2011年8月30日火曜日

改善したい風景

花見川流域のイメージと感想12 改善したい風景

花見川の各種風景のベスト8を八景として選定して、これまで記事としてきました。
散歩していると、当然ですが、悪い風景もあります。悪い風景とは風景素材(地形、動植物、過去の人の利用、歴史等)を破壊、軽視して土地を利用し、工作物を作った時に感じる風景のことだと思っています。
悪い風景とは風景素材と現在の利用の間に齟齬を感じる私の心理現象です。ですから、私の心理を分析すれば、悪さの原因を突き止めることができます。原因がわかれば、その原因を除去したり、軽減する方法もわかります。
結局、悪い風景とは私が改善したいと思う風景のことです。

改善したい風景の一例が高津川の金網柵です。高津川、北高津川の開水路全区間にわたって金網柵が作られているのですが、その金網柵上部に全て有刺鉄線が3条つけられているのです。徹底しています。
転落防止機能からみると有刺鉄線はあきらかに過剰です。有刺鉄線の存在は、高津川の存在自体が日常的危険物であり忌避すべきものであるとのサインになっています。高津川=悪徳という地域づくりが行われています。

全区間有刺鉄線付金網柵で囲まれた高津川、北高津川

こうした風景は改善することが大切だと思います
稚拙な方法で上記写真から有刺鉄線を除いたモンタージュ写真を作ってみました。

有刺鉄線を除去したモンタージュ写真

風景に刺さったトゲは応急的に除去されました。

この有刺鉄線の除去された金網柵に囲まれた高津川、北高津川の風景が本当にこれでよいのか、住民、行政、専門家が集って「検討の対象」にすれば、街づくり・風景づくりがスタートすることになると思います。

現在は住民も、行政も、専門家も高津川や北高津川の風景を「検討の対象」にしていません。金網柵どころか、有刺鉄線で囲った川の風景さえ、その異様さが意識されていません。

2011年8月28日日曜日

風景上の流域区分イメージ

花見川流域のイメージと感想11 風景上の流域区分イメージ

花見川本川、支流、谷津頭、園地のそれぞれの風景の八景を選定してみると、さらに台地の風景についても現場をもう一度散歩すれば八景を選定できるかもしれないと判ってみると、風景から見た花見川流域の区分が、否が応でも頭に浮かんできます。
その流域区分イメージは地形、湧水、縄文海進、河川争奪、古代遺跡分布、牧や野の分布、陸軍演習場の分布などと密接な関係を有していることを直感します。
そこで、これまでの散歩とブログ記事作成で感じ取ることができた風景上の流域区分の最初のイメージ(想像)を記録しておきます。

風景上の流域区分イメージ(想像)

こうしたイメージを一つの仮説(各種事象を結びつけるための補助線)とし、その仮説をツールとして活用しながら、花見川流域についての認識を深めていきたいと思います。またこの仮説を、より合理的なものに修正していきたいと思います。

2011年8月27日土曜日

私撰花見川流域園地八景

花見川流域のイメージと感想10 私撰花見川流域園地八景

花見川流域内にあって、河川や谷津空間を利用した公園、広場、運動場などの園地で、私がもう一度来てみたいと現場で思った場所の風景を8つ選定しました。

これまでの八景の選定の視点とは異なり、利用面の風景に焦点を当てました。したがって、これまでの八景と場所としては重複しているものもあります。


私撰花見川流域園地八景の位置

第1 花島公園お花見広場の風景
【第1 花島公園お花見広場の風景】

第2 花島公園川辺憩いの広場の風景
【第2 花島公園川辺憩いの広場の風景】

第3 神場公園の風景
【第3 神場公園の風景】

第4 花見川千本桜緑地の風景
【第4 花見川千本桜緑地の風景】

第5 真砂・磯辺地先のサイクリングコース沿い園地の風景
【第5 真砂・磯辺地先のサイクリングコース沿い園地の風景】

第6 こてはし台調整池の風景
【第6 こてはし台調整池の風景】

第7 子和清水調整池の風景
【第7 子和清水調整池の風景】

第8 東大検見川総合運動場の風景
【第8 東大検見川総合運動場の風景】

2011年8月26日金曜日

花見川台地八景の可能性

花見川流域のイメージと感想9 花見川台地八景の可能性

私撰花見川本川八景、私撰花見川支流八景を選定しました。それだけでは花見川の風景上の魅力をすべて伝えられないと考え、私撰花見川谷津頭八景を選定しました。次には私撰花見川園地八景を選定する予定です。

ところで、私撰花見川谷津頭八景を選定していて、その分布域から外れた地域、つまり台地上の浅い皿状の谷地形が谷津の最上流部にある場所で織り成されている風景について、気になりだしました。
これまで意識の表面では浅い谷の風景は「魅力」ではありませんでした。しかし、現場を散歩しているときの自分の感情を思い出すと、浅い谷の風景で「いい感じ」という記憶がいくつも出てきます。
これまで自分は意識の俎上にはあげてこなかったけれども、浅い谷の風景の魅力があるかもしれないと気がつきだしました。

次の写真はウインドウズ7の付録の壁紙です。極端ですが、こうしたなだらかなカーブを描く広い土地で、遠景に樹木や建物があると開放的な魅力の風景となります。

ウインドウズ7の付録壁紙

北海道富良野の観光地では、同じようになだらかにカーブした畑と点在する並木や家を点景にした風景が「商品」になっています。外国からもたくさんの人が訪れています。

北海道富良野の観光対象風景

このような風景ジャンルの魅力が花見川流域にもあると気が付きだしています。

既に高津川の谷津風景の参考として紹介した陸上自衛隊習志野演習場内の風景は浅い谷の風景の魅力の素質を表現しているものと考えます。

陸上自衛隊習志野演習場内の風景

次の写真は浅い谷の織り成す風景的魅力を表現しています。

小深川上流部の浅い谷の風景

宇那谷川上流部の浅い谷の風景

浅い谷の風景の場合、そのなだらかなカーブを見せるには、耕作地が広がる必要があり、同時にそれを強調する樹木や建物が少しだけあるという条件が必要だと思います。人家が多くなるとなだらかな地形のカーブがわからなくなってしまいます。また、樹林が多いと視線をさえぎってしまい、地形カーブは分かりづらくなると思います。

今後花見川流域を散歩するときには、台地上の浅い谷の風景も意識の俎上に乗せておき、気が付いた魅力を記録し、花見川台地八景を選定できるようにしたいと思っています。

2011年8月25日木曜日

私撰花見川谷津頭八景

花見川流域のイメージと感想8 私撰花見川谷津頭八景

谷津の最上流部が明瞭な形で谷頭として観察できる場所をこのブログでは「谷津頭」と呼ぶことにします。
谷津頭は湧泉の場所で古代人の住んでいた場所であり、水田耕作の源泉になった場所です。また水があるので本来は生態的にも重要な場所であると思います。
散歩をしていて、谷津頭に達すると、その閉じられた狭い空間の中でとても落ち着くことができます。何物にも邪魔されない自分の居場所であるという感じを持つことができます。空間環境的に外部の喧騒の音や雑然とした市街地風景が遮断されていることの効果が大きいからだと思います。
手持ちの写真1万2千枚とGISやグーグルアースを参照しながら、花見川流域の谷津頭風景の品定めをしました。そして私のお気に入りとしての花見川谷津頭八景を選定しました。

第1 花見川柏井「後谷津」の谷津頭風景
第2 花見川花島「谷津」の谷津頭風景
第3 長作川「上谷坪」の谷津頭風景
第4 長作川「ヒル田」の谷津頭風景
第5 犢橋川「瀧ノ山」の谷津頭風景
第6 犢橋川「上五斗蒔」の谷津頭風景
第7 畑川「上谷津」の谷津頭風景
第8 浪花川「久保ノ内」の谷津頭風景

谷津頭のある川は本来の東京湾水系すべてから選定されました。東京湾水系である花見川、長作川、犢橋川、畑川、浪花川にはその谷頭浸食力が強い地史上の時代があったものと考えます。

本来印旛沼水系である高津川筋(高津川、北高津川、芦太川)、勝田川筋(勝田川、宇那谷川、小深川、東小深川、横戸川)からは選定できませんでした。これらの川は谷津の最上流部に明瞭な谷頭を有さないからです。下流で谷壁を有する谷津もいつしか台地上の浅い皿状の谷に変化し、それが平坦な台地面に消えてゆくかのように変化してしまいます。

選定した八景は結果としてすべて千葉市内の谷津です。千葉市内の小字名は手元で分かっているので、谷津頭を現地の地名で呼ぶことができます。
この谷津頭地名を見て、6つが地形や水にかかわるものであることに驚きました。残り2つは耕作にかかわるものです。

私撰花見川谷津頭八景

私撰花見川谷津頭八景の位置

第1 花見川柏井「後谷津」の谷津頭風景
【第1 花見川柏井「後谷津」の谷津頭風景】
【第1 花見川柏井「後谷津」の空中写真(グーグルアース)】
人による谷津の利用が少し荒れているのですが、鳥類などの生き物にとって大切な場所であることを感じている谷津頭です。

第2 花見川花島「谷津」の谷津頭風景
【第2 花見川花島「谷津」の谷津頭風景】
【第2 花見川花島「谷津」の空中写真(グーグルアース)】
花島公園として整備されている谷津頭です。

第3 長作川「上谷坪」の谷津頭風景
【第3 長作川「上谷坪」の谷津頭風景】
【第3 長作川「上谷坪」の空中写真(グーグルアース)】
八景の中でも、美しさが1、2位に入る谷津頭の風景です。ポンプ小屋の存在はかつて湧泉があったことを物語っています。

第4 長作川「ヒル田」の谷津頭風景
【第4 長作川「ヒル田」の谷津頭風景】
【第4 長作川「ヒル田」の空中写真(グーグルアース)】
この谷津頭の風景もベスト3に入るものです。ポンプ小屋の存在はかつて湧泉があったことを物語っています。

第5 犢橋川「瀧ノ山」の谷津頭風景
【第5 犢橋川「瀧ノ山」の谷津頭風景】
【第5 犢橋川「瀧ノ山」の空中写真(グーグルアース)】
八景の中で、長作「上谷坪」とその美しい風景で1、2位を争うものです。ポンプ小屋の存在はかつて湧泉があった場所をピンポイントで示していると考えます。「瀧ノ山」の「瀧」は谷壁から湧泉が流れ下る様をそのまま地名にしたものであると考えます。
近くの失われた「子和清水」の様子を想像するのに役立つ谷津頭です。

第6 犢橋川「上五斗蒔」の谷津頭風景
【第6 犢橋川「上五斗蒔」の谷津頭風景】
【第6 犢橋川「上五斗蒔」の空中写真(グーグルアース)】
神場公園内にある谷津頭です。

第7 畑川「上谷津」の谷津頭風景
【第7 畑川「上谷津」の谷津頭風景】
【第7 畑川「上谷津」の空中写真(グーグルアース)】
谷津頭の一番大事な場所が京葉道路敷になっていますが、全体として谷津頭の風景が残っています。

第8 浪花川「久保ノ内」の谷津頭風景
【第8 浪花川「久保ノ内」の谷津頭風景】
【第8 浪花川「久保ノ内」の空中写真(グーグルアース)】
谷津頭の部分を京葉道路が高架で通過しているので、地形的には谷津頭が残っています。
【参考 浪花川「久保ノ内」の谷津頭手前の風景】

2011年8月23日火曜日

パノラマ写真の作り方

私撰花見川本川八景の写真を選んでいるとき、パノラマ写真をつくりたくなりました。特別なソフトもなく、テクニックも持ち合わせしていないので、次のような複数写真の貼り付けで済まそうと思っていました。

当初のパノラマ写真の作成

念のためWEBでパノラマ写真作成法について調べ、今後の技術習得の参考にしようと思っていました。

ところが、手持ちのフォトショップで高度なレベルのパノラマ写真作成が可能であることを知り、早速試してみました。

2枚の写真を取り込むと1-2秒で次のようなパノラマ写真ができてしまいました。

フォトショップ画面

フォトショップで作成したパノラマ写真

パソコンソフトの機能に感激する回数も年々減ってきている今日この頃ですが、フォトショップのこの機能に出会って、思わず声を上げてしまいました。

フォトショップの使い方の概要は次の通りです。

ファイル→自動処理→PhotmergeでPhotmergeの画面を出す。
Photmergeの画面の参照をクリックして元写真2枚以上を指定しOKをクリックする。
これで自動的にパノラマ写真ができます。レイアウトの指定も可能です。

早速フォトショップを使ってパノラマ写真を作って、ブログ記事に活用しました。
勢いで、見よう見まねでBlogger掲載写真の大きさ変更方法も調べて変更しました。

なお、この機能はフォトショップのバージョンcs3から可能のようです。

2011年8月2日記事「浪花川の風景」では、東大総合運動場のパノラマ写真を単純に4枚の写真を張り合わせて作成して掲載したのですが、これも作り直し、早速差し替えました。

私撰花見川支流八景

花見川流域のイメージと感想7 私撰花見川支流八景

花見川支流の風景の中から、私が気に入った風景を8つ選びました。
花見川本川の八景の選定も同じですが、私個人が気に入った風景を率直に選びました。えてして、「大方の人の共鳴や賛同を得るためにはどのような視点から選定したらよいだろうか」という考えが無意識的に生じてしまいがちですが、このブログでは意識的にそうした考えを排除することにより、個人の「生」の考えを記録しておきたいと思っています。

私撰花見川支流八景

私撰花見川支流八景の位置

第1 高津川支流大和田谷の風景
【第1 高津川支流大和田谷の風景】
陸上自衛隊習志野演習場内の風景です。流域の市街地化が進んだ高津川にあって、この場所だけ谷津の雰囲気が取り残されています。

【参考 大和田谷上流の浅い谷の風景】
現在の地形と大正6年測量旧版1万分の1地形図を比べてあまり大きな変化を感じません。演習場として利用されている間に小規模の改変が繰り返されたに違いありませんが、地形の概形を変えるようなことは免れたと考えています。

第2 勝田川の風景
【第2 勝田川の風景】
横戸付近で、西に向かって流れてきた勝田川は北に向きを大きく変えます。この付近では勝田川の谷底平野がとても広々と感じます。同時に台地に囲まれ、程よく閉じられた空間になっているので、落ち着きます。農道と最近河川改修工事でできた堤防が散歩の恰好のルートを提供しています。
写真は勝田川左岸から右岸方向を見たもので、画面左が下流側、右が上流側になります。

【参考 河川改修工事後の勝田川】
下流から上流方向を見た写真です。


第3 横戸川の風景
【第3 横戸川の風景】
谷底は水田耕作され、台地斜面には畑や樹林が配置されているという極普通の土地利用がだんだん少なくなり、そうした土地利用パターンがあると、花見川流域では懐かしさを感じる風景になります。農道が散歩ルートになり、多くの人に利用されています。

第4 小深川の風景
【第4 小深川の風景】
谷底平野と台地の比高が少なくなります。上流に向かうにしたがって人家が増えます。しかし、水田耕作や小深川にある堰の存在が田園的雰囲気を醸し出しています。
写真は小深川の谷津の左岸から右岸方向を見たもので、画面左が下流側、右が上流側になります。

第5 東小深川の風景
【第5 東小深川の風景】
谷底平野と台地の比高が小さくなりますが、水田耕作が行われ、地形の境付近には樹林が残されています。空間が狭いので、散歩していると公園にでもいるような気持ちになります。こうした風景が時代とともに減少しているので、なんでもないのに希少性を感じてしまいます。

第6 長作川の風景
【第6 長作川の風景】
台地斜面の樹林、その下にたたずむ人家、そして田んぼ、長作川というセットが確認できるので、一つの田園風景になります。長作川がコンクリート柵渠で金網柵があり、なおかつ高圧送電線がその上を走っていても、好感がもてる風景です。

第7 犢橋川の風景
【第7 犢橋川の風景】
下流方向をみた景観です。高圧送電線鉄塔の存在感が強すぎます。しかし、どかせないものですので、人の意識として鉄塔に意識の焦点を当てないようにしようという心理機構が働くのだと思います。写真では付近を圧倒している鉄塔が、現場では意識から消えてしまうこともあります。全面市街地化した谷津と比べると、犢橋川谷津は広々としている分、まだまだ価値ある自然です。

【参考 犢橋川の上流方向の風景】

第8 柏井の谷津
【第8 柏井の谷津】
谷津の姿があまり改変されずに残っていて、メリハリのある地形が特徴的です。耕作放棄地が少なくなれば、もっと素晴らしい景観になると思います。
柏井の谷津はこのブログでは河川として扱ってきていませんが、河川に「昇格」させたいと思っています。

【参考 柏井の谷津の様子】
柏井橋付近で花見川に合流する直前の谷津の様子です。


●花見川本川八景、花見川支流八景を選んでみてこれだけでは花見川風景の良いところを伝えきっていないことに気が付きました。そこで、花見川谷津頭八景と花見川園地八景も続いて選ぶことにします。