2024年3月31日日曜日

尖頭器(No.18 下呂石)(南箕輪村神子柴遺跡) 観察記録3Dモデル

 Point (No. 18 Yugamine rhyolite) (Minamiminowa village,Mikoshiba site) Observation record 3D model


In connection with my visit to the Mikoshiba site, I had fun creating a 3D model to record my observation of the point (No. 18 Yugamine rhyolite) excavated from the Mikoshiba site. This is my second time creating a 3D model for the same subject in two years. Perhaps because a high-performance camera was used, the model accuracy was slightly improved.


神子柴遺跡現場訪問にちなんで、神子柴遺跡出土尖頭器(No.18 下呂石)の観察記録3Dモデルを作成して楽しみました。同じ対象で2年ぶり2回目の3Dモデル作成となります。性能のよいカメラを使用したためか、モデル精度が少しだけ向上しました。

1 尖頭器(No.18 下呂石)(南箕輪村神子柴遺跡) 観察記録3Dモデル

尖頭器(No.18 下呂石)(南箕輪村神子柴遺跡) 観察記録3Dモデル

旧石器時代最終末から縄文時代最初頭

国指定重要文化財

撮影場所:伊那市創造館常設展示

撮影月日:2024.02.21


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.517 processing 98 images


3Dモデル画像


3Dモデル動画

2 メモ

昨日(2024.03.30)ブログ記事「神子柴遺跡現場訪問」を書きましたが、本日(2024.03.31)日経新聞朝刊に神子柴遺跡を含む記事が掲載されていました。世間的にはブログ記事と新聞記事は全く関係がありません。しかし、自分にとってこの2つの記事が連続したという出来事はシンクロニシティ現象であると強引に理解して、趣味活動の楽しさをより深く味わいました。


2024.03.31日経朝刊記事「美の粋 打痕に浮かぶ「美」のあけぼの」


駒ケ根市立博物館「館収蔵品展」観覧

 Viewing the Komagane City Museum “Collection Exhibition”


I went to see the “Collection Exhibition“ being held at the Komagane City Museum. Fifty pieces of rare and impressive Jomon pottery are on display. The venue is spacious and has a comfortable viewing environment. There was also Kasori E-style pottery, which was surprising.


駒ケ根市立博物館で開催中の「館収蔵品展」を観覧しました。珍しくそして見ごたえのある縄文土器50点などが展示されています。会場が広く観覧しやすい環境になっています。加曽利E式土器もあり、意外性に驚きました。

1 駒ケ根市立博物館「館収蔵品展」


駒ケ根市立博物館「館収蔵品展」ポスター

2024年3月20日から5月15日まで開催されています。


館収蔵品展会場の様子

2 特段に興味をもった展示物の例


土偶(日向坂遺跡、縄文時代中期)


埋め甕(的場・門前遺跡、縄文時代中期後葉) 加曽利E式土器


有孔つば付土器(辻沢南遺跡、縄文時代中期後葉 前半)


小型深鉢形土器(高見沢遺跡、縄文時代中期) 人面を模した土器


釣手深鉢土器(的場・門前遺跡、縄文時代中期中葉後葉 伊那谷第Ⅳ期)

3 メモ

土偶(日向坂遺跡、縄文時代中期)、埋め甕(的場・門前遺跡、縄文時代中期後葉)、小型深鉢形土器(高見沢遺跡、縄文時代中期)の3点は3Dモデル作成の撮影を行いました。会期中に再び訪れることができたら、時間の限り3Dモデル作成用撮影を行い、できるだけ多数土器の3Dモデルをつくれるようにしたいと思います。

展示土器全点の撮影を行いましたので、その写真を3D空間で整理することにします。


2024年3月30日土曜日

神子柴遺跡現場訪問

 Site visit to Mikoshiba


I visited the Mikoshiba site in Minamiminowa Village, Nagano Prefecture. The site are said to date from the end of the Paleolithic period to the beginning of the Jomon period. Many large points and stone axes have been unearthed. After experiencing the scenery at the site, I had many impressions.


長野県南箕輪村の神子柴遺跡現場を訪問しました。旧石器時代最終末から縄文時代最初頭にかけての遺跡と言われています。大型尖頭器や石斧が多数出土しています。現場の風景を体感して、多くの感想が生まれました。

1 神子柴遺跡現場の様子


神子柴遺跡全景


神子柴遺跡全景


説明看板と石碑


説明看板


説明看板に掲載されている遺跡詳細地図

神子柴遺跡の周辺に樹林があり、遺跡から南アルプスはあまり見えません。しかし、氷河期の植生を考えると旧石器時代最終末の風景は、現代とは全く異なっていたと考えられます。

遺跡現場には詳しい説明看板と石碑があります。説明看板には遺跡詳細地図が掲載されていて参考になります。

2 神子柴遺跡の位置


神子柴遺跡の位置


神子柴遺跡の位置


神子柴遺跡の位置

神子柴遺跡は天竜川右岸の高位にある最も広い段丘面から小半島状に突き出した狭い段丘面に立地しています。その狭い立地場所と遺跡の性格(多量の大型石器が出土した様子)は当然ながら関係していると考えられます。

遺跡は段丘面を開析する小河川沿いに位置していて、河川(水場)との関係が想起されます。

遺跡立地場所は天竜川右岸で最も段丘面が広く発達する場所に位置することから、段丘面における狩猟と関係していることが想定されます。

3 感想

神子柴遺跡現場訪問の感想をまとめると次のようになります。このような感想は、地図だけからでは生まれません。

【ランドマークと交易中継地】

・伊那谷のどこからでもその場所がわかるランドマークとなっている段丘崖先端部が神子柴付近に拡がります。そのランドマークとなっている地形から500~600m離れた場所(歩いて7~8分)に神子柴遺跡が立地します。

・神子柴遺跡がランドマークの近くにあることから、神子柴遺跡は諏訪方面と飯田方面を連絡する交通の中継拠点として、交易中継地として便利な場所であったと考えられます。

【風景】

・ランドマークとなっている段丘崖先端部および神子柴遺跡から伊那谷全体と中央アルプス、南アルプスの山岳景観がよく見えます。風景がとてもよいです。氷河期では植生はまばらであり、この場所からの風景を妨げるものの存在は考えられません。

・風景が特段よいという場の特性が遺跡性格と関係するかもしれないと考えます。

【狩猟好適地】

・神子柴遺跡付近は伊那谷のなかでも最も広い段丘面が発達する場所です。多くの動物群が回遊する場所です。

・段丘崖を利用した追い込み猟などを想定すると、神子柴遺跡は動物を仕留めた場所の近くに位置し、猟の拠点であった可能性が考えられます。

【小区画】

・遺跡が立地する区画は小谷で区切られていて、だだっ広い場所ではなく、限られた人数が集まり逗留・生活・活動するには好適です。遺跡立地場所は拠点構築にふさわしい場所です。

【水場】

・遺跡立地場所のすぐ下には清冽な谷水が流れます。動物解体などの作業がとてもしやすい場所です。逗留生活もしやすい場所です。

4 参考 神子柴遺跡出土石器


神子柴遺跡出土大型尖頭器(伊那市創造館展示)


神子柴遺跡出土大型尖頭器(伊那市創造館展示)


神子柴遺跡出土局部磨製石斧(伊那市創造館展示)



加曽利貝塚博物館企画展「あれもE・・・」展示状況写真の整理方法検討

 Considering how to organize the exhibition status photos taken at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition “That's also E...”


I have placed the exhibition status photos of Kasori Shell Mound Museum special exhibition “That's also E...” in 3D space. Looking at this 3D model, I can clearly understand the intentions of the exhibition organizers. This 3D model is a material that stimulates my learning of E-style pottery and motivates me to learn.


加曽利貝塚博物館企画展「あれもE・・・」展示状況写真を3D空間に配置してみました。この3Dモデルを眺めていると、展示主催者の意図がよく汲み取れます。この3Dモデルは自分のE式土器学習を刺激し、学習意欲を湧かせる資料です。

1 加曽利貝塚博物館 令和5年度企画展「あれもEこれもE 加曽利E式土器 外房地域編」展示状況写真の3D空間配置

加曽利貝塚博物館 令和5年度企画展「あれもEこれもE 加曽利E式土器 外房地域編」展示状況写真の3D空間配置

【展示状況写真】

入口付近

1 大木8a式・大木8b式コーナー

2 揺籃期・中峠類型コーナー

3 揺籃期その2コーナー

4 揺籃期その3コーナー

5 加曽利E式の斉一性コーナー

6 加曽利EⅠ式コーナー

7 加曽利E式後半コーナー

8 企画展説明コーナー

9 補足説明コーナー

撮影月日:2024.01.20

Blender v3.6.0で作成、3DF Zephyr v7.517でアップロード


3Dモデル画像


3Dモデル動画

動画の順番は自分が観覧した順番です。

2 感想

展示されている多数土器を個別に認識して学習する上で、自分はその土器が展示ショーケースのどこに置かれていたかという情報をインデックスにしています。そうした自分の学習スタイルに、この3Dモデルはとても合致しています。この3Dモデルを眺めれば眺めるほど、縄文土器学習の意欲が湧いてきます。

展示会場全体を対象としてフォトグラメトリーにより3Dモデルを作成することも試みたいと思います。しかし、展示状況写真を3D空間に並べるだけなら、簡易作業ででき、その効用は大きいものがあると感じます。

今回作成した3Dモデルを自分の「メモ」と位置付け、この「メモ」に3Dモデル作成土器をチェックするなどに使ってみることにします。


2024年3月27日水曜日

赤色立体地図による天竜川流域地形3Dモデル

 3D model of Tenryu River basin topography based on red 3D map


I created a 3D model of the Tenryu River basin topography using a red 3D map using the 3D model function of the Geographical Survey Institute map.


地理院地図の3Dモデル機能を利用して赤色立体地図による天竜川流域地形3Dモデルを作成しました。

1 赤色立体地図による天竜川流域地形3Dモデル

赤色立体地図による天竜川流域地形3Dモデル

地理院地図3Dモデル機能により作成

垂直倍率:×2.0

素3Dモデル作成時間:10分(Wabefront(.obj)ファイル作成までの時間)

3DF Zephyr v7.517でアップロード


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 感想

2024.03.26記事「天竜川流域地形模型(飯田市美術博物館展示)の3Dモデル作成を楽しむ」の「4地形模型というものに関する感想」で述べた地理院地図サイトを利用して作成した地形3Dモデルをこの記事で紹介しました。

この地形3Dモデルが10分でできるのですから、時代スピードが速く、自分にとってはとても驚きになります。反対側から考えると、現物の巨大地形模型がとても贅沢なモノであり、実存することに高価値がある品になります。


2024年3月26日火曜日

天竜川流域地形模型(飯田市美術博物館展示)の3Dモデル作成を楽しむ

 Enjoy creating a 3D model of the Tenryu River Basin Topographic Model (Iida City Art Museum Exhibition)


A huge topographical model of the Tenryu River basin is on display at the Iida City Art Museum. I enjoyed creating a 3D model of this terrain model using photogrammetry. I found a lot of interesting landforms, such as the valley watershed of the Median Tectonic Line and the meteorite impact crater. Issues with SfM-MVS technology were also identified.


飯田市美術博物館に巨大な天竜川流域地形模型が展示されています。この地形模型の3Dモデル作成をフォトグラメトリーにより楽しみました。中央構造線の谷の谷中分水界とか、隕石衝突クレーターとか面白い地形が沢山見つかりました。SfM-MVS技術の課題も判明。

1 天竜川流域地形模型(飯田市美術博物館展示)3Dモデル

天竜川流域地形模型(飯田市美術博物館展示)3Dモデル


展示の様子

3DF Zephyr で生成 v7.517 processing 802 images


3Dモデル画像


3Dモデル画像(調整前)


3Dモデル動画

2 地形に関する感想

天竜川流域地形模型をじっくり見る中で例えば次のような興味が深まりました。

ア 中央構造線の谷に幾つかある谷中分水界

中央構造線の谷(飯田市付近では遠山谷)に谷中分水界が幾つかあり興味を引きます。アメリカ西部乾燥地形とかアラスカにおける谷中分水界の様子を楽しんだことがありますが、アメリカまで行かなくても、天竜川流域に面白い谷中分水界があり、いつか初心追究的学習を楽しむことにします。

イ 御池山隕石クレーター

御池山隕石クレーターの表示が地形模型にあります。別の展示コーナーで御池山隕石クレーターの詳しい説明があります。いつか現場を観察してみることにします。オーストラリアの隕石クレーターに興味を持ち、記事を書いたことがあります。オーストラリアまで意識を広げる前に、この天竜川流域の隕石クレーターを学習すべきだったです。


御池山隕石クレーターの説明パネル

3 フォトグラメトリー技術に関する感想


3Dモデル画像(カメラ配置)

撮影枚数は802枚と多くなりましたが、3Dモデルは自分の期待するものにはなりませんでした。文字説明プレートが結像しないで「萎れて」しまったところがかなりあります。カメラから遠い模型中央部付近のプレートが結像していません。模型の中に入り込んだり、空中から撮影できないので、模型中央部付近はズームで拡大して撮影して、改善が図られるか、いつか検討することにします。

4 地形模型というものに関する感想

学芸員の方の説明によると、この地形模型は30年前につくられたもので、本来は人文社会現象説明用につくられ、その後一部を切り取って現状の姿にして、現在展示しているとのことです。

この地形模型は、自分に興味を生み出してくれる刺激あふれる装置であり、たいへん判りやすい教材です。一種の感動をおぼえました。

同時に、別の感想も生まれました。同じ地域の地形模型(3Dモデル)をパソコン内でつくることが、即座にできます。地理院地図サイトなどで精細な地形3Dモデルが、自分などでも、一瞬といえる間にできます。現物地形模型とは、30年前と違って、2024年では、それ自体がとても贅沢な価値があるモノのではないだろうかと感じました。


加曽利貝塚博物館企画展「あれもE・・・」展示土器写真の整理方法検討

 Consideration of how to organize photographs of pottery exhibited at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition “That's also E...”


I photographed a large number of Jomon pottery at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition “That's also E...”. I'm trying to find a way to organize these photos to my liking. First, I tried organizing 22 images in a 3D spatial series arrangement.


加曽利貝塚博物館企画展「あれもE・・・」では多数の縄文土器を写真撮影しました。この写真について、自分好みに整理する方法を模索しています。最初に画像22枚を3D空間直列配置で整理してみました。

1 加曽利博企画展「あれもE・・・」展示土器写真の整理方法検討

平成31年度から加曽利貝塚博物館で毎年開催されている企画展「あれもEこれもE 加曽利E式土器」に展示された縄文土器の撮影写真が多数になりました。この多数写真を楽しむとともに、自分の土器学習ツールとするために、写真整理方法を検討しています。

次のような写真整理を目指しています。

1 写真はweb画面で見れるようにする。(パソコンソフトの有無に制約されない。)

2 画像解像度を落とさないで精細な写真を見れるようにする。(画像を拡大してもぼやけない高解像度画像を見れるようにする。)

3 多数写真を一つの画面内で渉猟できるようにする。(1つの画面内で多数写真を一覧的に渉猟できるとともに、たどり着いた特定写真が高解像度である仕組み。)

このような条件を満たす写真整理の有力な方法は3DモデルサイトであるSketchfabを利用することだと考えています。

この記事では最初の試験的試みとして「縄文土器画像22枚の3D空間直列配置」モデルをSketchfabで利用できるようにしました。

2 縄文土器画像22枚の3D空間直列配置

●縄文土器画像22枚の3D空間直列配置

・大木8a式、大木8b式コーナー

加曽利貝塚博物館令和5年度企画展「あれもEこれもE加曽利E式土器 -外房地域編-」展示

・七郎内Ⅱ群土器(大木7b式期)(001)(銚子市粟島台遺跡)

・大木8a式土器(002)(銚子市粟島台遺跡)

・大木8a式土器(064)(東金市羽戸遺跡)

・大木8a式土器(050)(横芝光町東長山野遺跡)

・大木8a式土器把手(019)(東庄町神代夏方遺跡)

・大木8a式土器(003)(銚子市粟島台遺跡)

・大木8a式土器(077)(東金市・大網白里市養安寺遺跡)

・大木式と勝坂式の要素を持つ土器(078)(東金市・大網白里市養安寺遺跡)

・中峠類型(079)(東金市・大網白里市養安寺遺跡)

・大木式の要素を持つ加曽利E式土器(074)(東金市・大網白里市養安寺遺跡)

・中峠類型(044)(芝山町大滝遺跡)

・中峠類型(080)(東金市・大網白里市養安寺遺跡)

・大木8b式土器(011)(銚子市粟島台遺跡)

・大木式と勝坂式の要素を持つ土器(012)(銚子市粟島台遺跡)

・大木式の影響を受けた北関東の土器(062)(横芝光町東長山野遺跡)

・加曽利EⅠ式土器(061)(横芝光町東長山野遺跡)

・大木式と勝坂式の要素を持つ土器(020)(東庄町神代夏方遺跡)

・大木8b式土器(018)(東庄町神代夏方遺跡)

・加曽利EⅠ式土器(017)(東庄町神代夏方遺跡)

・大木式の影響を受けた北関東の土器(099)(東金市・大網白里市養安寺遺跡)

・大木式の影響を受けた北関東の土器(036)(神崎町原山遺跡)


「縄文土器画像22枚の3D空間直列配置」モデルの画像


「縄文土器画像22枚の3D空間直列配置」モデルの動画

3 感想

3D空間では画面の横や縦の高速移動が困難(自分が不慣れ)ですが、奥行方向の移動はマウスホイールで高速にできます。その操作性からマウスを使うパソコン環境では画像直列配置は多数画像を渉猟する(特定の問題意識で多数画像から目的の画像を探す)ことに有利、有望です。


2024年3月13日水曜日

ケヤキ製の縄文赤色漆塗鉢に感動

Impressed by the Jomon red lacquered bowl made of zelkova


While talking with Shinjiro on Twitter, he showed me a photo of a panel of a red lacquer bowl made of zelkova with a handle (Oyabe City,Sakuramachi Site). It has a similar shape to a modern soup cup. It's very rare for me. The Jomon tableware has a nice texture on the lips. I was impressed when I saw this tableware for the first time.


Twitter伸二郎さんとお話しているなかで、伸二郎さんからケヤキ製の握り手付き赤色漆鉢(小矢部市桜町遺跡)のパネル写真を見せていただきました。現代スープカップと似た形状です。自分にはとても珍しく、口当たりのよい縄文食器をはじめて見て感動しました。

1 握手付赤色漆塗鉢(小矢部市桜町遺跡)


握手付赤色漆塗鉢(小矢部市桜町遺跡) Twitter伸二郎さん撮影パネル写真

2 発掘調査報告書掲載情報

全国遺跡報告総覧から次の発掘調査報告書をダウンロードして、詳細情報を入手しました。


桜町遺跡発掘調査報告書(木製品・繊維製品・植物編)


握手付赤色漆塗鉢(小矢部市桜町遺跡)の4面写真


握手付赤色漆塗鉢(小矢部市桜町遺跡)の4面図


握手付赤色漆塗鉢(小矢部市桜町遺跡)の詳細情報

3 感想

Twitter伸二郎さん提供パネル写真を見た時、自分は唇を直接あてがう様子を想像できる木製容器をはじめて見たと直観し、感動を深めました。木製スプーンや木製柄杓のようなものは見たことがありますが、鉢形木製容器を見た記憶は定かでなく、握り手付きははじめてです。自宅にある現代スープカップと形状がよく似ています。


現代スープカップ

縄文人が食事をする時、このような木製容器に鍋料理をよそって、食べていたのだと思います。土製鍋(深鉢)は残るけれども、それ以上に沢山つくられた木製食器はほとんど消滅し、超例外的に残存した例が、この小矢部市桜町遺跡出土握手付赤色漆塗鉢だと考えます。

Twitter伸二郎さんの情報発信に感謝します。


2024年3月11日月曜日

貝塚の3Dグリッド別遺物数分布のイメージ表現例

 Image representation example of the distribution of the number of artifacts by 3D grid in a shell mound


I created an image representation example of the distribution of the number of artifacts by 3D grid, targeting a narrow test area of the shell layer on the north slope of Ariyoshi Kita Shell Mound. The purpose of this work is to confirm the method for counting the number of artifacts by 3D grid, and to create the first example of the distribution of the number of artifacts by 3D grid.


有吉北貝塚北斜面貝層の狭いテスト範囲を対象に、3Dグリッド別遺物数分布のイメージ表現例を作成しました。この作業の目的は、3Dグリッド別遺物数のカウント方法を確認するとともに、3Dグリッド別遺物数分布表現の最初の一例を作成することです。

1 3Dグリッド別遺物数のカウント

発掘調査報告書で設定された調査グリッド※(平面グリッド、2m×2m)のうち、遺物出土平面グリッドは141あります。この遺物出土平面グリッドに係る遺物出土3Dグリッドは346あります。

※発掘調査報告書での「メッシュ」をこの作業では「グリッド」に置き換えています。3Dモデルにおける別の意味のメッシュと区別するためです。

遺物出土数は全部で約63000あります。

遺物台帳電子化作業では、次のように平面グリッド別に遺物名称や出土標高をExcelで整理しています。


遺物台帳電子化(Excel画面)

平面グリッド別に標高2m区切りで遺物数をカウントすることは、少ないデータならば、Excelでデータを標高順に並べてカウントすればすぐできます。しかし、今回のプロジェクトではデータが膨大であり、到底Excel手作業ではできません。そこで、Pythonスクリプトによるカウント方法構築を試みました。その結果、今は不十分ですが、今後、Pythonスクリプトで作業効率化が図れる見込みを得ることができました。その様子をメモします。

1 平面グリッド別標高データのExcelsheet格納

今回は手作業となりました。

遺物台帳データを分析するためには平面グリッド別にExcelsheetに格納することが大切であることが判りました。これからの電子化作業は平面グリッド別にExcelsheetに行います。

既に電子化したExcelファイルについては、データを平面グリッド別にExcelsheetに分けるPythonスクリプトを作成して対応することにします。

2 Excelsheet別(平面グリッド別)遺物標高データのcsvファイル出力

新たに作成したPythonスクリプトにより、Excelファイルに存在する多数のsheet別データを一括で多数のcsvファイルに出力しました。

3 平面グリッド別遺物標高データを2m区切りで集計する

新たに作成したPythonスクリプト(度数分析スクリプト)により、2で作成したcsvファイルについて、標高2m区切りで遺物数を集計し、ファイルに出力しました。(平面グリッド別標高2m区切別遺物数)

4 3で作成したデータに位置座標を付与する

3で作成したデータ(平面グリッド別標高2m区切別遺物数)に別に作成してある3Dグリッド位置座標を対応させ、付与しました。

この作業は今回手作業になりました。今後Pythonスクリプトにより自動化する予定です。


3Dグリッド別遺物数

2 3Dグリッド別遺物数分布の表現例

有吉北貝塚北斜面貝層の狭いテスト範囲を対象に、3Dグリッド別遺物数分布の表現例(3Dモデル)を作成しました。球体と3Dグリッド枠のプロットはBlenderPythonスクリプトで行いました。

貝塚の3Dグリッド別遺物数分布のイメージ表現例(3Dモデル)

3Dグリッド(2m×2m×2m)出土遺物数の多寡を4段階に分級して、球体大きさで表現している。


3Dモデル画像


3Dモデル動画


テスト範囲の場所

なお、今回は遺物数を4段階に分級して段階毎に球体の大きさを変えて表現したものです。分級方法と球体の大きさの対応は任意に行いました。


遺物数の分級と球体の大きさ

3 感想

3-1 Pythonスクリプト作成について

遺物台帳63000遺物の分析にはPythonスクリプトが必須です。Excel手作業では埒がまったくあきませんが、Pythonスクリプト利用により驚くほど作業が効率化します。Pythonスクリプト無しの活動は考えられません。

しかし、Pythonに関する基礎知識が虚弱なため、見よう見まねでPythonスクリプトを作成しています。Pythonスクリプト作成には長時間を要しています。

現状では次のようなプロセスでPythonスクリプトを作成しています。

実現したい機能について最初はweb検索や図書から情報収集し、試行錯誤を重ねてPythonスクリプトができればラッキーです。

web検索や図書で機能実現ができない場合はChatGPTに支援を求めます。実現したい機能を簡潔に言葉で表現できればChatGPTが問題の多くを解決してくれます。ChatGPTを最後の切り札として利用しています。

3-2 貝塚の3Dグリッド別遺物数分布のイメージ表現例(3Dモデル)について

今回は3Dグリッド出土遺物数を分級して球体の大きさでイメージ表現しました。この方法の場合、今後、分級の仕方、球体(あるいは別のオブジェクト)の大きさの対応について検討が必要です。遺物数分布をより直観的に認識できる表現とする必要があります。また球体を大きさだけでなく色分けすればより判りやすい3D分布モデルになるかもしれません。

別の表現方法として、遺物数と同じ数の小オブジェクトを3Dグリッド内に均等に配置する(あるいはランダムに配置する)方法も今後テストしてみることにします。小オブジェクトの多寡が密度をイメージできれば面白いモデルになります。


2024年3月5日火曜日

加曽利EⅢ式土器(025)(香取市多田遺跡)観察記録3Dモデル

 Kasori EIII style pottery (025)(Katori City,Tada Site) Observation record 3D model


I created a Observation record 3D model of Kasori EIII style pottery (025), which is on display at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition "That's also E... Sotobo Area Edition". 

This pottery is a design filling type pottery with alternating spiral patterns on the rim and body.


加曽利貝塚博物館企画展「あれもE... 外房地域編」で展示されている加曽利EⅢ式土器(025)の観察記録3Dモデルを作成しました。

この土器は、口縁部と胴部の渦巻文が交互に配置される意匠充填系土器です。

1 加曽利EⅢ式土器(025)(香取市多田遺跡)観察記録3Dモデル

加曽利EⅢ式土器(025)(香取市多田遺跡)観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和5年度企画展「あれもEこれもE加曽利E式土器 -外房地域編-」

撮影月日:2024.01.20


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.517 processing 145 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 展示説明

「025の意匠充填系土器は、隆線と充填縄文で描かれる口縁部と胴部の渦巻文がくびれを境に交互に配置され、上下入組む形で連携しています。」


2024年3月3日日曜日

加曽利EⅠ式土器(006)(銚子市粟島台遺跡)観察記録3Dモデル

 Kasori EI style pottery (006)(Choshi City,Awashimadai Site) Observation record 3D model


I created a Observation record 3D model of Kasori EI style pottery (006), which is on display at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition "That's also E... Sotobo Area Edition". 

In the exhibition explanation, the three-unit handle (with the upper part missing) is called a "bridge-like handle" because of its three-dimensional structure. The "bridge-like handle" is the main element of the Daigi 8a style.


加曽利貝塚博物館企画展「あれもE... 外房地域編」で展示されている加曽利EⅠ式土器(006)の観察記録3Dモデルを作成しました。

展示説明では、3単位の把手(上部欠損)について、その立体構造から「橋状把手」と呼んでいます。「橋状把手」は大木8a式の主な要素です。

1 加曽利EⅠ式土器(006)(銚子市粟島台遺跡)観察記録3Dモデル

加曽利EⅠ式土器(006)(銚子市粟島台遺跡)観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和5年度企画展「あれもEこれもE加曽利E式土器 -外房地域編-」

撮影月日:2024.01.20


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.517 processing 146 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 展示説明

「大木式の影響

加曽利EⅠ式は、大木8a式の器形や文様構成の影響を強く受けて成立しますが、それ以外の要素も時折、付帯的に現れます。

006の土器は、口縁部に3単位の把手が付き、単位の間を繋ぐ2本の隆線が立体的な構造を作り出しています。この構造が橋のようにみえることから「橋状構造」と呼ばれるこの把手は、大木8a式の主な要素です。」

4 メモ

006土器を上からオルソ投影画像でみると、口唇部の形状がおむすび型をしています。土器をつくるときに、3単位把手作成に意識のほとんどを集中したために、本来円形になるところがおむすび型になったのだと想像します。


オルソ投影画像 上から

3単位把手の上部が同じようにきれいに除去されていて、土器は底部以外は割れ目の少ない完形で出土しているようです。土器の生命ともいえる把手上部の除去は特段の意味のある行為だったに違いありません。

3単位把手の上部は欠損部状況から中空の丸穴があった構造のようです。

2本隆線で表現されるクランク文は、変形S字状文の連続で生まれた文様と理解します。S字状文を臍帯に起源を持つ紐帯文様と空想していますので、クランク文は人の命の連続性、継続性の抽象表現だと想像します。

2024年3月2日土曜日

2024年2月ブログ活動のふりかえり

 February 2024 blog activity review


I looked back on the February 2024 activities of my blog  'Walking along the Hanami River Basin '.

The three main activities in February 2024 were creating a 3D model of Kasori E-style pottery, inputting the register of shell layer artifacts on the north slope of Ariyoshi Kita Shell Mound, and learning BlenderPython.


ブログ「花見川流域を歩く」の2024年2月活動をふりかえりました。

2024年2月活動の主なものは、加曽利E式土器3Dモデル作成、有吉北貝塚北斜面貝層遺物台帳入力作業、BlenderPython学習の3つとなりました。

1 ブログ「花見川流域を歩く」

・2024年2月の記事数は15です。

・加曽利E式土器3Dモデル作成記事をメインに、有吉北貝塚北斜面貝層の3Dグリッドカバーに関する記事、BlenderPython学習記事などを書きました。

2 ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」

・早朝散歩記事3編を書きました。

3 2024年2月活動の特徴

・2月の活動は、有吉北貝塚北斜面貝層遺物台帳入力作業をメインに進めました。当初は入力作業日誌を頻繁に記事にして情報発信することを考えましたが、あまり面白い記事にならないことが判ったので、活動日誌的情報発信の頻度は低め、記事作成に割くパワーを入力作業そのものに注力することにしました。従って2月記事数は低調になりましたが、遺物台帳入力作業は進展しました。


遺物台帳電子化区域(2024.02.29)


遺物台帳電子化割合(2024.02.29)

・入力作業を進行させる中で、遺物台帳入力だけでも、2m×2m×2mの3Dグリッドならば得られる情報を3Dモデル化できることに気が付き、遺物台帳電子化後の情報表示・分析の枠組みとして、2m×2m×2mの3Dグリッドカバーを作成しました。


有吉北貝塚北斜面貝層の3Dグリッドカバー

・加曽利貝塚博物館「あれもE・・・」企画展展示の加曽利E式土器3Dモデル作成は遺物台帳入力作業の合間に行いました。北斜面貝層出土土器は加曽利E式土器がメインであり、将来的には北斜面貝層台帳入力作業と加曽利E式土器学習が合流することになります。将来のその合流が楽しみです。今はまだ別々の活動になっています。

・自分にとってのBlenderPython学習に最適と感じられる図書を偶然に見つけ、BlenderPython学習が自然発生的に始まりました。BlenderPython活用なくして北斜面貝層分析活動はあり得ないので、学習に熱が入ります。(今はChatGPT支援でBlenderPythonを有効活用していて、とても役立っているのですが、BlenderPythonのイロハを十分に理解しているわけではありません。)

4 2024年3月活動の展望

・2月に引き続き、有吉北貝塚北斜面貝層遺物台帳入力作業をメインに活動します。入力作業が進展するならば、たとえブログ記事数が減少しても、それは甘受することにします。

・加曽利E式土器3Dモデル作成はまだ材料ストックがあるので進めます。

・顔面付釣手形土器等のフォトグラメトリ用撮影を行う機会がありましたので、3Dモデル作成を楽しむことにします。

・BlenderPython学習をコンスタントに進めることにします。

参考

ブログ「花見川流域を歩く」2024年2月記事 〇は閲覧の多いもの

ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」


2024年2月 Sketchfabに投稿した3Dモデル


2024年2月 YouTubeに投稿した3Dモデル


2024年2月 ブログ「花見川流域を歩く」投稿記事に掲載した画像