2022年7月31日日曜日

Blenderで等高線から地形3Dモデルをつくる

 Create terrain 3D model from contour lines in Blender


Using Blender's Bsurfaces function, it is possible to create a terrain 3D model very easily from contour lines, so I made a note of it. It can be used not only for terrain, but also for 3D modeling of archaeological remains.


BlenderのBsurfaces機能を使って、等高線から地形3Dモデルをとても簡単につくることが出来ますのでメモしました。地形だけでなく、考古発掘遺構の3Dモデル化にも使えます。

1 等高線の事例

崖崩れのある斜面を仮想して、次の等高線例をつくりました。


等高線例

2 Blenderの作業

2-1 準備

・Blender標準搭載アドオンBsurfacesをチェックして使えるようにします。(設定→インターフェイス→新規データのチェックを外す必要があります。[改善されていないバグ])

・アドオン「Bezier Toolkit」をインストールすると、ペンツールが使えますから、等高線なぞりが超効率化します。

2-2 作業の概要

・Blenderを立上げ、立方体削除後に真上から見た画面にして等高線画像を背景としてドロップイン。

・ベジェ曲線で等高線をなぞります。ペンツールを使うと簡単です。なお、等高線始点の位置やなぞる方向を揃えないと結像に失敗することがあります。

・編集モードで1本1本の等高線を所定の高度に移動します。


等高線に高さを与えた様子

・オブジェクトモードで全等高線を統合します。

・サイドバー→編集→Bsurfaces→Initialize(Add BSurface mesh)をクリック→(下の)カーブクリックしてスポイトをつまんで等高線にチェック→Add Surface これで等高線の間に面が生まれるので、「クロス」、「追従」の数値を入力して好みの精細さに設定します。


精細な地形面が出来た様子

等高線のナゾリだけが時間を要しますが、ペンツールで点を打ってつないで、あとから湾曲の微調整ができますので、超効率的な作業が可能です。なお、等高線のナゾリはグリースペンシルやアノテーションでも可能です。

3 地形面の表現


地形面塗色例

3DF Zephyr Liteで塗色した例です。

3Dモデル


3Dモデルの動画

4 感想

3日間ほどBlenderのBsurfaces機能に熱中し、試行錯誤を繰返し、結局等高線で表現された地形等の3Dモデルを超短時間に作成できることを確認しました。QGISではGRASS機能を利用して複雑な等高線図や広域等高線図を3Dモデルにすることができますが、Blenderはそこまで対応できないので、地形学的専門的活動には不向きです。しかし、地形のパターンについて3Dモデルに表現する分には申し分のないツールとなります。地形だけでなく、考古学的遺構(竪穴住居、土坑、・・・)の3Dモデル化には十分使え、とても有用なツールになりそうです。


2022年7月28日木曜日

発掘調査各種実測図の3Dモデル化

 3D modeling of various actual measurements of archaeological excavation


I will make 3D models of various actual measurements published in the excavation report and use them as learning tools. I've created some rudimentary 3D models so far, but I want to be able to create better 3D models, so for the time being I'm familiar with Blender's features.


発掘調査報告書に掲載されている各種実測図を3Dモデル化して学習ツールとして活用することにします。これまで初歩的な3Dモデルを幾つか作成してきました。しかしこの度は、趣旨は同じ簡易3Dモデルでももう少しマシな3Dモデルをつくれるになりたいと思い、8月の自分の趣味活動メインテーマにしたいと思います。当座はBlenderの諸機能に精通して、それでできる範囲の簡易3Dモデルをつくってみることにします。

1 遺跡地形3Dモデル

1-1 既作成例


発掘前地形復元3Dモデル

QGIS(GRASS)機能で旧版都市図等高線から地形を3Dモデル化し、遺構配置図とオーバーレイしたモデル。


貝層基底面高度分布図3Dモデル

貝層断面図高度データで作成した等高線から作成した仮想地形3Dモデル

1-2 課題

BlenderのBsurfaces機能等を使い、紙等高線などから、より簡易的に地形3Dモデルを作成できるようにします。

2 貝層3Dモデル

2-1 既作成例


貝層断面図の3D配置モデル

多数貝層断面図を3D空間に正しく配置したモデル。

2-2 課題

断面図情報をつなぎ合わせて、簡易的推察的ではあるが、貝層が3D実体として表現されたモデル作成を目指すこととします。正確な3D座標を有していて、貝層と出土遺物の精細な空間相関分析を可能ならしめたいと思います。

3 竪穴住居、土坑、炉穴、陥穴、炉等の3Dモデル

3-1 既作成例


炉の3Dモデル

炉の断面図、平面図を3D空間に配置し、土器を置いたモデル。

3-2 課題

Blenderの平面プロポーショナル編集で次のようなモデルを、実測図をなぞるような作業でかなり正確につくることができます。簡易的なモデルならばこの機能をメインにしてある程度使えそうなものが出来そうです。


Blenderの平面プロポーショナル編集例


炉の3Dモデルにプロポーショナル編集を加えた例

4 土器、石器等出土遺物

4-1 既作成例


回転体に実測図を貼り付けた3Dモデル


回転体

4-2 課題

BlenderのBsurfaces機能で単純(正円)回転体ではない「いびつ」な(自由な)回転体様立体をつくることができます。また把手などは別につくり、付加することも可能です。実測図だけの情報から簡易的ではあるが、訴求力もある遺物3Dモデル作成を目指すことにします。


2022年7月26日火曜日

山梨県立考古博物館企画展「心を描く縄文人」学習のまとめ

 Yamanashi Prefectural Archaeological Museum Exhibition "Jomon people who draw the heart" Summary of learning


In my hobby activities in June and July 2022, I was enthusiastic about learning related to the Yamanashi Prefectural Archaeological Museum exhibition "Jomon people who draw my heart", and my knowledge and skills have greatly increased. First of all, I would like to thank the Yamanashi Prefectural Archaeological Museum for providing me with a wonderful learning opportunity. In this article, I will summarize the background of this learning and the main impressions for reference at a later date.

2022年6月7月の趣味活動では山梨県立考古博物館企画展「心を描く縄文人」関連学習に熱中し、知識や技術も大いに増えました。まずは素晴らしい学習機会を提供していただいた山梨県立考古博物館に感謝する次第です。この記事ではこの学習の経緯と主な感想をまとめて、後日の参考にすることにします。

1 学習経緯

1-1 考古学講座「土器や土偶に描かれた「顔」」受講

2022年5月21日にwebで開催された山梨県立考古博物館令和4年度考古学講座第1回「土器や土偶に描かれた「顔」」(講師:山梨県埋蔵文化財センター佐賀桃子先生)を受講しました。この講座受講が今回人面土器学習の最大のきっかけにになります。企画展の内容について詳しい説明があり、興味が深まり、ぜひとも観覧したいという気持ちになりました。

2022.05.22記事「考古学講座「土器や土偶に描かれた「顔」」受講

なお、6月7月に次の考古学講座もweb受講し、学習上、大いなる刺激を受けました。山梨県立考古博物館に感謝します。

・「煮炊きに使われない縄文土器」(講師:山梨県埋蔵文化財センター岩永祐貴先生)

・「環境変動と八ヶ岳山麓の縄文社会」(講師:北杜市教育委員会生山優実先生)

・「百年の論争 縄文農耕論の今」(講師:南アルプス市ふるさと文化伝承館館長中山誠二先生)

1-2 企画展「心を描く縄文人」観覧

2022年6月1日に企画展「心を描く縄文人」観覧を観覧しました。観覧時間は5時間以上に及び、10の展示コーナーについて3Dモデル用撮影を行い、押したシャッター数は2282回になりました。

2022.06.02記事「人面・土偶装飾付土器の企画展観覧

1-3 展示人面土器の3Dモデル作成と学習

6月は展示土器の3Dモデル作成を行い、展示説明やパンフレットを使って学習を深めました。作成した3Dモデルは6~7月全部で23土器(コーナー)(色塗り重複を除く)です。

2022.06.03記事「出産文土器複製(北杜市津金御所前遺跡) 観察記録3Dモデル」など多数

1-4 「研究紀要」35・36(2019、2020 山梨県立考古博物館・山梨県埋蔵文化財センター)の入手

6月末に展示に大いに関係のある次の論文を閲覧しコピーを入手しました。

・今福利恵 2019 「勝坂式土器における動物文様と人体表現」「研究紀要」35 山梨県立考古博物館・山梨県埋蔵文化財センター

・今福利恵 2020 「勝坂式土器における抽象文」「研究紀要」36 山梨県立考古博物館・山梨県埋蔵文化財センター

この論文入手と内容咀嚼により、企画展学習が一段と深まりました。6月一杯でまとめようと考えていた学習を7月一杯まで伸ばし、学習を深めました。

この2論文を読んだことにより、抽象文土器の本質や出産文土器人面の意義(動物の擬人化)などを知り納得しました。また動物文の変遷やデザインについて整理された情報を得ることが出来たことも特筆すべきことでした。この論文により自分の学習は大いに加速しました。

なお、この論文閲覧・コピーは山梨県立図書館と千葉市図書館の協力で実現しました。2館に感謝します。

2022.07.03記事「抽象文土器の文様について

1-5 図録「縄文の女神-人面装飾付土器の世界」入手

企画展展示土器と説明文言の不整合について、どうしても理解できないので、ご担当学芸員の方に電話させていただいたことがあります。その時、山梨県立考古博物館2004特別展図録「縄文の女神-人面装飾付土器の世界」の存在を知りました。早速web古書店から入手しました。代表的な人面装飾付土器多数が前後が判る大判写真で掲載されています。土器細部の確認の大いに役立つ資料として活用しています。

1-6 Sketchfabに抽象文土器と人面土器collection作成

Sketchfabにこれまで作成してきた3Dモデルストックの中から抽象文土器と人面土器についてそれぞれcollectionを作成しました。自分の3Dモデルを使った学習をより効率化するためのツールとなります。

2022.07.17記事「人面土器collectionの作成

1-7 3Dモデル塗色技術獲得と動物文の塗色

フォトグラメトリで作成した3DモデルをUV展開してそれに適合するテクスチャ画像を再生成して、その画像をPhotoshopで編集することにより3Dモデルに塗色する技術を獲得しました。

2022.07.19記事「メモ 縄文土器3Dモデルの塗色方法

3Dモデル塗色技術を活用して多数土器の動物文を塗色して学習を進展させました。人面装飾付深鉢形土器(甲府市後呂遺跡)では実測図を入手して2つの人面がカエル擬人化であると考えることができ、学習が深まりました。

2022.07.24記事「人面装飾付深鉢形土器(甲府市後呂遺跡)動物文解釈訂正」など多数


人面解釈例


テクスチャ画像塗色例


人体文塗色例


動物文解釈例

2 主な感想

2-1 3Dモデル学習の効果を実感する

企画展に展示されている主な縄文土器の3Dモデルを作成し、その3Dモデルを活用して学習するという自分の学習スタイルが効果的であることを実感できました。次の点で効果的である(学習満足感を得られる)と感じました。

ア 撮影とパソコン作業(フォトグラメトリ作業)プロセスの中で土器観察が深まる

撮影をしている時、「どの部分が見えて、部分が見えないか」とか「その模様は正確に3Dモデルとして結像するかしないか」など意識します。またパソコン作業で「3Dモデルでボヤと見えるのは結像が不正確だからなのか、それともそれが現実だからか」など意識します。このような作業プロセスのなかでその土器の細部まで観察を深めることになります。

イ 新たな問題意識が生まれた時、展示会場における土器観察を疑似的に再現できる

新たな問題意識や疑問が生まれた時、例えば「あの部分の文様をAと考えていたが、本当はBではないか」などと考えた時、3Dモデルならそれを動かしながら確認することができます。一方、数枚の写真では「どちらとも判断できてしまう。写真ではなく、現物をもう一度確認する必要がある」となることがいつものことです。

ウ ストックの活用

類似土器3Dモデルをcollectionで随時観察できるので、学習がはかどります。

2-2 動物文や人面土器の認識を深めることができた

今福利恵(2019)論文で動物文のパターンを知り、それを多数土器3Dモデルで確かめることができたのは自分にとって大収穫となりました。また、同論文でいわゆる出産文土器というものが出産とは無関係であり、動物擬人化の表現方法であることを知ったこともさらなる大収穫です。また、この学習の中で、なぜヘビやカエル(後にイノシシが加わる)がメインの動物なのか、新たな疑問が生まれました。とても大事な疑問であると直観します。

2-3 3Dモデル技術拡張が図られた

これまでの3Dモデル作成技術、GigaMesh Software Frameworkによる展開技術に加え、7月にBlenderUV展開と3DF Zephyr Liteによるテクスチャ画像再生成技術を獲得できました。双眼把手など複雑立体形状をもった縄文土器も画像再生成出来るようになったことにより3Dモデル塗色がより高度に出来るようになりました。3Dモデルに塗色することにより、文様意義検討が促進できます。


2022年7月24日日曜日

考古学講座「百年の論争 縄文農耕論の今」受講

 Participation in the archeology course "Hundred Years of Controversy: Now of Jomon Farming Theory"


On July 23, 2022, I attended the 4th "Hundred Years of Controversy: Now of Jomon Agricultural Theory" (Lecturer: Mr. Seiji Nakayama, Director of Minami-Alps City Furusato Cultural Tradition Center) did. I was able to hear the latest results of Jomon pottery indentation analysis by the replica method, and deepened my awareness of the significance of Jomon soybeans.


2022年7月23日に山梨県立考古博物館令和4年度考古学講座第4回「百年の論争 縄文農耕論の今」(講師:南アルプス市ふるさと文化伝承館館長中山誠二先生)をオンラインで受講しました。レプリカ法による縄文土器圧痕分析の最新成果を聞くことができ、縄文ダイズの意義について問題意識を深めることができました。

1 講座の概要

次の項目だてで、判りやすいパワポを使って詳しく興味深い話が展開しました。

1 縄文時代の生業と縄文農耕論

2 利用植物の検証:21世紀の新展開

3 縄文時代のマメ科植物の利用

4 縄文時代のマメは栽培植物か?

5 マメ科植物の生育環境

なお、事前に3ページ資料の配布(ダウンロード)がありました。

2 特に興味を持った事柄

2-1 栽培化によるダイズ形状拡大のスピードは中国・朝鮮より日本が速い

栽培化によるダイズ形状拡大のスピードは本家筋の大陸(中国・朝鮮)より日本の方が速い(より早期にダイズが大きなった)そうです。その情報から、ダイズ栽培起源地説の一つに日本列島説が浮上しています。ワクワクするような情報です。


ダイズの栽培起源地説

2-2 ツルマメ群落の採集イメージ

ツルマメ群落の採集イメージは次のような絵で示され、必ずしも農耕空間=定型的な畑は必要ないという趣旨の話が有りました。


ツルマメ群落の採集イメージ

中山誠二著「マメと縄文人」(同成社)から引用


二次植生帯の環境モデルと植物の栽培管理

中山誠二著「マメと縄文人」(同成社)から引用

3 感想

ツルマメ群落採集イメージの話を聞いて、栽培管理に関する興味が深まりました。畑遺構は無い可能性が大であるけれどもツルマメ群落が継続して利用されてきたということです。栽培が社会に与えた影響がどのようなものであったのか、学習を深めたいと思います。


人面装飾付深鉢形土器(甲府市後呂遺跡)動物文解釈訂正

 Deep pot-shaped pottery with face decoration (Ushiro site,Kofu City) Animal pattern interpretation correction


In the 2022.07.21 article, I interpreted that the two human faces of the deep pot-shaped pottery with human face decoration (Ushiro site,Kofu City) correspond to the anthropomorphization of snakes and frogs. However, when I got the actual measurement map and learned more information, I noticed this misinterpretation. Both human faces seem to be anthropomorphic frogs.It has nothing to do with childbirth.


2022.07.21記事で、人面装飾付深鉢形土器(甲府市後呂遺跡)のつり目人面がヘビの、垂れ目人面がカエルの擬人化に対応すると解釈しました。しかし、実測図を入手して詳しい情報を知り、この解釈の間違いに気が付きました。双方人面ともカエル擬人化のようです。出産とは無関係です。

1 つり目人面上部の把手渦巻文は創作

発掘調査報告書(※)を全国遺跡報告総覧からダウンロードして、次の実測図を入手しました。


人面装飾付深鉢形土器(甲府市後呂遺跡)実測図

※「供養寺遺跡後呂遺跡-東八代広域斎場建設事業に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書-、2000、東八代広域行政事務組合中道町・中道町教育委員会」

この実測図から遺物として出土した部分と土器復元過程で付加された部分が判ります。

出土部と付加部を3Dモデルで分けると次のようになります。

人面装飾付深鉢形土器(甲府市後呂遺跡)観察記録3Dモデル(動物文塗色、付加部白色)


3Dモデルの動画

つり目人面上部の復元付加された把手は次の点で間違っています。

1 復元されるべき大きさよりも大きく復元されている。

把手裏側には円環文が確認できます。この円環文の高さが復元されるべき把手の高さであることは、隣の渦巻文のある把手から想定できます。復元は把手の大きさ(高さ)を間違って行われています。

2 根拠のない渦巻文

把手の内側に円環文があるにもかかわらず、復元頂部外側に渦巻文を描いています。渦巻ではなく円環文を描くべきです。その位置は把手内側円環文に合わせるべきであり、そこが把手頂部になるべきです。


復元された把手が間違っている可能性

2 2022.07.21記事における間違い

2022.07.21記事「人面装飾付深鉢形土器(甲府市後呂遺跡) 観察記録3Dモデル(動物文塗色)」では、つり目人面がヘビの擬人化であると想定しました。その主要な根拠はその上部把手に渦巻文(ヘビ文)があるからでした。しかし、この渦巻文は完全なる創作であることが判明しました。これにより、つり目人面がヘビの擬人化であるという根拠はなくなりました。

3 2つの人面の解釈

実測図をみると、2つの人面の対向位置の場所には渦巻文(ヘビ文)が描かれていることを利しました。

同時に、つり目人面の上の把手に内側に円環文が記録されています。円環文はカエル文(カエル胴部)です。

これらの情報を整理すると次のようになります。


動物文と人面の位置関係


動物文と人面の位置関係 GigaMesh Software Framework展開図

位置関係の規則性から、2つの人面はカエル文の擬人化であると捉えることが合理的であると考えます。

つまり、この土器にはヘビ2体と擬人化したカエル2体が描かれていると考えます。

なお、人面に対向する場所の渦巻文(ヘビ文)の渦が逆になっていて、人面のつり目(怒り)、垂れ目(笑い)と対応するような関係が見られます。

この土器では、個性の違うヘビ2体と同じく個性の違うカエル2体が登場する物語が語られたのだと考えます。

この土器は出産とは無関係であると考えます。

4 感想

この土器の把手復元は大きさと文様の2点でミスを犯していると考えます。3Dモデルを使った人面解釈という活動をしなければ、このミスは発見出来なかったと思います。3Dモデルを使った土器観察が、観察行為を深めていることを確認できたことは素晴らしいことです。今後の活動では土器復元付加部がどれほど適切であるのか、注意していくことにします。


2022年7月22日金曜日

人体文付深鉢形土器(笛吹市一の沢遺跡) 観察記録3Dモデル(人体文塗色)

 Deep bowl-shaped pottery with human body pattern (Ichinosawa Site, Fuefuki City) Observation record 3D model(human body pattern coloring)


I enjoyed painting the human body pattern of the deep pot-shaped pottery with human body pattern (Ichinosawa Site , Fuefuki City). The pyramid head (female) is painted red, and the round head (male) is painted green. Imagine that it is a scene where two men and one woman dance and worship a dancing female shaman together.


人体文付深鉢形土器(笛吹市一の沢遺跡)の人体文に色塗りして遊びました。三角頭(女性)は赤、丸頭(男性)は緑で塗りました。踊る女性シャーマンを男2女1が一緒に踊って崇めている場面であると空想。

1 人体文付深鉢形土器(笛吹市一の沢遺跡) 観察記録3Dモデル(人体文塗色)

人体文付深鉢形土器(笛吹市一の沢遺跡) 観察記録3Dモデル(人体文塗色)

縄文時代中期中葉

撮影場所:山梨県立考古博物館令和4年度春季企画展「心を描く縄文人 -人面・土偶装飾付土器の世界-」 

撮影月日:2022.06.01


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.505 processing 373 images

Deep bowl-shaped pottery with human body pattern (Ichinosawa Site, Fuefuki City) Observation record 3D model(human body pattern coloring)

Mid-Middle Jomon period

Location: Yamanashi Prefectural Archaeological Museum Reiwa 4th Spring Exhibition “Jomon people who draw their hearts-The world of pottery with human face and clay figurines-“

Shooting date: 2022.06.01

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.505 processing 373 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 技術メモ

3DモデルをUV展開し、それに適合したテクスチャ画像を再生成し、そのテクスチャ画像にPhotoshopで塗色しました。Blenderによる塗色ではくっきりした界線を描くことができませんが、Photoshopなら可能です。


2022年7月21日木曜日

人面装飾付深鉢形土器(甲府市後呂遺跡) 観察記録3Dモデル(動物文塗色)

 Human face decoration pottery (Ushiro Site,Kofu City) Observation record 3D model (Animal pattern coloring)


I observed the frog's hands, hind legs, torso, and snake pattern. The human face of the hanging eye may correspond to the anthropomorphic snake, and the human face of the drooping eye may correspond to the anthropomorphic frog. I think it has nothing to do with childbirth.


カエルの手、後足、胴、ヘビ文が観察できます。つり目の人面はヘビの擬人化に、垂れ目の人面はカエルの擬人化に対応するのかもしれません。出産とは無関係と考えます。

1 人面装飾付深鉢形土器(甲府市後呂遺跡) 観察記録3Dモデル(動物文塗色)

人面装飾付深鉢形土器(甲府市後呂遺跡) 観察記録3Dモデル(動物文塗色)

縄文時代中期中葉

展示説明:「通常は正対する位置の把手に人面装飾がなされますが、この例は並びあっています。これらは、片方が吊りあがった目をしており「怒り」、片方は垂れ目で「笑い」などと、表情が異なる点が注目されています。出産の苦しみと子を抱く喜びを込めたのかもしれないとされ、普段は甲府市北口の藤村記念館に展示され、日本遺産「星降る中部高地の縄文世界」における御朱印のモチーフとなっています。」

撮影月日:2022.06.01


展示の様子

「怒り」とされるつり上がった目

「笑い」とされる垂れ目

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.507 processing 208 images

Human face decoration pottery (Ushiro Site,Kofu City) Observation record 3D model (Animal pattern coloring)

Mid-Middle Jomon period

Location: Yamanashi Prefectural Archaeological Museum Reiwa 4th Spring Exhibition “Jomon people who draw their hearts-The world of pottery with human face and clay figurines-“

Shooting date: 2022.06.01

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.507 processing 208 image


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開と文様解釈


GigaMesh Software Frameworkによる展開と文様解釈

3 メモ

・カエルの手、後足、胴、ヘビ文が観察できます。

・2つの人面はカエルあるいはヘビの胴部に位置すると考えることができ、カエルあるいはヘビの擬人化が図られていると想定できます。

・人面は出産とは無関係であると考えます。

・2つの人面が2つの別表情を表現しているように、確かに感じることができます。

・つり目の人面はヘビの擬人化に、垂れ目の人面はカエルの擬人化に対応するのかもしれません。

4 メモ追記(2022.07.22)

・『もし、つり目がヘビの擬人化、垂れ目がカエルの擬人化とするならば、縄文人女性(土器の作り手)の次の意識が物的に証明されたことになり、面白いと思います。「ヘビは怖い、恐ろしい、カエルは可愛いい。」』と考え、鬼の首を取ったように楽しくなりました。しかし、この考えはどうも間違いのようです。というのはこの土器の発掘調査報告書実測図をみるとつり目人面の上の把手の最上位のヘビ文がなんと「創作」だからです。専門家に一杯食わされました。このような「創作」が考古学世界にまかり通っているとは知りませんでした。二つの人面はカエル文の擬人化のように判断できるようです。展示では見えない同じ部分には渦巻(ヘビ文)があります。この土器にはヘビ2体と擬人化されたカエル2体が描かれているようです。詳しくは別記事で検討します。

・人の出産では産道から顔が出てくることは無く、必ず頭から出てきます。そういう縄文人が必ず注意深く観察した出産情景という点からも、人面は出産とは無関係で、動物の擬人化という仮説支持が合理的です。

・3Dモデルに色塗りする中で、この3Dモデルの質が大変低いことを再確認させられました。この3Dモデルはもともとこの土器専用に撮影した写真から作ったものではなく、隣土器の撮影写真を使って副産物的に作成した3Dモデルです。この3Dモデルを時間をかけて調整して質を向上させることはある程度可能とは思います。しかしそれも限界があります。この土器から自分にとって有用な情報を汲み取るという本来目的を達成するための時間配分を考えると、3Dモデル質低さを少しだけ向上させるために多大な時間を消費するよりは、土器の意味・意義を考えるために貴重な時間を消費すべきことであると判断しました。




2022年7月19日火曜日

メモ 縄文土器3Dモデルの塗色方法

 Memo: How to paint the Jomon pottery 3D model


When considering the meaning of the Jomon pottery pattern, it is tempting to color the pattern components to classify and identify them for observation. In order to meet my learning needs, I organized and wrote down how to paint the Jomon pottery 3D model. I tried using Blender and Photoshop.


縄文土器文様の意味について検討する際、文様構成要素に色を塗って分類識別して観察したくなります。そうした学習上の自分のニーズを満たすために、縄文土器3Dモデルに塗色する方法を整理してメモしました。あくまでも3D技術入門者としてのメモであり、より高等技術を習得すればより効率的で正確な作業方法があると予感します。

0 はじめに

フォトグラメトリソフト3DF Zephyr Liteで3Dモデルを作成し、Wabefront(.obj)データをエクスポートした状況を前提とします。

縄文土器3Dモデルに関して次の3つのファイルが整備された状況です。

mtlファイル

objファイル

pngファイル(テクスチャ画像をpngファイルとした場合)

使用するソフトは3DF Zephyr Lite、Blender、Photoshop(あるいはillustratorなど)です。

以下技術難易度順に4つの方法に分けてメモします。

1 Blenderによる塗色 その1 レイヤー無し

2 Blenderによる塗色 その2 レイヤー有り

3 Photoshop等によるUV展開再生成テクスチャ画像の塗色

4 3と2の合成

1 Blenderによる塗色 その1 レイヤー無し

準備

・pngファイルのコピーを保存しておく。(塗色結果がpngファイルに上書きされるため、コピーを残しておかないと塗色前3Dモデルの復元が出来なくなる。)

手順

1-1 3DモデルをBlenderにインポートします。

1-2 ワークスペースでテクスチャペイントを選択し塗色します。

・色を設定する。

・ブレントモードを設定する(乗算を利用すると元のテクスチャと色の双方を表示できる)。

・ブラシの半径、強さを設定する。

・塗りを失敗した場合、その場でctrl+zで戻る。

感想

・後から消去・修正できないので不便。

・マウスを持つ手が震えると線も震えるのでとても原始的描画方法。精細な作業は困難。

・線分や鋭角のない大柄図形だけの塗色なら簡易的方法として有用です。


Blender テクスチャペイントでの塗色の様子

1-3 画像保存

画像→画像保存する。テクスチャ画像に塗色結果が上書きされます。

塗色結果が上書きされたテクスチャ画像ができたので作業は完了したことになります。Blenderは特段に保存する必要はなく、終了します。

Blenderによる塗色(レイヤ無し)による作業結果例

出産文土器(北杜市海道前C遺跡) 観察記録3Dモデル(動物文塗色)

2 Blenderによる塗色 その2 レイヤー有り

準備

・pngファイル(テクスチャ画像ファイル)の大きさをPhotoshop等で調べておきます。(pixel単位)

手順

2-1 3DモデルをBlenderにインポートします。

2-2 次のノードネットワークを作成します。


最初に作成するノードネットワーク

2-3 画像テクスチャを追加しペイント書き込み用設定をします。

新規→名前記入、幅と高さの数値を記入(テクスチャ画像ファイルと同じ数値)、カラーで適当な色を選んでからAを0にする→OK

2-4 追加した画像テクスチャをマッピングとミックスにつなげます。


完成したノードネットワーク

2-3 ワークスペースのテクスチャペイントでペイントを行います。

・色のミックスモードは「ミックス」でのみペイント可能です。

・色のミックスモードを「アルファを消去」にするとペイント部分を消去できます。


作業風景

2-4 画像保存

画像→画像保存でペイントした画像を保存します。Blenderファイルも保存します。(後に修正追加がしやすい。)

2-5 画像調整

元3Dモデルのテクスチャ画像ファイルとペイントした画像ファイルをPhotoshopに取り込み、乗算で重ねるなどして調整画像をつくり、3Dモデルの画像ファイルとします。

感想

・正確で精緻な作業が出来ない点で2と同じですが、随時使える消去手段があるのと、塗色が別レイヤになるので少しだけ使いやすくなります。

・乗算で作業できないので、場合によっては2より使い勝手が悪くなる場合もあります。

この方法を試行する上で参考としたページ

Blenderの標準機能だけでテクスチャをレイヤーの様に重ねてペイントで消したり描いたり調整をしやすくする方法

3 Photoshop等によるUV展開再生成テクスチャ画像の塗色

第1ステップ

3DF Zephyr Liteで作成した3Dモデル(Wabefront(.obj)ファイル)をBlenderにインポートします。

Blenderで土器形状に応じて必要なシームを入れてUV展開します。(双眼突起がある場合や把手形状が複雑な場合は、シームの入れ方に工夫が必要となります。)

BlenderからWabefront(.obj)をエクスポートします。(Blenderの保存は特段必要ありません。)

そのWabefront(.obj)ファイルを3DF Zephyr Liteに「UVマップ付メッシュを入力」で入力します。

3DF Zephyr LiteからWabefront(.obj)をエクスポートします。そのWabefront(.obj)ファイルのテクスチャ画像ファイルはUV展開に適合した再生成画像となります。


当初テクスチャ画像とUV展開適合再生成テクスチャ画像

詳しい説明記事 2022.05.26記事「3Dモデル直接描画方法

3DF Zephyrの関連チュートリアル

Unwrapping a texture generated by 3DF Zephyr

第2ステップ

第1ステップで作成した再生成テクスチャ画像をPhotoshop等で編集(塗色や線分記入など)し、pngファイルとして出力します。この画像が塗色したテクスチャ画像となります。


再生成テクスチャ画像編集例

同上例の3Dモデル

資料 顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡) 観察記録3Dモデル (胴部動物文ゾーニング検討)


同上例のGigaMesh Software Framework展開

感想

・2次元図面をPhotoshopで編集するのですから正確精緻で多様な表現が可能になります。作業も効率的にできます。文字を3Dモデル表面に書き込むことも可能です。

・3DF Zephyr Liteを使う自分の場合、縄文土器の塗色はこの方法をメインにすることにします。

・画像編集をPhotoshopではなく、illustratorで作業した際に、書き出しpngファイルの大きさが当初ファイルの大きさと微妙に異なり、一部ソフトでエラーとなりました。(ファイルの大きさを直したところエラーは無くなりました。)

illustrator作業ファイルでエラーの生まれたソフト

・MeshLab

・GigaMesh Software Framework

illustrator作業ファイルでエラーが生まれなかったソフト

・3DF Zephyr Lite

・Blender

・Sketchfab

4 3と2の合成

UV展開適合再生成画像ファイルでも、双眼突起や複雑形状把手部分では大きなゆがみが生まれます。その場合、許容できるゆがみ部分では3による作業を行い、許容できないほどの極端なゆがみ部分では2の作業を行い、その双方を合体することが考えられます。

5 感想

地図や空中写真から様々な情報を読み取ることができます。通常、それらの情報は地図や空中写真に描き込み、新たな色別分布図や加色画像にして情報を定着させます。

一方、縄文土器に関して、その文様を文字で詳しく記述することはあります。しかし観察して得た情報を3Dモデルや展開モデルに描き込んで判りやすく示したものはほとんど見かけません。専門家同士では必要としないのかもしれません。しかし、自分のように一般市民として縄文土器に興味を持つと、どうしても3Dモデルや展開モデルに観察情報を描き込んで学習過程として記録したくなります。そのような自分の学習ニーズに即して、3Dモデルに描き込みする方法に興味を持っています。最近その方法の入門的技術を獲得できましたので、メモした次第です。



2022年7月17日日曜日

顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)の胴部動物文ゾーニング

 Body animal pattern zoning of the deep bowl with a face handle (Tsukimimatsu site, Ina City)


I examined the body animal pattern zoning of the deep bowl with a face handle (Tsukimimatsu site, Ina City). The pattern can be zoned into the frog's head, torso, and hands. The frog body is also used decoratively.


顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)の胴部動物文ゾーニングを検討しました。文様はカエルの頭部、胴部、手にゾーン区分することができます。カエル胴部は装飾的にも使われています。

1 ゾーン区分のテクスチャ画像描き込み


ゾーン区分のテクスチャ画像書き込み風景

2 資料 顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡) 観察記録3Dモデル (胴部動物文ゾーニング検討)

資料 顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡) 観察記録3Dモデル (胴部動物文ゾーニング検討)

顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡) 観察記録3Dモデル (文様構成要素塗色) https://skfb.ly/ow7EX

元観察記録3Dモデル https://skfb.ly/ouWWu

3 土器胴部の動物文ゾーニング検討


顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡) 胴部動物文ゾーニング検討

4 メモ

4-1 文様について

カエルの手(二本指)が各所に存在し、またカエル胴部は円環文で表現されるので、胴部文様基本はカエル文であると考えました。ゾーンとしてみると、カエル頭部(双眼突起)2、カエル胴部(円環文半裁をふくむ)5つ、カエルの手2つで構成されます。カエル胴部のうち4つは円環文が半裁されていて、メインのカエル胴部とは直交する方向で配置されていて、装飾性が強いものとなっています。

カエルの手が多数存在します。このうち簡易的に描かれたものの中にはイノシシ刻印に似たものも見受けられますが、この土器にはイノシシは描かれてないと想定します。

4-2 テクスチャ画像への直接描き込み

3DモデルをUV展開して、それに適合したテクスチャ画像にゾーニング検討を描き込むことができました。Blenderなどで3Dモデルに直接ペイントする方法では線分をきれいに描くことはほぼ不可能です。


人面土器collectionの作成

 Creating a collection of pottery with human face decoration


I created a collection of pottery with human face decoration on Sketchfab's arakiminoru site. This is for future study. I think that this is the only 3D model collection of pottery with human face decoration, so it may be helpful for those who are interested.


Sketchfabのarakiminoruサイトに人面土器collectionを作成しました。今後の自分の学習に使うためです。人面土器を集めた3Dモデル集はここだけだと思いますので、興味のある方には何かの参考になるかもしれません。


人面土器collection

人面装飾付土器と人体文土器を集めました。全部で39モデルになります。そのうち2022年6月に山梨県立考古博物館企画展「心を描く縄文人」で撮影した3Dモデルは23モデルです。

なお、人面関連遺物collectionとして既に土偶collectionには57モデルを、土版collectionには7モデルを収録しています。


土偶collection


土版collection

私がこれまでに作成した3Dモデルは2022.07.17現在884モデルになります。


Sketchfabのarakiminoruサイト



2022年7月15日金曜日

顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)の文様構成要素分布図作成

 Creating a pattern component distribution map for the deep bowl with face handle (Tsukimimatsu Site, Ina City) 


I made a pattern component distribution map of the deep bowl with face handle (Tsukimimatsu Site, Ina City) and examined the pattern composition. The handle is an anthropomorphic frog pattern. One large frog pattern is drawn on the body, and four decorative frog patterns are drawn orthogonal to it. There are 33 frog hands.


顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)の文様構成要素分布図を作成し、文様構成を検討しました。把手は擬人化カエル文です。胴部には大きな1つのカエル文が描かれ、それに直交して装飾的カエル文が4つ描かれます。カエルの手は33あります。

1 顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡) 観察記録3Dモデル(文様構成要素塗色)

顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡) 観察記録3Dモデル(文様構成要素塗色)

縄文時代中期中葉 

撮影場所:伊那市創造館 

撮影月日:2021.11.08 


展示の様子 

ガラス面越し撮影 

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.507 processing 187 images 

Deep bowl with face handle (Tsukimimatsu Site, Ina City) Observation record 3D model (Coloring of pattern components)

Mid-Middle Jomon period

Location: Ina City Sozokan

Shooting date: 2021.11.08

Shooting through the glass surface

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.507 processing 187 images

元観察記録3Dモデルhttps://skfb.ly/ouWWu


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)文様構成要素分布図

3 メモ

3-1 カエルの手

2本指の「カエルの手」が多数描かれています。顔面把手にもカエルの手が3つ描かれていることから、この顔面はカエル文の擬人化表現であると考えます。

2つの双眼突起の間にはそれぞれ大きなカエルの手が描かれ(点線表示)、さらに重畳して多数のカエルの手が描かれています。中央のカエルの手には半球状の円文も描かれます。

3-2 円環文・円文と三叉文

顔面把手対向位置の双眼突起下には中央に半球状の盛り上がりのある円環文が描かれています。この円環文の下には三叉文が描かれます。円環文には必ずカエルの手が付随することと、類似顔面把手土器事例から、双眼突起はカエルの頭、円環文はカエルの胴と想定します。三叉文は円環文を寿ぐような意味を与える付加的デザインであると考えます。半裁円環文と三叉文のセットが2つの双眼突起の両側に描かれます。この描画は土器文様デザインを豊かにし、カエル文を強調するためのするためのデザイン的仕掛けであると考えます。

3-3 文様全体構成

顔面把手には擬人化カエル文、胴部には大きな1つのカエル文が描かれています。このカエル文に直交する形で装飾的カエル文が4つ描かれています。カエルの手は土器全体で33カウントできました。

なお、顔面把手の裏にはヘビ文と思われる渦巻がありますから、この土器もヘビとカエルの対峙土器といえるようです。


顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)文様構成の検討

2022年7月14日木曜日

人面装飾(顔面把手)付土器(北杜市竹宇1遺跡)の文様構成

 Pattern composition of pottery with human face decoration (face handle) (Takeu 1 site, Hokuto City)


I thought about the pattern composition of pottery with human face decoration (face handle) (Takeu 1 site, Hokuto City). I took the theme of confrontation between snake (personification) and frogs.


人面装飾(顔面把手)付土器(北杜市竹宇1遺跡)の文様構成について考えてみました。ヘビ文(擬人化)とカエル文の対峙がテーマであると捉えました。

1 人面装飾(顔面把手)付土器(北杜市竹宇1遺跡) 観察記録3Dモデル(動物文塗色)

人面装飾(顔面把手)付土器(北杜市竹宇1遺跡) 観察記録3Dモデル(動物文塗色)

縄文時代中期中葉

撮影場所:山梨県立考古博物館令和4年度春季企画展「心を描く縄文人 -人面・土偶装飾付土器の世界-」

撮影月日:2022.06.01


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.507 processing 236 images

Pottery with human face decoration (face handle)(Takeu 1 site,Hokuto City)  Observation record 3D model (Animal pattern coloring)

Mid-Middle Jomon period

Location: Yamanashi Prefectural Archaeological Museum Reiwa 4th Spring Exhibition “Jomon people who draw their hearts-The world of pottery with human face and clay figurines-“

Shooting date: 2022.06.01

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.507 processing 236 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 メモ

3-1 今福利恵(2019)の記述

今福利恵(2019)ではこの土器胴部に2つのカエル文が描かれていることを指摘しています。


人面装飾(顔面把手)付土器(北杜市竹宇1遺跡)の文様構成

3-2 文様構成想定


人面装飾(顔面把手)付土器(北杜市竹宇1遺跡)の文様構成想定

人面装飾(顔面把手)の裏側の中央の渦巻をヘビ文と見立て、その周辺の4つの円環文+三叉文造形をカエル文と見立てました。

人面装飾(顔面把手)の表はヘビ文の擬人化造形であると見立てました。

この土器はヘビとカエルが対峙している土器です。

3-3 人面装飾について

人面装飾は耳飾が付いていますから、人風に表現している意図は伝わります。しかし、吻が突き出していて、目が吊りあがるなど顔形は実際の人の風貌とは全く異なります。動物を人風に表現しているように感じます。今福利恵(2019)が指摘するようにこの装飾は動物を擬人化表現したものであるとの指摘を納得することができます。縄文人は「動物が人の世界に入り込み、活動して物語を紡ぐ」ときの動物の顔を想像して創作したと考えます。ヘビもカエルも「人に化ける」とすればこのような顔つきになると集団的に創作したのだと考えます。ヘビもカエルも神であり、縄文語を話すのですから、人風に表現する必要があったのだと思います。


2022年7月13日水曜日

出産文土器(北杜市海道前C遺跡)3Dモデルの動物文色塗り

 I painted the animal pattern of the birth pottery 3D model


Birth pottery (Kaidoumae C site,Hokuto City) Observation record 3D model I painted the animal pattern  as a play. I found a lot of frog patterns.


出産文土器(北杜市海道前C遺跡)観察記録3Dモデルの動物文に色塗りして遊びました。カエル文が沢山見つかりました。

1 出産文土器(北杜市海道前C遺跡) 観察記録3Dモデル(動物文塗色)

出産文土器(北杜市海道前C遺跡) 観察記録3Dモデル(動物文塗色)

縄文時代中期中葉

山梨県指定文化財

撮影場所:山梨県立考古博物館令和4年度春季企画展「心を描く縄文人 -人面・土偶装飾付土器の世界-」

撮影月日:2022.06.01


展示の様子

展示説明:「海道前C遺跡の出産文土器は、出土状況から棺として用いられたものと推察されています。共通する土坑から、男性器を象った石棒も出土しており、墓に葬られた被葬者に対する再生を意図して、性交と出産の隠喩が込められた儀礼が行われた可能性があります。」

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.507 processing 317 images

Birth pattern pottery (Kaidoumae C site,Hokuto City) Observation record 3D model  (Animal pattern coloring)

Mid-Middle Jomon period

Location: Yamanashi Prefectural Archaeological Museum Reiwa 4th Spring Exhibition “Jomon people who draw their hearts-The world of pottery with human face and clay figurines-“

Shooting date: 2022.06.01

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.507 processing 317 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


3DモデルのGigaMesh Software Frameworkによる展開


3DモデルのGigaMesh Software Frameworkによる展開 解説

顔面把手の表は擬人化したヘビ文、裏はカエル文3になります。カエル文にヘビの尻尾がついています。

胴部把手直下と対向位置に大きなカエル文1と2が配置されます。カエル文1には頭部、胴体、左右腕と手が、カエル文2には頭部、胴体、左右手と左足が表現されています。カエル文1、2ともにその内部に入れ子状にカエル文(胴部と手)が配置されています。

カエル文1、2とはかかわらないカエル文(胴部、手)が多数配置されています。

3 参考


出産文土器(北杜市海道前C遺跡)の基本文様構成