2026年3月2日月曜日

技術メモ 展示物の3Dモデル作成用撮影について

 Technical Note: Photographing Exhibits for 3D Modeling


When I photographed a double-mouthed pottery vessel on display in the special exhibition "The Mysterious Late Jomon Period" and created a 3D model, the 3D model completely failed. However, after reworking it with just one additional photograph, I was able to create a satisfactory 3D model. I investigated the reasons for this and made notes.


特別展「謎多き縄文晩期」で展示されている双口土器を周回撮影し、3Dモデルを作成したところ、3Dモデルが完全に破綻しました。しかし、たった1枚の写真を追加して再作業すると、立派な3Dモデルができましたので、その理由を検討し、メモしました。

1 3Dモデル作成 ケース1

千葉市埋蔵文化財調査センター特別展「謎多き縄文晩期」で展示されている弥生前期双口土器の3Dモデルを作成しました。170枚の写真を多段(6段)周回撮影しました。


多段周回撮影の様子

撮影は双口土器が画面の中央にくるように撮影しました。


双口土器撮影写真例


撮影写真

フォトグラメトリソフト3DF Zephyr Liteで3Dモデルを作成したところ、完全に破綻した3Dモデルとなりました。


完全に破綻した3Dモデル

3DF Zephyr Liteがはねた写真は9枚です。

2 3Dモデル作成 ケース2

ケース1で使った170枚写真の先頭に次の展示台全体が写る写真1枚を加えました。


ケース1の170枚に加えた1枚

3DF Zephyr Liteで同じ作業をしたところ、次の完全に正常な3Dモデルができました。


正常に造形された3Dモデル

3DF Zephyr Liteがはねた写真は1枚です。

3 写真1枚で3Dモデル造形が劇的に改善した理由

ケース1に写真1枚を加えたケース2で、3Dモデル造形が劇的に改善した理由について、ChatGPTの支援をうけて検討し、次のように想定しました。

3-1 ケース1で3Dモデルが破綻した理由

・土器が黒く微細テクスチャに乏しく、土器以外がほぼ白く無地で安定した特徴点(対応点)が得られない。

・そのため誤対応が混ざり、誤った姿勢推定となり、メッシュ化で破局して、紙が剥がれたようになった。

3-2 1枚の写真で造形が劇的に改善した理由

・加えた1枚の写真には展示台、壁の継ぎ目、説明板、他遺物、ラベルなど形がはっきりした特徴点が大量に増え、カメラ姿勢が一気に安定した。これは結果として「はねられる写真」が 9→1 に減ったこととも整合する。

・加えた1枚の写真を先頭に入れることによって、スコアの高い特徴点が採用され、初期解が最適化した。3DF Zephyr LiteのようなSfMでは、最初の数枚で作る骨格が悪いと、その後ずっと悪い解を引きずる。

・結果として1枚で劇的に改善された。

・加えた1枚の写真は構図が広いので、画面全域に直線や構造物が入りやすく、歪み推定の手掛かりが増えるため、内部パラメータが安定→姿勢推定も安定、につながった。

4 メモ

展示物3Dモデル作成では150枚程度撮影するとそれなりの品質のものができることを経験的につかんできています。しかし、今回のように真っ黒で表面テクスチャに特徴がなく、かつ周辺に別の地物がないと、3Dモデルが破綻することを改めて理解しました。

今後、展示物3Dモデル作成用撮影では構図の広い写真を数枚以上必ず意識的に追加することとします。

この双口土器は次の記事で説明してます。

2026.02.17記事「弥生時代前期 双口土器(富岡市上高田社宮子原遺跡)観察記録3Dモデル



0 件のコメント:

コメントを投稿