Measuring the average nearest neighbor distance of bone 3D distribution
I measured the average nearest neighbor distance of bone 3D distribution in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshikita Shell Mound and compared it with pottery and stone tools.
The standardized index of average nearest neighbor distance was pottery < bone < stone tools, and comparing the three, pottery showed the highest density.
有吉北貝塚北斜面貝層の骨3D分布の平均最近隣距離を計測して土器・石器と比較しました。
平均最近隣距離の標準化指標は土器<骨<石器となり、3つを較べると土器の密集性が最も高いことがわかりました。
1 平均最近隣距離について(再掲)
1-1 平均最近隣距離(Average Nearest Neighbor ANN) ANN1
遺物Aが3D空間に分布していて、遺物Aの全てについて、最近隣にある別の遺物Aとの距離を計測し、その平均値を求めたものが遺物Aの平均最近隣距離です。これをANN1とします。
同一空間に同一数の遺物種が分布している場合、ANN1の数値が小さい遺物種ほど密集性が高いことを表現しています。
1-2 ランダム分布の平均最近隣距離 ANN2
遺物Aが分布する同じ3D空間に遺物Aと同数のランダム点をプロットして、そのランダム点の平均最近隣距離をもとめ、これをANN2とします。
ANN2は密集性が存在していない、あるいは分散性が存在していない仮想的な分布状況の平均最近隣距離を表現していると考えることができます。
1-3 標準化された平均最近隣距離指標 ANN3
ANN1/ANN2を求めると、その値は標準化された平均最近隣距離指標となります。これをANN3とします。標準化された平均最近隣距離ANN3はその値が1より小さければ密集度合いを、1より大きければ分散度合いを表現します。同時にANN3を使えば、遺物数や3D空間の広さが異なる遺物種の間でも密集-分散度合いを比較して論じることができます。
2 骨(骨・歯)を例としたANN計測
2-1 骨分布資料等
統計分析用3D空間(骨分布3D空間)
骨分布は基本的に貝層中であり、泥層には分布しないので、統計分析用3D分布は全遺物分布3D空間ではなく、骨分布3D空間(≒貝層分布空間)としました。
骨3D分布(34050件)
2-2 骨のANN計測結果
骨ANN1 0.107
骨ANN2 0.151
骨ANN2 0.709
2-3 参考 骨のランダム分布平均最近隣距離(ANN2)算出法
次の近似式によりANN2を近似的に算出しました。
ランダム分布の平均最近隣距離期待値=0.554×(容量/サンプル数)1/3乗
容量:683㎥
サンプル数:34050
(容量/サンプル数)1/3乗:(683/34050)1/3乗=0.2717
ランダム分布の平均最近隣距離期待値:0.554×0.2717=0.151
2-4 土器・石器との比較
骨と土器・石器との平均最近隣距離を比較しました。
骨、土器、石器の平均最近隣距離
平均最近隣距離の標準化指標は土器<骨<石器となり、3つを較べると土器の密集性が最も高いことがわかりました。
遺物数が大きく違うので、Blender3Dビューポートで総観的に、その密集性を比較することは困難ですが、平均最近隣距離の標準化指標により土器が最も密集性が高いことがわかり、これは画期的な出来事です。
なぜ土器の密集性が最も高いのか、その理由を考えるなかで、遺物投棄活動と貝層における遺物流動に関する有力な仮説が生まれつつありますので、順次ブログ記事にしていくことにします。
遺物としての土器破片個体の重量が石器や骨より大きく、この要素が急斜面貝層における密集性に寄与していると考えるようになりました。
3 骨最近隣距離の基本統計
最小値 0.005m
最大値 2.043m
中央値 0.094m
平均値 0.107m
標準偏差 0.07
最近隣距離順位グラフ




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