2024年5月21日火曜日

1949年撮影米軍空中写真から作成した3Dモデルのカラー化

 Colorization of 3D model created from U.S. military aerial photographs taken in 1949


A 3D terrain model created from an aerial photograph taken 75 years ago was transformed into pseudo-color using AI functionality. It's now much easier to see. It is a valuable resource simply because it allows us to observe the intact remains of the Inba-numa Horiwari construction work (horiwari and dumped earth bank) in its original state during the Tenpo period. You can also observe the remaining war ruins.


75年前の空中写真から作成した地形3DモデルをAI機能を利用して疑似カラー化しました。かなり見やすくなりました。天保期印旛沼堀割普請の遺構(堀割と捨土土手)の「無傷」な状況をそのまま観察することができるだけでも貴重な資料です。残置する戦争遺跡も観察できます。

1 1949年撮影米軍空中写真から作成した地形3Dモデル(花見川付近) 疑似カラー版

1949年撮影米軍空中写真から作成した地形3Dモデル(花見川付近) 疑似カラー版

元3Dモデルはhttps://skfb.ly/oUOBQ

疑似カラー化はテクスチャをPhotoshopニューラル機能「カラー化」により行う

概ね樹林が緑、畑が茶色、裸地が白で表示されている

3DF Zephyr Lite v.7.529でSketchfabにアップロード


3Dモデル画像


3Dモデル画像


3Dモデル動画

2 1949年地形3Dモデルの見どころ

2-1 天保期印旛沼堀割普請の堀割と捨土土手


天保期印旛沼堀割普請の堀割と捨土土手

1949年地形3Dモデルは昭和期印旛沼開発事業以前の地形モデルであり、天保期印旛沼堀割普請の遺構(堀割と捨土土手)を手つかずで表現している点でとても貴重です。天保期印旛沼堀割普請は黒船来航時代に東北から銚子-利根川-印旛沼-東京湾の舟運ルートを開く意義があり、外国勢力による東京湾封鎖に備える国家リスク管理に係る一大ビッグプロジェクトでした。


堀割を掘削して土を捨土土手に運ぶ様子

江戸働黒鍬之者、大もっこうにて堀捨土かつく図

但し、土の重サ三、四十貫目ゟ、水つき候土ハ七十貫目位迄もかつき候由

久松宗作著続保定記掲載絵図

「天保期の印旛沼堀割普請」(千葉市発行、平成10年3月)より絵図と文章転載

2-2 戦争遺跡


戦争遺跡の様子

鉄道連隊の架橋訓練地(柏井橋)が花見川区横戸台付近にありました。軽便鉄道橋梁や普通鉄道橋梁が演習として架橋されました。コンクリート橋台1基、トーチカ及びコンクリート製監視塔下部は現存しています。(立ち入れない場所にあるので、ほとんど知られていません。過去に住民グループで現場調査して報告書を刊行しています。)


花見川における架橋作業

出典:「写真に見る鉄道連隊」(髙木宏之著、光人社発行)

2-3 東京湾水系と印旛沼水系の谷中分水界跡


印旛沼水系と東京湾水系の谷中分水界跡(推定)

この付近に東京湾水系と印旛沼水系の谷中分水界が存在していたと推定しています。この谷中分水界を手がかりに印旛沼水系と東京湾水系を繋ぐ印旛沼堀割普請が試みられたと考えます。

この谷中分水界は奈良時代には印旛沼水系舟運と東京湾水系舟運を繋ぐ船越(陸路)として利用されていたと考えられます。


谷中分水界を利用した船越のイメージ


2024年5月19日日曜日

速報 1949年撮影米軍空中写真から地形3Dモデル作成に成功

 Breaking news: Successful creation of 3D terrain model from 1949 US military aerial photographs


With the photogrammetry software 3DF Zephyr Lite, you can create 3D terrain models from drone photos. Therefore, I thought that it would be possible to create a 3D terrain model from U.S. military aerial photographs taken just after the end of the war, and even though it was impossible, I tried it. I was able to create a 3D terrain model very easily. It's amazing to me that I can freely create a 3D model of the terrain right after the end of the war (before development).


フォトグラメトリソフト3DF Zephyr Liteでドローン撮影写真から地形3Dモデル作成ができます。ですから、終戦直後撮影米軍空中写真からでも地形3Dモデルができるに違いないと考え、ダメモトで試してみました。極簡単に地形3Dモデルができました。終戦直後(開発前)の地形3Dモデルが自由につくれることは驚愕です。

1 1949年撮影米軍空中写真から作成した地形3Dモデル(花見川付近)

1949年撮影米軍空中写真から作成した地形3Dモデル(花見川付近)

垂直比率:×3.0


実際に作成した3Dモデルの範囲


使用空中写真(1949年4月撮影、1万6千分の1)


標定図

3Dモデルは3DF Zephyr Lite v.7.529で作成、Blenderで垂直比率調整

3DF Zephyr LiteでSketchfabにアップロード


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 感想

今回の作業で、米軍空中写真から地形3Dモデルができるということが分かったことは、自分にとって驚愕であり、うれしい出来事です。開発前の地形が等高線ではなく、リアルな凸凹として観察できることになるのです。貴重な情報になります。現在熱中している有吉北貝塚学習も、開発前の遺跡付近地形の3Dモデルができることになるのですから、遺跡認識を深めることができ、楽しみです。

米軍空中写真だけでなく、国土地理院サイトから入手できる各種空中写真も同様に3Dモデル化できるか順次試してみます。

なお、今回は全く未調整の生の写真を使っていますから、精度という点では専門性はありません。精度向上は今後の課題です。

3 参考 3Dモデル画像と現状


3Dモデル画像と現状


2024年5月15日水曜日

RealityCaptureの試用と3DF Zephyr Liteとの比較

 Trial of RealityCapture and comparison with 3DF Zephyr Lite


RealityCapture is now free, so I tried it out right away. When I compared it to 3DF Zephyr Lite, I felt that each software had its advantages and disadvantages.


フォトグラメトリソフトのRealityCaptureが無料となったので、早速試用してみました。3DF Zephyr Liteと比較するとそれぞれのソフトに一長一短を感じました。

1 RealityCaptureのダウンロード

最初にEpic Gamesアカウントを作成し、次にEpic Games ランチャーをインストールし、そこからRealityCaptureをダウンロードしました。問題なく、RealityCaptureを立ち上げることができました。

2 3Dモデル作成

十分な知識がないのですが、いきなり3Dモデルを作成してみました。よりよい3Dモデルを作成するための操作方法があるかと思いますが、今回はRealityCaptureを体感するために、見よう見まねで操作してみました。add imagery,align images,calculate model,textureの作業をして、素3Dモデルを作成しました。

対象物は飯田市美術博物館に展示されている深鉢型土器(飯田市天伯遺跡)です。既に105枚の写真から3DF Zephyr Liteで観察記録3Dモデルを作成して次の記事を書いています。

2024.05.03記事「深鉢型土器(飯田市天伯遺跡)観察記録3Dモデル(2024年3月撮影版)

今回は同じ写真から作成した素3Dモデル(全く調整していない3Dモデル)をRealityCapture版と3DF Zephyr Lite版で比較して、感想をメモしました。

なお、深鉢型土器(飯田市天伯遺跡)を対象に選んだのは、この遺物の3Dモデル用撮影条件が劣悪であり、そのような劣悪環境でRealityCaptureがどのようなパフォーマンスを示すのか、知りたかったからです。

3 RealityCapture版と3DF Zephyr Lite版の比較

3-1 素3Dモデルの全体の様子


RealityCapture版


3DF Zephyr Lite版

全体の結像の様子はRealityCapture版も3DF Zephyr Liteもほとんど同じといっていよい状況です。

3-2 写真が途切れる付近のゴミの付き方


RealityCapture版


3DF Zephyr Lite版

写真が途切れる付近のゴミの付き方は明らかにRealityCapture版が少なく、3DF Zephyr Lite版が多くなています。

3-3 テクスチャの解像感


RealityCapture版


3DF Zephyr Lite版

テクスチャの解像感はRealityCapture版が劣り、3DF Zephyr Lite版が良いようです。ただし、RealityCaptureに解像感を向上できるような機能とか特別操作があるかどうかはまだ知りません。また、RealityCaptureが劣るのは今回事例の特殊性によるものかもしれません。

3-4 感想

まだRealityCaptureの実力をしらないので、今後3Dモデルは3DF Zephyr LiteとRealityCaptureの双方でつくって、詳細に比較し、よりよいソフトを使う、あるいば場面で使い分けたいと思います。第一印象では3DF Zephyr Liteの方が良いような印象です。


貝塚貝層中の遺物密集度表現とヒートマップ表現

 Relic density representation and heat map representation in the Shell Layer


I independently developed a 3D model that expresses the density of relics in the shell layer. I compared this 3D model with a heat map of the plane distribution of relics (created with QGIS). It matches very well. In the future, I would like to develop 3D heatmaps.


貝塚貝層中の遺物密集度を表現する3Dモデルを独自開発しました。この3Dモデルと遺物平面分布のヒートマップ(QGISで作成)を比較してみました。とてもよく合致します。将来は3Dヒートマップを開発したいと思います。

1 遺物密集度表現3Dモデルと遺物平面分布ヒートマップの対照

2024.05.14記事「技術メモ 遺物の3D密集度の直観的表現」で作成した「遺物密集度分級の表現例2」で作成した3Dモデルのオルソ投影図(上から)と同じ遺物の平面投影分布図のヒートマップ(カーネル密度推定)(QGISで作成)を比較していました。


遺物密集度3Dモデルと遺物平面分布図ヒートマップ

双方の図面から受ける分布特徴は良く一致します。従って、今回開発した「遺物密集度分級の表現例2」の3Dモデルは貝塚分析学習の用途に十分使えそうだと直観できました。

この3Dモデルは遺物密集度を計算するBlenderPythonスクリプトが出来たことにより可能となりました。


参考 3Dモデル画像 オルソ投影 上から

左 素3Dモデル、中 表現例1、右 表現例2

2 3Dヒートマップ

点群の平面分布図から作成するヒートマップ(カーネル密度推定)の様子を、ほぼそのまま3Dモデルにすることも可能であると考えます。その場合、密度大-小の区分はそれぞれ閉じたオブジェクトになり、順番に内包される関係になります。ロシア民芸品マトリョーシカのように次々に内包関係にあるオブジェクトを、わかりやすく表示するのは透明の使い方で高度な技術が必要であると思います。

将来、3Dヒートマップ作成にチャレンジしたいと思います。


仮想3Dヒートマップのイメージ

3 Blender3D空間にプロットされた遺物の密集度を計算して出力するBlenderPythonスクリプト

遺物を球で表現してある場合のスクリプトで、遺物を選択してからスクリプトを走らせると、遺物名称、xyz座標、半径10㎝バッファー内の遺物数をファイル出力します。


import bpy
import math

# 出力先のファイルパス
output_file = "E:/test/aaa.txt"

# バッファー内のオブジェクトを数える関数
def count_objects_within_buffer(center, radius, objects):
    count = 0
    for obj in objects:
        dist = (obj.location - center).length
        if dist <= radius and obj != center:
            count += 1
    return count

# 出力ファイルを開く
with open(output_file, 'w') as file:
    # 選択されたオブジェクトのリスト
    selected_objects = bpy.context.selected_objects
    
    # Sphereのみを対象にする
    selected_spheres = [obj for obj in selected_objects if obj.type == 'MESH' and obj.data.name.startswith("Sphere")]

    # 各Sphereについて情報を出力
    for obj in selected_spheres:
        name = obj.name
        location = obj.location
        radius = 0.1
        
        # 球形バッファー内のオブジェクトを数える
        count = count_objects_within_buffer(obj.location, radius, selected_spheres)
        
        # 情報をファイルに書き込む
        file.write("{},{:.3f},{:.3f},{:.3f},{}\n".format(name, location.x, location.y, location.z, count))

print("Output written to", output_file)

2024年5月14日火曜日

技術メモ 遺物の3D密集度の直観的表現

 Technical note: Intuitive representation of 3D density of relics


I considered a method to intuitively express the density of relics distributed in 3D space. A buffer was set for the artifacts, the number of artifacts in the buffer was counted and classified, and this was expressed using color gradation and object size. High-density areas become embossed.


3D空間に分布している遺物の密集度を直観的に表現する方法について検討しました。遺物にバッファーを設定し、そのバッファー内の遺物数をカウントして分級し、それを色グラデーションとオブジェクト大きさで表現しました。高密度域が浮彫になります。

1 遺物密集度分級とその表現例

遺物密集度分級とその表現例


遺物密集度分級とその表現例(考え方)

左…素遺物3D分布モデル

中…表現例1

右…表現例2

立方体は2m×2m×2m

素遺物3D分布モデル及び表現例1の遺物は半径2.5㎝球で表示

表示例2の球は半径2.5㎝、3㎝、3.5㎝、4㎝、4.5㎝。

有吉北貝塚北斜面貝層Ⅱ-27グリッド遺物3D分布モデルの一部を利用して作成。


3Dモデル画像


3Dモデル画像 オルソ投影 正面から


3Dモデル画像 オルソ投影 上から


3Dモデル動画

2 感想

3D空間に分布している点群の密集度を表現する方法を検討しています。平面に点群が分布している場合、その密集度をヒートマップ(カーネル密度推定)で表現する方法があります。しかし、3D空間点群分布をヒートマップのように表現する方法をまだ見つけていません。そこで、初歩的ですが、ヒートマップ類似の結果がでるような例を自力で検討してみました。

表現例2では高密度分布域が浮き彫りになり、直観的に理解できます。


2024年5月12日日曜日

技術メモ Sketchfabへのアップロード能力比較 Blenderと3DF Zephyr

 Technical note: Comparison of upload capabilities to Sketchfab: Blender and 3DF Zephyr


I experienced the difference in the ability to upload to Sketchfab between Blender and 3DF Zephyr, so I took notes. 3DF Zephyr Lite has more upload capability than Blender.


Blenderと3DF Zephyrについて、Sketchfabへのアップロード能力の違いを体感しましたので、メモしました。Blenderより3DF Zephyr Liteの方がアップロード能力があります。

1 BlenderによるSketchfabへのアップロード結果


最初アップロード結果 Sketchfab画像


2回目以降アップロード結果 Sketchfab画像

BlenderによるSketchfabへのアップロードではテクスチャ(画像)が完全に貼り付きません。数回試したのですが、改善できませんでした。

2 3DF Zephyr LiteによるSketchfabへのアップロード結果


アップロード結果 Sketchfab画像

遺物3D分布図における遺物バッファー表現

問題なくアップロードできました。

3 メモ

3Dモデルのオブジェクト総数は約4700で、マテリアル数はマテリアルコピーを多用しているので全部で21です。

Blenderの方がSketchfabへのアップロード能力が優れているような印象をこれまでなんとなく抱いていたのですが、それは間違いで、3DF Zephyr Liteの方がアップロード能力が優れていることを確認しました。


2024年5月11日土曜日

遺物3D分布図における遺物バッファー表現

 Artifact buffer representation in artifact 3D distribution map


I set a buffer for the artifacts in the 3D artifact distribution map, and devised a way to intuitively understand the density of the 3D distribution of artifacts based on its size. I created a 3D model that represents the buffer as spheres with radii of 1cm, 5cm, and 10cm. It depends on the purpose and preference, but I felt that the 5cm radius buffer was easy to use.


遺物3D分布図の遺物にバッファーを設定して、その大きさにより遺物3D分布粗密を直観的に理解できるように工夫しました。バッファーを半径1㎝、5㎝、10㎝の球で表現する3Dモデルを作成しました。用途や好みで違ってきますが、半径5㎝バッファーの使い勝手が良いと感じました。

1 遺物3D分布図における遺物バッファー表現

遺物3D分布図における遺物バッファー表現

有吉北貝塚北斜面貝層Ⅱ-27グリッドの遺物バッファー表現

遺物バッファーを球で表現

左:遺物バッファーを半径1㎝球で表現

中:遺物バッファーを半径5㎝球で表現

右:遺物バッファーを半径10㎝球で表現

バッファー色の対応

白:a層出土遺物

赤:c層出土遺物

緑:d層出土遺物

青:e層出土遺物

黄:e2層出土遺物


3Dモデルの画像

3Dモデルの動画

2 メモ・感想


遺物バッファーを半径1㎝球で表現した場合の画像


遺物バッファーを半径5㎝球で表現した場合の画像


遺物バッファーを半径10㎝球で表現した場合の画像


3Dモデルの画像 オルソ投影(正面)


3Dモデルの画像 オルソ投影(上から)

用途や好みで違ってきますが、正確性は半径1㎝バッファーが良く、3D分布粗密イメージを直観的簡易的に表現するには半径5㎝バッファーの使い勝手が良いと感じました。半径3㎝バッファーをつくれば折衷的に最良になるかもしれません。


2024年5月9日木曜日

出土層位別の遺物3D分布 (事例)

 3D distribution of artifacts by excavated stratigraphy (example)


I created a 3D distribution document of artifacts by excavated stratigraphy using the II-27 grid (2m x 2m) of the shell layer on the north slope of Ariyoshi Kita Shell Mound as an example.

It is likely to be a material that shows that the density and type of artifacts differ depending on stratigraphy. Also, it seems possible to know the three-dimensional distribution of stratigraphic classification.


有吉北貝塚北斜面貝層のⅡ-27グリッド(2m×2m)を事例に出土層位別の遺物3D分布資料を作成しました。

層位によって遺物密度や遺物種類が異なることがわかる資料になりそうです。また、層位区分の立体的分布を知ることができそうです。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 Ⅱ-27グリッドの出土層位別遺物3D分布

有吉北貝塚北斜面貝層 Ⅱ-27グリッドの出土層位別遺物3D分布

白CUBE:A層(混貝土層 暗褐色)

赤CUBE:C層(混貝土層 暗黄褐色)

緑CUBE:D層

青CUBE:E層(混土貝層 黒褐色)

黄CUBE:E2層(混貝土層 暗赤褐色)

セクション図は千葉県教育委員会資料を調整して転載


3Dモデルの画像 1


3Dモデルの画像 2



3Dモデルの画像 3

3Dモデルの動画

2 メモ

この資料から、遺物は層位と明瞭に対応して分布していることが読み取れます。

遺物はA層、C層、E層、E2層から出土しています。上部からの崩落層(二次堆積層)に遺物が含まれていないことが確認できます。またF2層(混貝砂層)にも遺物は含まれていません。

この資料を分析すれば、層位によって遺物密度や遺物種類が異なることがわかることになりそうです。

これらのデータはこの付近の貝層発達史(貝層利用史)を考えるうえでとても重要であると考えます。貝層断面図と遺物平面分布図だけからでは決して判らい貴重なデータであると考えます。

同時に、層位別遺物分布情報は層位の3D分布図作成の重要な手がかりになると考えます。

3 参考 セクション図(3188)の記載

A層(混貝土層 暗褐色):Ⅱ-28・29のA層と同じ、最上位である。うすい堆積で急斜面に発達する。混貝率20%、キサゴ主体、小型ハマグリ少。

C層(混貝土層 暗黄褐色):混貝率30%、破砕率70%、ロームを主体とし、ロームブロック小塊多く混在、砂の混入もやや多。キサゴ主体、小型ハマグリ多、キサゴの完存率高い。この層は斜面の広範囲に堆積し、下方にいくに従い厚くなる。

D層(このセクション図には記載がない)

E層(混土貝層 黒褐色):混貝率90%、破砕率10%、キサゴ主体、小型ハマグリ、シオフキ、アサリ、シメタガイ微、腐植土の混入があり、黒味強い。部分的な堆積で部分的な層と考えられる。

E2層(混貝土層 暗赤褐色):混貝率30%、破砕率 %、キサゴ主体、小型ハマグリ、シオフキ、アサリ、ツメタガイ微、貝は部分的に混在するだけで、層状を呈していない。主としてチョコレート色の粘土を混入し、粘性に富む。ロームブロック少、Eとふくめてもよいかもしれないが、純貝層に近い部分のみE層として分層した。

F2層(混貝砂層 明褐色):砂を主体とする。チョコレート色粘土ブロック少、砂ブロック大塊20㎝前後を混在させる。混貝率5%、破砕率50%。貝は層状を呈さず、散発的に混在する。


2024年5月7日火曜日

押型文土器(飯田市石行遺跡)観察記録3Dモデル

 Initial-Jomon pottery decorated with dowel-impressed patterns (Iida City,Ishigyo site) observation record 3D model 


I created a 3D model of Initial-Jomon pottery decorated with dowel-impressed patterns (Iida City,Ishigyo site) exhibited at the Iida City Art Museum.

This pottery from the Initial Jomon period has a pointed bottom. When I looked closely, I noticed that there were two repair holes.


飯田市美術博物館に展示されている押型文土器(飯田市石行遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。

縄文時代早期の土器で底部が尖っています。よく見ると補修孔が2つ開いています。

1 押型文土器(飯田市石行遺跡)観察記録3Dモデル

押型文土器(飯田市石行遺跡)観察記録3Dモデル

縄文時代早期

撮影場所:飯田市美術博物館美術・自然・文化展示室

撮影月日:2024.03.17


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.517 processing 141 images


3Dモデルの画像(オルソ投影)


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 メモ

縄文時代早期土器の3Dモデル作成は過去に数回しかありません。今回の3Dモデルは貴重な体験です。

文様は木の棒を削って凹凸をつくり、その棒を転がして創出したものです。

展示会場では気が付かなかったのですが、3Dモデルを観察すると補修孔が2つ開いています。


補修孔


2024年5月6日月曜日

深鉢(埋甕)(伊那市御殿場遺跡)観察記録3Dモデル(2024年2月撮影版)

 Deep bowl (Buried jar) (Ina City,Gotenba site) Observation record 3D model (Photographed in February 2024)


I created a 3D model of a Deep bowl (Buried jar) (Ina City,Gotenba site) displayed at the Ina City Souzou-kan.

The pattern is characterized by a spiral pattern connected by three strings. I fantasized that swirls = souls. The 3D model has been significantly improved compared to the previous work (2019).


伊那市創造館に展示されている深鉢(埋甕)(伊那市御殿場遺跡)の3Dモデルを作成しました。

渦巻文が3本の紐で繋がる文様が特徴的です。渦巻=タマシイと妄想しました。3Dモデルは前作(2019年)より大幅に改良できました。

1 深鉢(埋甕)(伊那市御殿場遺跡)観察記録3Dモデル(2024年2月撮影版)

深鉢(埋甕)(伊那市御殿場遺跡)観察記録3Dモデル(2024年2月撮影版)

縄文中期後葉[唐草文Ⅱ期]

撮影場所:伊那市創造館常設展示室

撮影月日:2024.02.21


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.517 processing 201 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 感想

土器の文様は口縁部も胴部も趣の異なる2種渦巻文を3本の紐で繋いでいる構成になっています。

自分がお得意とする「アテズッポウ」解釈(妄想)をすれば、渦巻文はタマシイ(=人)であり、タマシイ(=人)の繋がり(世界)を表現する文様です。死者を納める棺の文様としては誠にふさわしい文様です。死者と生者のタマシイが繋がっている世界観を表現していると考えます。

4 技術的感想

この土器は2019年12月に最初の3Dモデルを作成しています。

唐草文Ⅱ期深鉢(埋甕)(伊那市御殿場遺跡2号住居) 観察記録3Dモデル

その時の3Dモデルと今回作成の3Dモデルを比較すると、今回作成3Dモデルは大幅に改良されています。撮影写真も約10倍(!)となっていることも少しは寄与しているでしょう。しかし、自分の撮影技術をほめることは実はできません。2019年展示ではショーケースの奥にこの土器が展示されています。今回(2024年2月)はショーケースの前にこの土器が展示されています。従って今回は土器の可視範囲が拡がっています。その可視範囲変化により、見かけ上前回より、今回3Dモデルは改良されました。



2024年5月5日日曜日

斜面貝層出土遺物の分類別3D分布

 3D distribution of artifacts by classification in the slope shell layer


I am conducting a preliminary examination of the 3D distribution of artifacts using the test grid of the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound. The artifacts are divided into two layers, upper and lower, and the proportion of pottery etc. is different between the upper and lower layers, and the uneven distribution of pottery etc. can be confirmed.


有吉北貝塚北斜面貝層のテストグリッドで遺物3D分布の予察検討をしています。遺物は上下2層に分かれ、上下で土器等の割合は違っていて、土器等の偏在分布が確認できます。

1 Ⅱ-27グリッドの遺物3D分布モデル(遺物分類別モデル)

Ⅱ-27グリッドの遺物3D分布モデル(遺物分類別モデル)

遺物座標は0.01m×0.01m×0.01mのCUBEで表示

白CUBE:骨等(骨、歯、鱗、エラ)

赤CUBE:土器、土錘、石器類(黒曜石、石、フレーク、磨石)、貝刃


Ⅱ-27グリッド分類別遺物数


3D分布モデルの画像


3D分布モデルの動画

2 検討

2-1 Y軸方向投影図と貝層断面図


Y軸方法投影図


斜めから見る


貝層断面図 第6断面

(斜め図の手前)


貝層断面図 第7断面

(斜め図の奥)

Y軸方向に遺物3Dモデル分布モデルを投影すると、遺物密集域が明瞭に2層に分かれていることがわかります。貝層断面図と突き合わせると、上下の遺物密集域の間には砂層・土層が堆積していていることが判ります。Ⅱ-27グリッド付近では貝層形成期間中に、台地側上部斜面が崩れて砂層堆積した時期があったようです。(遺物と貝層との関係は追って詳しく検討します。)

上方遺物密集域の遺物数は236、下方遺物密集域の遺物数は307となっています。

上方遺物密集域は急斜面に遺物が散開する分布となっています。下方遺物密集域は緩い傾斜で遺物が密集します。

2-2 遺物分類別分布


Y軸方向投影図(骨等)


Y軸方向投影図(土器、土錘、石器類、貝刃)

骨等の分布は上方(189)より下方(276)の方が多くなっています。一方、骨以外の遺物は上方(47)の方が下方(31)より多くなっています。骨以外の遺物の遺物合計に占める割合は上方が19.9%、下方が10.1%となり、倍半分の関係です。この理由をⅡ-27グリッドの情報だけから判断するのは無理です。しかし、あえて想像すれば、地形の相違により、下方の場合は遺物を投棄する時は谷底に投げ入れるような行動になり、上方の場合は遺物を投棄する時は急斜面に遺物を置く、あるいは転がすような行動になります。その行動の差異が心理的な差異をもたらしたのだと思います。谷底にモノを文字通り投げ入れる場合、食糧残滓はよいが、道具などの生活で使ったモノの投棄ははばかったのだと想像します。ポーンと投げ入れるという行動は「モノを送る」という思考・感情にはふさわしくないのだと思います。

2-2 遺物分類別分布 その2


Y軸方向投影図(土器)

土器分布は骨等の分布とくらべて「偏在」的に分布していると言えます。骨等食料残滓と土器破片という元道具では投棄原理が違っていたと想像します。単純な廃棄と「送り」の違いが行動の違いとしてあったので骨等の分布と土器分布は異なってくるのだと思います。


Y軸方向投影図(土錘)

土錘の分布は全て上方です。


Y軸方向投影図(石器類)

石器類の分布は上方も下方も下部に偏っているように感じられます。形状や重さが骨等や土器とことなるため、斜面で選択的により下部に移動したのでしょうか?


Y軸方向投影図(貝刃)

貝刃は3点出土しています。

3 感想

1グリッドの遺物3D分布モデルを作成しただけで、自分の興味が大いに刺激され、問題意識が豊かになります。遺物台帳、遺物分布図の電子化作業取り組みの労力は「ハンパナイ」ものですが、得られる対価(知的成果)も「ハンパナイ」ものと直観できます。

引き続き、電子化作業の合間に、遺物分布と貝層分布との関係、遺物分布と地山地形との関係などの予察検討を楽しむことにします。