2023年3月29日水曜日

東三洞貝塚出土貝面図案の韓国切手

 A Korean stamp featuring a mask made of shell excavated from a shell mound


I enjoyed getting Korean stamp designed with shell mask, shell rings, and bone harpoons excavated from Tosando shell mound in Busan. After 2 years of searching, I finally got it.


釜山市東三洞貝塚出土の貝面、貝輪、骨銛などがデザインされた韓国切手を入手し楽しみました。2年間探してようやく入手できました。


貝面をデザインした韓国切手 1999年発行

釜山市東三洞貝塚出土貝面、貝輪、骨銛などがデザインされています。web情報では7500年前から3500年前頃の新石器時代(日本では縄文時代)に形成された貝塚です。貝面は熊本県阿高貝塚でも出土していて、縄文時代日本と韓国で共通した文化側面存在が感じられます。


東三洞貝塚の位置

この切手は2021年7月に切手の博物館で開催された企画展「切手de考古学」で観覧して、ぜひとも入手したいと思った切手の一つです。しかし、この2年間、いくら「韓国切手、考古学、貝面、・・・」などで検索しても見つからないで、諦めかけていました。ところが海外の考古学切手コレクションサイトでこの切手を見つけました。早速そのサイトの画像を使ってGoogle画像検索して、幾つかのステップを踏み、運よく販売サイト(オークションサイト)から入手できました。

この切手は石器や土器を図案とした考古学切手とともに小型シートとして発行されています。


石器をデザインした韓国切手 1999年発行


土器をデザインした韓国切手 1999年発行


プレミアムシリーズ1 1999年発行


2023年3月27日月曜日

有吉北貝塚剥ぎ取り断面の観察 ガリー堆積物

 Observation of stripped cross section of Ariyoshi Kita shell mound Gully sediments


I am observing the stripped cross-section of the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound, which is displayed at the Chiba Prefectural Central Museum. Since shells and pottery fragments can be observed in the gully deposits at the bottom, it can be inferred that the old slope shell layers have been eroded and lost.


千葉県立中央博物館に展示されている有吉北貝塚北斜面貝層剥ぎ取り断面の観察をしています。最下部のガリー堆積物に貝殻と土器破片を観察できることから、古い斜面貝層が侵食され失われたことが推察できます。

1 ブロック状堆積物の分布

剥ぎ取り断面下部ではブロック状地層断片が乱雑に堆積しています。この堆積はこの場所でガリー侵食があり、それによる堆積物であると考えれらます。


ブロック状堆積物の分布

2 貝殻破片の分布

剥ぎ取り断面下部の堆積物には貝殻破片が混入しています。また一部には貝層そのものがブロック状になって堆積しています。


貝殻破片の分布


ガリー堆積物に貝層ブロックが含まれている様子

注 このブログでは「ガリー堆積物」とはガリー侵食により地層から剥がされた断片が重力と流水の営力で堆積したものを指すことにします。

3 土器破片の分布

剥ぎ取り断面下部の堆積物には土器破片が混入しています。


土器破片の分布


ガリー堆積物に土器破片が含まれている様子

4 ガリー堆積物の堆積面

1~3の情報を踏まえ、ガリー堆積物の堆積面を想定しました。


ガリー堆積物の堆積面

5 ガリー堆積物の検討図

1~4の情報を集成すると次図のようになります。


ガリー堆積物の検討図

6 メモ

発掘調査報告書では「第1段階 崩落した土砂が隅の方に堆積する。この堆積と同時か少し遅れて貝が投棄されており、本位置では土砂とともに上方(南側)から押し流されて堆積したと思われる混貝土層などが堆積する(K・L3・H3・G5・G6・G7・G9層など)。」と記述されています。

しかし、ガリー堆積物(発掘調査報告書でいうところの崩落土砂)に貝層ブロックと土器破片がふくまれているのですから、貝の投棄は崩落の前(ガリー侵食の前)であると考えられます。

つまり、古い斜面貝層の形成があり、土器投棄も行われていたある時期に、ガリー侵食が発生し、古い斜面貝層が失われたことが推察できます。

北斜面貝層から中峠式土器がまとまって出土するので、ガリー侵食で失われた斜面貝層には中峠式期頃の貝層が含まれていたのかもしれません。今後詳しく検討します。



2023年3月26日日曜日

石鏃、石斧などのチャド共和国発行考古学切手

 Archaeological stamps issued by the Republic of Chad, such as stone arrowhead and stone ax


I enjoyed getting archaeological stamps of stone arrowhead, stone ax, stone plate, and bone harpoon issued by the Republic of Chad.


チャド共和国発行の石鏃、石斧、石皿、骨銛図案の考古学切手を入手して楽しみました。


石鏃図案考古学切手 チャド共和国 1966年発行


石斧図案考古学切手 チャド共和国 1966年発行


石皿図案考古学切手 チャド共和国 1966年発行


骨銛図案考古学切手 チャド共和国 1966年発行


小型シート

チャド国立博物館に収蔵されている、中央アフリカ初期ホモサピエンスによって使用された先史時代ツールを、有名なフランス人凹版切手彫刻家であるピエール・ガンドンが設計・彫刻した切手です。


チャド共和国の位置


有吉北貝塚北斜面貝層の発達史検討

 Investigation of the developmental history of the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound


I will observe the stripped cross-section of the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound and examine the development history of the shell layer based on the information. First, I studied the description of the development history of the shell layer in the excavation report and deepened my awareness of the problem.


有吉北貝塚北斜面貝層の剥ぎ取り断面を観察して、その情報から貝層発達史を検討することにします。まず発掘調査報告書の貝層発達史記述を学習して、問題意識を深めました。

1 発掘調査報告書における北斜面貝層発達史記述

1-1 発掘調査報告書第11番断面と剥ぎ取り断面の位置関係

発掘調査報告書では第11番断面を例にして貝層発達史を記述しています。千葉県立中央博物館常設展で観覧できる剥ぎ取り断面(一部)は第11番断面の下流0.8mの位置になります。


剥ぎ取り断面と第11番断面の位置関係図

0.8mずれることにより細部は異なってくる可能性はありますが、発掘調査報告書の貝層発達史記述の大局観は剥ぎ取り断面に当てはめることができると考えてよいと思います。

なお、剥ぎ取り断面の厚さは薄い場所で1.5㎝程度、厚い場所で12~3㎝程度です(実寸法を付与した3Dモデルから計測)。

1-2 発掘調査報告書の貝層発達史記述

発掘調査報告書では第11番断面の貝層発達史を次のように記述しています。

「第1段階 崩落した土砂が隅の方に堆積する。この堆積と同時か少し遅れて貝が投棄されており、本位置では土砂とともに上方(南側)から押し流されて堆積したと思われる混貝土層などが堆積する(K・L3・H3・G5・G6・G7・G9層など)。

第2段階 皿状となった窪地に、斜面上(西側)から投棄した貝が堆積する(F5・B2・F3・F2層など)。

第3段階 再び上方(南側)から土砂が、第2段階で投棄された貝とともに押し流されて堆積する(G4・G3・G2・S3・S2・S1層など)。

第4段階 ほぼ埋まった窪地にさらに貝が投棄され、窪地はほぼ完全に埋まり、テラスを持つ斜面となる(E1・C(1)・F1・F・A2・A1・B層など)。


発掘調査報告書における第11番断面の発達史と剥ぎ取り断面

2 発掘調査報告書の貝層発達史記述に関する問題意識

1-2に引用した発掘調査報告書の貝層発達史記述に関して、次のような問題意識を持ちました。

2-1 第1段階の崩落土砂堆積の原因

過去の自分の検討では崩落土砂堆積とはガリー侵食により上流から運搬されてきた土砂が、この場所に堆積したものと考えました。しかし剥ぎ取り断面を観察することにより、この場所におけるガリー侵食でこの場所に堆積した土砂であると考えを変更することができました。急激なガリー侵食作用がこの場で発生して、多量の土砂が乱雑に侵食され、崩落も伴い堆積したものと考えます。

2-2 第1段階の崩落土砂と貝投棄との時期的関係

剥ぎ取り断面を観察すると、第1段階崩落土砂の中に貝殻が確実に混じっています。また貝層がブロック状になり黒土などのブロックと一緒に乱雑に堆積しているところもあります。さらに崩落土砂の中に土器片も存在しています。このような証拠から古い斜面貝層が形成されていたある時期(加曽利EⅡ式期より以前)にガリー侵食が起こり、斜面貝層そのものが崩落堆積したと考えられます。

2-3 第3段階堆積のエピソード性について

発掘調査報告書の記述から、第3段階の堆積は第2段階斜面貝層形成と第4段階斜面貝層形成の間で、エピソード的に行われた(短期間に行われた)ように観察できます。もしそのように解釈すると、第3段階の堆積の原因となった上流域での貝層侵食作用がどのようなものであったのか知る必要があります。

また、第2段階→第3段階→第4段階と時間が経過して行われたと考えると、第2段階と第4段階の間に斜面貝層形成の空白時期が生まれます。人々が斜面貝層形成を中断した時期があり、その時期は第2段階堆積が行われていた時期であるということになり、それでよいのか、合理的に説明する必要があります。

今後剥ぎ取り断面を精査して、第2段階と第3段階が同時異相の関係にあるかどうか、検討することにします。

2-4 貝層と土層が垂直方向に接するメカニズム

断面右寄りで、左岸斜面貝層に起因する貝層と右岸に起因する土層がほぼ垂直に接しています。左岸に起因する物質と右岸に起因する物質が混ざらないで下流方向のベクトルで移動しています。このメカニズムがどのようなものであるのか知る必要があります。下流方向への移動(流れ)は虚弱であったと考えられます。

3 剥ぎ取り断面における発達史検討

2の問題意識を踏まえ、これから剥ぎ取り断面を精査して、貝層発達史に関する情報を集め、順次記事に書きます。


2023年3月24日金曜日

Photoshopを利用した中心投影画像のオルソ投影画像への疑似変換

 Pseudo-conversion of central projection image to ortho-projection image using Photoshop


I confirmed that if you have a normal photo and the corresponding ortho-projection material (this time a cross-sectional view), you can pseudo-transform the normal photo into an ortho-projection image by using the Photoshop puppet warp function.


通常写真とそれに対応するオルソ投影資料(今回は断面図)があれば、Photoshopパペットワープ機能を使うことにより、通常写真をオルソ投影画像に疑似的に変換できることを確認しました。

1 課題 剥ぎ取り断面画像を断面図に嵌め込む

壁に立てかけてある剥ぎ取り断面の画像(中心投影画像)を断面図に嵌め込む方法・手順を検討しました。


剥ぎ取り断面画像(上村秀明氏撮影)


断面図(上守秀明・宮城孝之「報告 千葉市有吉北貝塚斜面貝層の接状剥離作業」、『(財)千葉県文化財センター研究連絡誌』20-1 1987年)

2 方法・手順

2-1 画像と断面図のオーバーレイ配置

画像の不用部を除去します。


不用部を除去した画像

画像と断面図の大きさを略一致させ、Photoshopで別レイヤーとして配置します。もちろん画像と断面図の細部は合っていません。


Photoshopにおける画像と断面図の配置

2-2 パペットワープ機能で特徴点を一致させる

パペットワープ機能で画像の特徴点にピンを打ちます。特徴点とは画像と断面図で同じ場所であると判断できる点です。次に打ったピンをマウスでドラッグして断面図の同じ場所に移動します。


パペットワープ機能で特徴点に打ったピンを移動する様子

2-3 特徴点を一致させた結果

今回は18個所の特徴点を一致させました。


特徴点を一致させた結果

画像を疑似的に断面図に嵌め込むことができました。画像と断面図の層相区分線の両方が見やすいように濃度を調整して作業を完成させました。


作業結果(完成)

3 メモ

写真とそれに対応するオルソ投影資料(今回は断面図)があれば、Photoshopパペットワープ機能を使うことにより、通常のスナップ写真をオルソ投影画像に疑似的に変換できることを確認しました。


2023年3月23日木曜日

花島観音

 花見川よもやま話 第14話


Hanashima Kannon


Hanashima Kannon has a founding tradition (709) by Gyoki along with Chibadera. Since Hanashima Kannon is located at the headwaters of the Hanami River, I imagine that the legend of Gyoki has something to do with the maintenance of the transportation route connecting the Hanami River and the Inbanuma area.


花島観音は千葉寺とともに行基による開基伝承(709)があります。花島観音が花見川源流部に位置していることから、行基伝承は花見川と印旛沼方面を結ぶ交通路整備とかかわるのではないかと想像しています。

1 行基による開基伝承がある花島観音


現在の花島観音(天福寺)

花島観音についての詳しい資料を求めて、手持ちの資料をいろいろと見ていると、次の記述があり、驚きました。

「西暦709年(和銅2年)、僧行基千葉寺・天福寺を建立したと伝える。」(千葉市史現代編p515「千葉史年表」)

天福寺とは花島観音のことです。(正確には花島観音の別当寺として天福寺がつくられたと考えられています。現在花島観音は天福寺境内にあります。)

花島観音の寺伝によれば、「和銅2年(709)4月、行基が東国巡錫のとき、当地へ至り、その時観音を刻み、一宇を建立し、これを安置した。これが花島観音の始まりといわれている。」としています。

2 花島観音と交通ネットワーク

この寺伝に気がつき(それが正しいか、後から創作されたものであるかの議論はさておき)、この寺伝の年号と行基が来訪したということと、花島観音と浮島駅の位置関係が私の頭のなかで結びつき、絡み合いました。

行基が東国巡錫(じゅんしゃく)したとき、東国には次図で示した幅員12mの直線幹線道路網(駅路網)が整備されていました。


持統3年(689)から神護景雲2年(768)までの道路体系

出典:中村太一著「日本古代国家と計画道路」(吉川弘文館、平成8年)

引用者が道路を赤色で着色

この幹線道路網を補助する陸路支線網(伝馬路、伝路)、水運路が整備あるいは存在していたはずです。行基はその交通ネットワークを利用して花島観音の始まりとなった場所に来たはずです。

行基が、いわばたまたま花島の地を訪れたということは、花島の地がその時すでに、交通ネットワークの中に組み込まれていたということを証明しているのではないでしょうか。

何もない、行き止まりの花島の地に、たまたま行基が来訪したということは考えにくいことです。

花島を巡る8世紀初頭の交通ネットワークは次図のAではなく、Bであったと思います


8世紀初頭の花島を巡る交通ネットワークモデルA


8世紀初頭の花島を巡る交通ネットワークモデルB

花島観音と同じ西暦709年に、行基は千葉寺をも開基しているのです。

千葉寺は河曲駅のすぐ近くにあります。

私は、浮島駅と花島観音の関係に行基が介在したことに注目したのですが、同じように、河曲駅と千葉寺の関係に行基が介在したことになり、情報が相似的に対応するので大いに興味が湧きます。


千葉寺の位置

花島観音と千葉寺に関する情報の相似性

●行基開基伝承…花島観音(和銅2年(709))、千葉寺(和銅2年(709))

●東海道最寄り駅…花島観音(浮島駅)、千葉寺(河曲駅)

●交通ネットワークにおける要衝性…花島観音(東京湾-花見川-平戸川-印旛沼(香取の海))、千葉寺(東京湾-都川-鹿島川-印旛沼(香取の海))

空想の域を出ませんが、花島観音の行基開基伝承は、花島観音の位置が自然河川としての花見川源流域に存在していることから、花見川-流域界陸路越え-平戸川という交通路の土木的整備促進を土木救済者行基に託したという側面があると考えます。

3 秘仏 木造十一面観音立像

花島観音の秘仏(木造十一面観音立像)は胎内に墨書で、建長8年(1256)に仏師賢光が制作したと記されています。花島観音が置かれている天福寺は天福元年寺とも呼ばれます。天福元年は西暦1233年です。これらの情報から現在の花島観音は13世紀初めごろ開かれたことがわかります。ちなみにこのころは行基信仰の盛んな時代ですから、その当時開かれた花島観音の母体となる土着信仰対象が行基開基伝承とともに語られることは当然です。


参考 花島観音の秘仏

出典:「天福寺再興落慶供養記念 天福寺本尊十一面観音像」(昭和48年、天福寺)附録写真


参考 花島観音の秘仏

出典:「天福寺再興落慶供養記念 天福寺本尊十一面観音像」(昭和48年、天福寺)附録写真

4 花島観音入口と石塔

御成街道と検見川道が交差している花島観音入口に江戸時代中頃から明治時代にかけての観音信仰の名残ともいえる石塔が存在しています。


石塔


石塔説明板

この石塔は明治前期フランス式地図の挿図としても描かれています。


花島 世観世音(明治前期フランス式地図挿図)


石塔の場所

有吉北貝塚剥ぎ取り断面の全体画像

Overall image of the stripped cross-section of Ariyoshi Kita Shell Mound


I obtained the whole image and the facies classification diagram of the stripped cross-section of the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound, transformed the whole image using the Photoshop function, and projected it onto the facies classification diagram. I have prepared materials for deepening the study of the developmental history of shell layers.


有吉北貝塚北斜面貝層剥ぎ取り断面の全体画像と層相区分図を入手し、全体画像をPhotoshopパペットワープ機能により変形して層相区分図に投影当てはめました。貝層発達史学習を深めるための材料が揃ってきました。

1 有吉北貝塚北斜面貝層剥ぎ取り断面全体画像


有吉北貝塚北斜面貝層剥ぎ取り断面全体画像(上守秀明氏撮影)

剥ぎ取り断面作成担当者であった上守秀明さん撮影の有吉北貝塚北斜面貝層剥ぎ取り断面全体画像を入手しました。壁に立てかけてある剥ぎ取り断面を撮影した通常の中心投影画像です。剥ぎ取り断面の大きさをイメージできるように人物が写っています。

有吉北貝塚北斜面貝層剥ぎ取り断面全体の写真はこの1枚の写真以外にはほとんど存在しないようです。

この写真の利用について許可していただいた上守秀明さんに感謝します。またこの写真存在を教えていだだき入手及び上守さんお取次の便をいただいた西野雅人さんに感謝します。

2 有吉北貝塚剥ぎ取り断面に関する資料

有吉北貝塚剥ぎ取り断面の作成に関する次の資料の存在を千葉県立中央博物館から教えていただき、早速入手しました。

上守秀明・宮城孝之「報告 千葉市有吉北貝塚斜面貝層の接状剥離作業」、『(財)千葉県文化財センター研究連絡誌』20-1 1987年

この資料には剥ぎ取り断面作成方法の詳しい説明と断面位置図(北斜面貝層位置及び周辺地形図)、層相区分線図(接状剥離面土層断面図)が掲載されています。


断面位置図(北斜面貝層位置及び周辺地形図)

この位置図から剥ぎ取り断面は発掘調査報告書掲載断面11番と12番の間で、11番より0.8m下流側であることがわかります。


剥ぎ取り断面位置と発掘調査報告書断面位置の関係図


層相区分線図(接状剥離面土層断面図)


参考 発掘調査報告書11番断面


参考 発掘調査報告書12番断面

3 剥ぎ取り断面全体画像の層相区分線図(接状剥離面土層断面図)への投影

剥ぎ取り断面全体画像をPhotoshopパペットワープ機能を利用して変形し、層相区分線図(接状剥離面土層断面図)へ投影当てはめました。


剥ぎ取り断面全体画像の層相区分線図(接状剥離面土層断面図)への投影画像

4 展示はぎとり断面3Dモデル画像の層相区分線図(接状剥離面土層断面図)への投影画像

展示剥ぎ取り断面3Dモデルのオルソ画像を層相区分線図(接状剥離面土層断面図)へ投影しました。


展示はぎとり断面3Dモデル画像の層相区分線図(接状剥離面土層断面図)への投影画像

5 展示剥ぎ取り断面画像及び全体画像の層相区分線図(接状剥離面土層断面図)への投影画像

3及び4の画像を合成して展示剥ぎ取り断面画像及び全体画像の層相区分線図(接状剥離面土層断面図)への投影画像を作成しました。


展示剥ぎ取り断面画像及び全体画像の層相区分線図(接状剥離面土層断面図)への投影画像

6 剥ぎ取り断面写真

剥ぎ取り断面作成直前の清掃作業終了写真が発掘調査報告書に掲載されています。


剥ぎ取り断面写真

7 メモ

5の画像および発掘調査報告書における11番断面、12番断面とその説明、さらに6の現場写真から剥ぎ取り断面付近における検討材料が整いました。これらの材料を参考にしながら、千葉県立中央博物館展示剥ぎ取り断面の現場観察により貝層発達史学習を深め、その結果を仮説的にまとめることにします。


 

2023年3月20日月曜日

サイト「花見川よもやま話」の開設

 Opening of the site "Chatting about all sorts of the Hanami River"


Chatting about all sorts of the Hanami River is serialized on the blog "Walking in the Hanami River Basin". I opened a website called "Chatting about all sorts of the Hanami River", which collects the serial articles. I have written 13 episodes so far.

Looking at society, history, and nature from the perspective of the Hanami River, there are many interesting topics.


ブログ「花見川流域を歩く」で「花見川よもやま話」を連載しています。その連載記事を集成したサイト「花見川よもやま話」を開設しました。現在13話まで書いています。

花見川という切り口で社会・歴史・自然を見ると興味深い話題がメジロ押しです。


サイト「花見川よもやま話」ヘッダー

サイト「花見川よもやま話


第1話~第13話の目次(2023.03.20)

花見川よもやま話 第1話 花見川の地下トンネル 2023.01.17 第1話

花見川の「上(うわ)ガス」 2023.01.18 第2話

花見川のトーチカ 2023.01.19 第3話

花見川と二宮尊徳 2023.01.21 第4話

花見川に舞い降りた白鳥 2023.01.24 第5話

花見川とお雇い外人技師デレーケ 2023.01.26 第6話

松本清張「天保図録」に登場する化灯土対策としての「流堀り工法」 2023.01.30 第7話

アユ・ウナギと制水門 2023.02.02 第8話

花見川と渋沢栄一 2023.02.05 第9話

鉄道連隊の花見川架橋演習 2023.02.11 第10話

現存する印旛沼堀割普請の捨土土手地形 2023.02.18 第11話

花見川(ハナミガワ)は検見川(ケミガワ) 2023.02.21 第12話

花見川の法的名称は印旛放水路(下流部) 2023.03.17 第13話


今後の話題予定

・花島観音

・不法占用

・大賀ハスと丸木舟

・花見川河川争奪

・カワウ

・河川整備計画

・流域変更

・成田参拝記

・現代運河構想

・死体発見

・玄蕃所

・化灯土

・オオタカ

・柏井浄水場

・ハクビシンのタメフン

・カヌーとボート

・柏井は「杵隈(かしわい)」

・東海道水運支路仮説

・大和田排水機場

・下志津演習場と習志野演習場

・縄文海進と花見川地峡

・カゲロウの一斉羽化

・マダケのタケノコ採り

・川面が白い泡で真っ白(30年前)

・山火事

・谷中分水界

2023年3月18日土曜日

有吉北貝塚剥ぎ取り断面の土器調査

 Investigation of pottery on the stripped cross section of Ariyoshi Kita Shell Mound


I visually created a map of the distribution of pottery fragments in the stripped cross-section of the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound. Certain pottery fragments 51 were confirmed, and about half of them were found in the lower part of the sloping shell layer, in other words, near the waterside at that time, indicating the characteristics of pottery fragment dumping activities.


有吉北貝塚北斜面貝層剥ぎ取り断面における土器破片分布図を目視で作成しました。確実な土器破片51を確認し、約半数が斜面貝層下部に、つまり当時の水辺付近に分布していて、土器破片投棄活動の特徴が読み取れます。

1 土器破片分布図


土器破片分布図 (3Dモデルのオルソ投影図 高さ4.3m、幅4.0m)

目視で土器破片と確実に確認できたもの(赤丸)は51あります。展示上部は照明が暗く目視が不十分であった可能性があります。なお、双眼鏡を持参しましたが、近すぎて効果的に利用できませんでした。

目視で土器破片の可能性があるけれども確認できなかったもの(青丸)が7あります。

断面左下部に剥ぎ取り作業痕のようですが、最初は土器破片と直観したもの(空色丸)が3あります。


作業痕か土器か、土器か否か


作業痕か土器か

2 考察


土器破片分布図 考察

土器破片は斜面貝層分布に対応して土器破片が分布しているように見えます。このことから、貝層投棄活動と土器破片投棄活動は時期的に連動していることが推察できます。

同時に、土器破片は斜面貝層下部に半数が集中分布していますから、貝分布と比べて土器破片分布は偏在性がきわめて強いことが判ります。斜面貝層下部は当時の水辺付近です。土器破片投棄は水辺付近で行われる祈願活動の一環で行われたと想像します。