2019年11月28日木曜日

3Dモデル切断による土器断面の見える化

縄文土器学習 275

加曽利EⅢ式深鉢(墨木戸遺跡)(加曽利貝塚博物館企画展展示土器)の3Dモデルでは、土器外面及び土器内面のほとんどを撮影してモデルに取り込むことができました。
2019.11.24記事「加曽利EⅢ式深鉢(墨木戸遺跡)観察記録3Dモデル」参照
したがってこの3Dモデルでは、それを切断すると正確な断面形状を観察することができます。

加曽利EⅢ式深鉢(墨木戸遺跡)の撮影一例
3Dモデルリンク
https://skfb.ly/6OSZt

オルソ平面画像

オルソ平面画像(切断)

オルソ正面画像(切断)
この断面は写真測量として正確なものです。
展示土器現物を破壊することなく、正確な断面形を見える化することができました。

通常斜め画像(切断)


2019年11月24日日曜日

加曽利EⅢ式深鉢(墨木戸遺跡)観察記録3Dモデル

縄文土器学習 274

1 3Dモデル
加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE-加曽利E式土器(印旛地域編)-」(2019.11.16~2020.03.01)展示土器のうち、唯一ショーケースに入っていない大型土器について3Dモデルを作成して観察してみました。

加曽利EⅢ式深鉢(酒々井町墨木戸遺跡) 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE-加曽利E式土器(印旛地域編)-」
撮影月日:2019.11.19
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.519 processing 58 images

展示の様子

カメラの視線が届く範囲は鮮明な3Dモデル画像を得ることができました。
土器内面を全て観察できる3Dモデルとなりました。

2 観察と感想
・口縁部がわずかですが4単位の波状になっています。加曽利EⅡ式ではほとんどの土器の口縁部は平滑ですから、その点が違います。
・加曽利EⅡ式で特徴的な渦巻文が退化してほとんどなくなっている状況です。ただし、この土器は渦巻文の痕跡が残っていると形容してよいのではないかと素人判断します。
・頸部を回る太い磨消部が特徴的で口縁部と胴部を区切っています。
・内面の仕上げが雑です。土器を造形したときの粗いへら模様がそのまま残っていて、なんら表面処理をしていません。煮炊きに使う「鍋」の内面であるとはとても言えません。
・煮炊きに使ったときにできたと考えられる表面の焼かれた跡(焼成や摩耗痕)は観察できません。また内面にもおこげはもとより煮沸痕が全く見られません。
・胴部の縦方向磨消部の真ん中に沈線があり、その上端がくるりと杖のように回っていて、噴水をイメージさせるデザインのように感じます。流山市立博物館企画展「流山のお宝新発見」展示加曽利EⅡ式把手付鉢で観察した模様と同じです。2019.08.18記事「加曽利EⅡ式把手付鉢の杖のような模様」参照
・この土器は次の諸特徴から水瓶として作られ、使われた土器であると想定できます。
1 大きい
2 煮炊きにつかわれた痕跡が土器表面と土器内面にない
3 煮炊きに使うために必要な内面処理(平滑化)がない
4 噴水デザインが施されている

3 噴水デザイン

加曽利EⅢ式深鉢(墨木戸遺跡)

流山市立博物館企画展「流山のお宝新発見」展示加曽利EⅡ式把手付鉢(小谷貝塚)

4 参考 カメラ配置

カメラ配置

2019年11月20日水曜日

加曽利E式土器(印旛地域編)企画展観覧

縄文土器学習 273

加曽利貝塚博物館の企画展「あれもEこれもE-加曽利E式土器(印旛地域編)」(2019.11.16~2020.3.1)を観覧してきました。

1 企画展の様子

企画展「あれもEこれもE-加曽利E式土器(印旛地域編)」の入り口

1年前の企画展「あれもEこれもE-加曽利E式土器(千葉市内編)」の続編ということになります。
市内編での展示は加曽利E式土器をⅠ~Ⅳに分けて時代順に展示していましたが、今回の企画展は地域別に展示しています。

佐倉市展示コーナー
13点の加曽利E式土器が展示されています。

印西市、四街道市展示コーナー
印西市5点、四街道市5点の加曽利E式土器が展示されています。

成田市展示コーナー
8点の加曽利E式土器が展示されています。

酒々井町展示コーナー
6点の加曽利E式土器が展示されています。

現在37点の土器が展示されていて、2020.1.11から一部展示替えがあり全部で46点の土器が展示される予定のようです。
8ページのパンフレットが会場に用意されていて、詳しい解説が記述されています。また46点展示資料の詳細リストが掲載されていて、学習に役立ちます。

企画展パンフレット(表裏表紙)

2 感想
・市内編企画展の開催時期と自分の縄文土器学習開始が重なり、学習に大いに役立ちました。7-8回は通いました。展示土器3Dモデル作成もこのころ始めました。今回の企画展も現在の自分の学習領域(下総地域展示館の縄文土器学習)とぴたり一致しますので、学習を深めるために大いに活用させていただくことにします。何回も通い、また関連講演会なども聴講したいと思います。
・早速いくつかの土器について3Dモデル作成用写真撮影をさせていただきました。観覧者がほとんどいなくなる時間帯がわかっていますのでその時間にじっくり観察し、撮影しました。6000枚以上撮影(ブラケット撮影のため1シャッター6枚生成)したところで不覚にもSDカードが一杯になり打ち止めとなりました。館を退出すると外は暗くなっていました。

2019年11月12日火曜日

成田市出土の縄文土器 観察記録3Dモデル

縄文土器学習 272

成田市下総歴史民俗資料館の「成田市出土の縄文土器」コナー全体を一つの観察記録3Dモデルにしてみました。

成田市出土の縄文土器 観察記録3Dモデル
撮影場所:成田市下総歴史民俗資料館
撮影月日:2019.09.05
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.519 processing 111 images

土器形式と出土遺跡のプレートがあるものは次の通りです。

成田市出土の縄文土器 土器形式と出土遺跡

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参考 成田市出土の縄文土器 観察記録3Dモデルのカメラ配置

2019年11月7日木曜日

尖底土器はサイズフリー

縄文土器学習 271

1 観察記録3Dモデル作成
田戸下層式深鉢形尖底土器その2 椎ノ木遺跡 観察記録3Dモデルを作成しました。

田戸下層式深鉢形尖底土器その2 椎ノ木遺跡 観察記録3Dモデル
撮影場所:成田市下総歴史民俗資料館
撮影月日:2019.09.05
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.519 processing 36 images

展示の様子
写真中央が田戸下層式深鉢形尖底土器その2です。写真左は2019.11.05記事「田戸下層式尖底土器3Dモデル」で紹介した同種土器です。

2 尖底土器がつくられた理由
二つの尖底土器は尖底の先の様子が極端であり、なぜこのような尖底土器がつくられたのか興味が湧きます。
手持ちの次の3点資料をくわしく見ましたが、尖底土器がつくられた理由の記述はありませんでした。
・小林達雄編「総覧縄文土器」
・小林達夫編集「縄文土器大観」
・大川清・鈴木公雄・工楽善通編「日本土器事典」

webを調べると次のwebページに説得力のある尖底土器がつくられた理由仮説が書いてありました。
webページ「アートワークス 時間探偵」2019.05.31記事「尖底(土器)でなくては駄目だった理由
このwebページでは尖底土器が炉穴の大小サイズにたいして尖底土器がサイズフリーで使いやすいことが述べられています。
このwebページの考えを参考に自分なりにイメージを絵にすると次のようになります。

尖底土器はサイズフリー
webページ「アートワークス 時間探偵」2019.05.31記事「尖底(土器)でなくては駄目だった理由」を参考にしたイメージ

炉穴はとても壊れやすいので、繰り返し新しいものがつくられますが、それは土器を乗せる穴が利用1回ごとに少しずつ拡大することを意味します。そのような炉で使う土器が尖底土器ならば、穴に対して土器がサイズフリーであり、使いやすくなります。

3 参考

千葉県の炉穴分布
手持ちデータベースによる

千葉県炉穴の資料による時代分布
手持ちデータベースによる



2019年11月5日火曜日

田戸下層式尖底土器3Dモデル

縄文土器学習 270

成田市下総歴史民俗資料館で観察した田戸下層式深鉢形尖底土器の観察記録3Dモデルを作成しました。

田戸下層式深鉢形尖底土器 椎ノ木遺跡 観察記録3Dモデル
撮影場所:成田市下総歴史民俗資料館 撮影月日:2019.09.05 3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.513 processing 79 images

展示の様子

田戸下層式土器は成田市東部と香取市西部付近の狭い範囲から集中出土する特異な分布を示しています。

田戸下層式土器の分布

田戸下層式の年代