka abalone shell=Haliotis (Nordotis) madaka]

["second tool"=implements used in rites and rituals]


千葉市立郷土博物館「千葉市出土考古資料優品展」で展示されているマダカアワビを3Dモデルで観察しました。

2021.12.24記事「真珠干渉色に輝く大形アワビ(千葉市大膳野南貝塚)を3Dモデルで観察する

3Dモデルでさらに細部を観察しているなかで、この製品の意義についての思索が深まりましたのでメモします。

1 全体形状

3DモデルからGigaMesh Software Frameworkで6面図を作成しました。


マダカアワビ貝刃 6面図

webでマダカアワビ写真を多数収集し、その形状とこの6面図を比較してみました。比較の結果刃部が極端にすり減っているということは確認できませんでした。このアワビ製品は採集されたときの形状とあまり変わらないことが判りました。

2 断面形状

3Dモデルを切断して発掘調査報告書掲載断面形状を確認しました。


3Dモデル断面形状

3 刃部の観察

発掘調査報告書では刃部の位置を記載しています。


大膳野南貝塚発掘調査報告書掲載 1号屋外漆喰炉出土貝製品

この刃部を3Dモデルで観察すると、内面の厚い真珠干渉色層の表層の一部が剥落していることがわかります。刃部以外にこの剥落はありませんから、刃部がモノの切断等に実際に使われたことが確認できます。


刃部


刃部拡大

なお、刃部の刃渡りは17.3㎝になります。一般的なハマグリ貝刃の刃渡りは9㎝程度ですから、マダカアワビ貝刃は刃渡りが倍近くになります。


マダカアワビ貝刃の刃渡り

4 マダカアワビ貝刃の出土状況

マダカアワビ貝刃の出土場所


大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用

マダカアワビ貝刃は大膳野南貝塚のメイン屋外漆喰炉から出土しています。屋外漆喰炉における調理活動とこのマダカアワビ貝刃が関連していることは確実です。

5 マダカアワビ貝刃の意義

大膳野南貝塚の漁場である村田川河口では、当時、このマダカアワビを採ることはできないと考えます。東京湾口など遠方から交易で入手した宝物であると考えます。真珠干渉色で光り輝くこのアワビを巨大貝刃に仕立て上げて特別な調理活動で使ったのだと想像します。その特別な調理活動とは祭祀で使う料理、より直接的には神に捧げる料理をつくる時の包丁であったと想像します。神にささげる料理を作る際にマダカアワビ製の光り輝く大包丁を使い、その料理を神に捧げたあと、集落構成員全員でそれを食べたのだと思います。

刃部の磨耗がアワビの形を変えるほどに進んでいないので、包丁(貝刃)といっても実用物というより祭器という側面の方が強かったのだと思います。マダカアワビ貝刃は「第二の道具」であると考えます。

マダカアワビ貝刃が屋外漆喰炉から出土した関係(遺物-遺構関係)は、異形台付土器・土偶・石棒等が大型住居(特殊遺構)から出土する関係(遺物-遺構関係)と相似的です。屋外漆喰炉でマダカアワビ貝刃を使って料理祭祀が挙行されたこと、大型住居(特殊遺構)で異形台付土器・土偶・石棒等を使って各種祭祀が挙行されたことが推察できます。


加曽利貝塚112号住居跡の出土遺物分布

「史跡加曽利貝塚総括報告書」(2017、千葉市教育委員会)から引用


2021年12月25日土曜日

縄文人の珍品収集趣味

 Jomon people's hobby of collecting rare items


I asked Dr. Shinobusawa of the Ichihara City Board of Education four questions about the pendant made by Polychaeta tube and got answers. From that answer, I thought that this relic was one of the hobby collections in Jomon beachcombing.


12月始めまで加曽利貝塚博物館で特別展として開催されていた「-市原市史跡指定-祇園原貝塚 千年続いた縄文のムラ」で展示されていたゴカイ棲管製垂飾(市原市根田祇園原貝塚)が気になり、12月18日加曽利博縄文講座で講師の忍澤成視先生に(後日メール)質問をしました。その回答をいただき、学習参考になるだけでなく、自分の思考が大いに刺激されましたので、メモしておきます。

2021.12.16記事「ゴカイ棲管製垂飾の観察

2021.12.19記事「加曽利貝塚博物館 縄文講座 「祇園原貝塚」の受講

1 質問1 ゴカイ棲管製垂飾の材料は露頭で拾ってきた生痕化石としての棲管ではなく、浜辺で拾ってきた(当時の)現生棲管であると確認してよいか?

【ご回答】

後者、「海岸打ち上げ物の採集品」と考えています。祇園原貝塚からは、タカラガイ、イモガイ、ツノガイ、アマオブネなど、南房総特有の海岸漂着物起源の装飾品が少なからず出土しており、近隣の西広貝塚はその後の調査で膨大な数量の当該製品が見つかったため、市原の縄文人が強い意識で採集していたと考えています。これらにまぎれて、ゴカイ棲管も拾ってきたものと思います。

●感想

このゴカイ棲管は他の比較的珍しく装飾品として使うことができる海岸打ち上げ物と一緒に採集してきた品と考えられるとのご判断です。その判断は祇園原貝塚だけでなく、近隣の西広貝塚出土物からも裏打ちされた専門的なものです。祇園原貝塚縄文人は今で言うビーチコーミングをしていたということです。イルカやクジラ遺体など有用物だけでなく、美しいモノ、珍しいモノも微小なモノを含めて拾っていたということです。

2 質問2 ゴカイ棲管の破片はこの製品以外に貝塚から沢山出土しているのか、この製品だけか?

【ご回答】

市原市内ではこれ以外に類例はありません。また、他市の遺跡でも同様に稀な存在です。

●感想

ゴカイ棲管は干潟で特段に珍しいものではないと思います。大きさ・形状とか硬軟を無視すれば、むしろ普通にみられるものであると言っていいのではないかと思います。そのゴカイ棲管が1つだけ出土したという意味を次のように考えます。

「祇園原貝塚の縄文人達はビーチコーミングをいつもしていた。拾ってくるものは人によって違うものが含まれていた。多くの人はゴカイ棲管を見て興味を示さないが、ある縄文人Aさんはゴカイ棲管に興味を持ち拾い、集落に持ち込んだ。」

つまり縄文人は現代人と同じく、人により興味が異なり、たまたま縄文人

Aさん1人がゴカイ棲管に興味をもったので、それが遺物として残ったと考えます。ゴカイ棲管が干潟で特別珍品だったから1つだけしか出土していないというわけではないと考えます。

ゴカイ棲管が1つだけしか出土していないという情報は、逆説的には、多くの縄文人が興味を示さないゴカイ棲管について興味を持った少数の人がいたということを示しています。つまり、縄文人趣味心の多様性を示しているのだと考えます。

3 質問3 この製品が単なる自然遺物ではなく、「確かに人が加工した遺物」であるという確認はどのような特徴で判るのか?(自分には展示物を見て「確かに人の手が加わった」と確認できる様子が判りませんでした。)

【ご回答】

当該品には明確な加工痕跡はありません。しかし形状が管状をしており、ツノガイや動物の長管骨を加工した「管玉」状の装身具と似ていることから、同様の用途に用いられたのではと考えています。当初は「大型のツノガイ」と認識して報告書に掲載したのですが、後に貝類の専門家からツノガイではなくゴカイ棲管と判明しました。

●感想1

このゴカイ棲管は展示コーナー別分類でいえば垂飾になりますが、遺物分類的には自然遺物になるのだと思います。加工痕跡も使用痕跡も無いようです。また形状も垂飾にふさわしい整形的な形状ではありません。


ゴカイ棲管のオルソ投影「上から」

このゴカイ棲管の硬さが気になります。指でつまんで少し力を入れると「グシャ」とつぶれてしまうような感じを受けます。人体に付ける垂飾としては到底使えないのではないだろうかと気になります。

●感想2

このゴカイ棲管は破片であり、破片となる前の製品が存在していたのかもしれません。質問4ご回答のあるように「屈曲するなどした形態」など珍しいモノで加工された垂飾だったのかもしれません。

4 質問4 自分は、ゴカイを食料として使っていた(珍重していた・・・だから垂飾にした)と想定しますが、忍澤先生はどのようなご感想を持つでしょうか?

【ご回答】

縄文人が生物であるゴカイそのものにどのような意識をもっていたかはわかりませんが、自然界のあらゆる方面に意識を働かせていた彼らにとって特別な存在だった可能性もあります。棲管は、カルシウム成分が凝固してできた産物で、その形状は可変性ですので、特に「屈曲するなどした形態」のものに興味をもった可能性があります。そのような出土事例をどこかの遺跡発掘調査報告書で見た記憶があります。

●感想

忍澤先生講演では、縄文人はあらゆる生き物を食料とする柔軟性があったから、縄文社会が長く継続発展したとの見解が述べられました。その見解に刺激されて、現代日本人はゴカイを食しませんが、縄文人は食していたかもしれないと空想します。webを調べると、ベトナム料理にはゴカイ料理があります。意外と美味しいかもしれません。

5 総合感想

忍澤先生ご回答を参考にして、自分はつぎのように想像します。

ゴカイ棲管はある縄文人(Aさん)の趣味心で珍しいものとして拾われ、集落に持ち込まれた。そしてAさんにとっては自慢の品であり、保管されたのだと考えます。その時、住居内で飾られた…糸で吊るされ、垂れて飾られた…かもしれません。そうした経過により結果として貝塚に残ったのだと思います。

ゴカイ棲管はある縄文人(Aさん)のビーチコーミングにおける趣味コレクションの一つだったと空想的に結論付けます。

忍澤先生の詳しいご回答、情報提供にあらためて感謝申し上げます。

お陰で学習と思考を大いに楽しむことができました。

2021年12月24日金曜日

真珠干渉色に輝く大形アワビ(千葉市大膳野南貝塚)を3Dモデルで観察する

 Observe a large abalone (Chiba City Daizenno Minami Shell Mound) that shines in pearl interference color with a 3D model


We observed a large abalone (Daizenno Minami Shell Mound, Chiba City) that emits strong green and pink pearl interference colors with a 3D model.

Imagine that it was used for rituals in the late Jomon period as a shining shell knife.


照明に当たって、グリーンとピンクの強い真珠干渉色を発する大形アワビ(千葉市大膳野南貝塚)を3Dモデルで観察しました。

1 アワビ(千葉市大膳野南貝塚) 観察記録3Dモデル abalone

アワビ(千葉市大膳野南貝塚) 観察記録3Dモデル abalone

縄文時代後期

殻長17.8㎝、殻幅14.0㎝、殻高5.4㎝、マダカアワビ

撮影場所:千葉市立郷土博物館「千葉市出土考古資料優品展」

撮影月日:2021.12.22


展示の様子1


展示の様子2


展示の様子3

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 121 images

Abalone (Chiba City Daizenno Minami Shell Mound) Observation record 3D model

Late Jomon period

Shell length 17.8 cm, shell width 14.0 cm, shell height 5.4 cm, Giant abalone(Haliotis (Nordotis) madaka (Habe,1979))

Location: Chiba City Folk Museum "Exhibition of excellent archaeological materials excavated from Chiba City"

Shooting date: 2021.12.22

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 121 images


3Dモデルの動画

2 メモ

2-1 展示説明

「殻長17.8㎝、殻幅14.0㎝、殻高5.4㎝の大きなマダカアワビの全面を丁寧に磨き上げた製品である。

内面に太陽光やライトを当てると虹色に照り返し、光を反射する特殊な道具として用いられた可能性が高い。2.1m×1.1m、深さ0.3mの貝灰がつまった屋外炉の端に近い場所に内面を上にして埋められていた。

縄文貝塚出土のアワビはみな小片であり、貴重な完存例である。」

2-2 大膳野南貝塚発掘調査報告書における出土状況の記載

アワビ製貝刃として記載されています。


1号屋外漆喰炉のアワビ製貝刃出土状況

大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用


1号屋外漆喰炉のアワビ製貝刃

大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用

・貝刃という利器として観察すると、刃部が長期にわたる使用で磨耗してしまい、あまり用を成さない状態に至ったもののように見えます。貝殻形状も本来の形とくらべかなり小さくすり減っています。(後日、本来の大きさ復元を試みたいと思います。)

2-3 検討

大膳野南貝塚に集落が形成されていた縄文時代後期の村田川河口部はすでに干潟化がすすみ、深い水深に生息するマダカアワビは生息していなかったと考えられます。この製品は東京湾口方面から交易で入手した殻であると推察します。光る大きな包丁として特別な調理で使われた一種の祭具であり、漁労活動を象徴する宝物として扱われていたのだと想像します。屋外漆喰炉を閉じる時、このアワビを埋納したのかもしれません。

3 グリーンとピンクの強い真珠干渉色の3Dモデル化

本アワビ製品内面のグリーンとピンクの強い真珠干渉色がフォトグラメトリー3Dモデルでどのように表現されるのか、その結果を残すことができました。真珠干渉色そのものを表現することはできませんが、「真珠干渉色もどき」としては事前の想定よりもよく表現できたと思います。

3Dモデルで、真珠干渉色を表現できる技術があるかどうかリサーチして、出来るものならば、本製品の真珠干渉色を3Dモデルで表現したいものです。

4 アワビの切手

考古学切手収集にまぎれて、いつの間にかアワビ切手が手元にありました。


ベトナム切手 アワビ

5 マダカアワビ学名

学名 Haliotis (Nordotis) madaka (Habe,1979)

マダカ(眼高…眼は貝殻の孔で、これが煙突状に高いため。)が学名に含まれています。この種の分布は日本と朝鮮付近に限定されています。


2021年12月23日木曜日

旧石器時代洞窟壁画 スペイン切手 その4

  Paleolithic cave painting Spanish stamp Part 4


Of the 10 types of Spanish Paleolithic cave painting stamps (issued in March 1967), we observed mural paintings depicting wild cows, left hands and plants. I was surprised that the plants (probably food) were drawn.


スペインの旧石器時代洞窟壁画切手10種(1967年3月発行)のうち、これまで6種を観察しました。この記事では残り4種を観察します。


スペイン切手 旧石器時代壁画 アルタミラ洞窟

1.20ペセタ CVA ALTAMIRA (SANTANDER)

うずくまった野牛の絵。すばらしい表現です。このような高度表現技術を旧石器時代人がどのようにして身につけることができたのか、知りたくなります。


スペイン切手 旧石器時代壁画 コバランス洞窟

2.50ペセタ CVA COVALANAS (SANTANDER)

シカの絵であるようです。


スペイン切手 旧石器時代壁画 エルカスティーヨ洞窟

1.50ペセタ CVA EL CASTILLO (SANTANDER)

左手の輪郭を塗料を吹いて描いています。同じ方法で描いた左手は全世界の壁画で見られるようです。


参考 国連切手 アルゼンチンの世界遺産リオ・ビントゥラスのクエバ・デ・ラス・マノス


スペイン切手 旧石器時代壁画 ラシーラ洞窟

1ペセタ CVA LA SILLA (BADAJOZ)

この壁画の意味は最初判りませんでしたが、有用植物を描いているらしいと想像するようになりました。webを調べると北米アナサジ遺跡に類似の壁画があり、植物と説明されていることからの類推です。3種の植物が描かれていて、それは樹木ではなく、草本であると推測します。上左と下のモノは下部に三角があります。これはこの植物を抜いたときの根を表現してるのではないかと想像します。上左は根の部分が塗りつぶされていないのでその部分を食べるのかもしれません。下の植物は塗りつぶされていない枝と実(?)が1つあり、それが食べる実かもしれません。旧石器時代壁画に食料になっている植物(草)が描かれているとすれば、自分にとっては初めての情報であり、驚くべきことです。

日本列島の旧石器時代遺跡、縄文時代遺跡に壁画がどの程度あるのか調べたくなります。これまでの2年ほどの学習で壁画を見かけた記憶をほとんど思い出せません。壁画がどの程度あるのか、あるとすれば何が描かれているのか、知りたくなります。


2021年12月22日水曜日

千葉市内出土考古資料優品展の観覧

 Viewing the exhibition of excellent archaeological materials excavated in Chiba city


On December 22, 2021, I visited the exhibition of excellent archaeological materials excavated from Chiba City, which is being held at the Chiba City Folk Museum. It was impressive because it was an exhibition of excellent archaeological materials, and at the same time, it was all relics of great archaeological significance. My archaeological hobby was greatly stimulated and my motivation for learning increased.


2021年12月22日にようやく念願がかない、千葉市立郷土博物館で開催中の千葉市内出土考古資料優品展を観覧してきました。新たに観覧できて感動したもの、あらためてよりよい展示環境で観覧出来たもの、説明文が加わり認識を深めることができたものなどがあり、きわめて収穫大なる観覧となりました。

一通り全部観覧してから、縄文遺物について興味の深いものから順に3Dモデル用撮影をしました。3Dモデルを作成したいもの全部をとても1回の観覧では撮影できませんから、今後数回は通いたいと思います。また、弥生古墳奈良平安の遺物についても、これまで図書や報告書の挿絵でしかみたことのないものの現物もかなり展示されていて、次回以降じっくり観覧することにします。

1 千葉市内出土考古資料優品展の開催期間と撮影・SNS情報発信


千葉市内出土考古資料優品展の開催期間

2022年1月23日まで千葉市立郷土博物館で、2月3日から3月10日まで千葉市埋蔵文化財調査センターで開催されます。


撮影・SNS情報発信について


会場風景

全て写真撮影OK、SNS投稿歓迎です。

2 私が特に観覧したかったアワビ

大膳野南貝塚の野外炉から出土したアワビは特別な意味があると考えられています。その現物を見ることができ、その輝きに感激しました。大膳野南貝塚学習をふりかえりたくなります。


大膳野南貝塚出土アワビ


アワビ形土製品

単にアワビを模している土製品という平板的な視点ではなく、トーテムの一種であると考えると興味が特段に深まります。


アワビ象嵌耳飾

3 ヘビを模した垂飾


ヘビを模し垂飾2種

勝坂式土器の影響によるヘビを模した製品です。

4 土版


土版

土版の裏面がレプリカで展示されていますので、土版の理解が進みます。土版裏面の入組文は吉祥文であると最近考えました。2021.12.07記事「手燭形土器(安行3a式)(佐倉市吉見台遺跡)の観察 Candlestick-shaped earthenware 2

5 旧石器時代石器


ナイフ形石器


神子柴型石斧

伊那市創造館で観覧した尖頭器、石斧などと比較して検討してみたくなり、心が騒がしくなります。

6 土偶


縄文早期土偶

照明が明るく、多角度からの撮影が可能であり、良好な3Dモデル作成が期待できます。


土偶展示

7 石棒


巨大な石棒

全国で47番目の巨大さです。

8 土器


土器の展示